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2008年10月号  page1  page2


「ラマダン月の死 −某イスラム教国からの報告−」

街角にて(写真の人物と内容とは関係ありません)  それはラマダン(断食月)が始まって二日目のことでした。私は一人の男性が死にゆく様を見とりました。その男性は家族、友人達、近所の人々に囲まれて、臨終の時を迎えていました。
 私は東アジアのこの国に来てまた一年目でした。この家の中どころか、地域全体でもイシャ(イエス)を信じる人間は恐らく私一人なのだ、と思うと圧倒される思いでした。
 私がその家に着き、臨終の床にあるその男性の足元に座るよう言われた時、彼は呼吸困難であえいでいる状態でした。私の家の手伝いをしてくれるアイシャの父親であるこの男性が、亡くなる前にイシャ・アルマシ(救い主イエス)を信じることができるよう私は心の中で神に祈りました。
 声を出して祈ってもよいでしょうかとこの場で聞いてみるべきだろうか?私は迷いました。部屋の中にはこの地域の宗教的リーダーもいれば、他に主要な立場の人々も集まっていました。もしアイシャの父親がイシャの名によって癒されたならば、どうなるだろうか?私はこの老人を死の床から起こしてくださるようにと祈り続けました。
 突然、男性が激しく身体を動かしたかと思うと、ゆっくりと床の上に座りました。そして水が飲みたい、と言いました。これは私の祈りへの答えだったのでしょうか?しかしその二、三分後、彼は息を引き取りました。地を揺るがすような奇跡もなかったし、人々がキリストに立ち返る劇的なシーンも起こらなかったのです。
 アイシャの母親が夫の頭を腕に抱いてむせび泣き始めた時、私は周囲の男女達が泣いてはいけない、と彼女に言うのを聞きました。遺体を動かす時にも、ウスタッド(イスラム教の指導者)がやって来て、やはり未亡人に泣いてはいけない、と言いました。
 「もう、あなたのご主人は今はここよりもっとよい所にいる。それに今はラマダンなのだ。ラマダン期間中に涙を流してはいけない。」
 これを聞いた時、私は怒りを覚えました。
 死去の知らせはモスクで祈りの斉唱者によって会衆に知らされ、間もなく家は女性達でいっぱいになりました。他方、男性達は家の外に集まっていました。
 家の中で私達は花や花輪の準備をしました。それから一人の女性と何人かの男性が死に装束の準備を始めました。その白い布は、はるばるメッカから来たものです。
 遺体は洗い清められ、その白い布で包まれると、数人の男性達によってモスクへと運ばれて行きました。何人かの女性達が後に続きましたが、友人が私も同行してよいと言ってくれました。
 祈りの後、村人のほとんど全員が村の墓地へと向かいました。ミイラのように巻かれた遺体はゆっくり穴の中に降ろされ、葉々のついた枝をシャベルのように使って、その上に静かに土がまかれていきました。それがアイシャの父親の最後でした。
 葬儀の後のある朝のこと、アイシャと私は台所に座って話をしていました。話題は天国やキリスト、裁きのことへと移っていきました。
 既に私はアイシャの家族とも、大変親しくなっていましたし、彼らも私に好意を持ってくれているようでした。そのため葬儀が終わってまだ一週間も経っていなかったのですが、私はこの遺族の家に一晩泊まることを許されたのです。
 アイシャにはリアという名の妹がいました。彼女が極度に痩せていることや、家族がリアを訪問客と接することがないように注意している様子から、私はリアは何か病気を持っているのでは、と感じていましたが、実は結核を患っていることをその日知ったのです。
 リアはいつも自分の部屋か部屋の隅に一人っきりでいました。その目は落ちくぼみ、大きなクマに縁取られていました。余りにやせているために、彼女の手首は簡単に私の手の中に握れてしまうほどでした。しかし、弱っているにもかかわらず、リアは自分の状態をはっきりと話してくれるのでした。
 リアと私は床の上で壁にもたれておしゃべりを始めました。間もなくリアは死者の霊魂についてぽつぽつと話し始めました。
 「魂って、なんとなくフワフワ漂っているんでしょ?肉体から離れたら、もう行く所がないのかしら?」
 こう聞いてきた彼女に、天国へ行けるという確信がないのは明らかでした。そうして話題は天国と死後の世界のことへと移っていきました。
 「イシャ・アルマシのことを知ってる?」
 こう聞くと、知らないわ、と彼女は答えました。私はリアに、イシャは病む者を癒し、死者をよみがえらせ、目の見えない人々に視力を与える力があることを、そしてそのことはコーランにさえ書いてあることを話しました。
 その後、私たちは罪について話し、救いは自分の善い行いだけでは、どうしても保障されないことを互いに認め合いました。
 「でも、イシャを通して、救いは確実に与えられるのよ」
 私はそう伝え、イシャを彼女の人生に迎え入れるようリアに勧めました。
 翌日、家に戻る前に私はもう一度リアの部屋を訪ねました。お祈りをしてもいいかと彼女にたずねると、彼女はうなずきました。共に床に座ったまま、私は彼女の背と骨ばった腕に手を置いて、イシャ・アルマシの名において祈りました。
 二、三日後、私は再びリアを訪ね、マルコ五章二十一節から四十三節の、死んだ少女と長血の女性の話を読みました。リアはベッドの上に座って静かに耳を傾けていました。
 「その女の子は本当に死んでいたの?それともただ眠っていただけなの?」と彼女は聞きました。私は、イシャが死んでいた少女を死からよみがえらせたことを教え、もう一度彼女のために祈ってよいかとたずねました。
 祈りの後、私はその場を立ち去りましたが、そこにはお父さんが亡くなったその同じ部屋で、一人考えをめぐらせているリアの姿がありました。
●お祈り下さい●
 生活を通してキリストを証しする国々に住むクリスチャン達のために。文化・習慣をよく理解し、主の愛をもって、よい友人関係を築くことができるように。証しにふさわしい時と言葉、主の時を忍耐強く待つことができるように。霊的な孤独から守られるように。


「関係づくり」
カンボジア・ニャックルアン  西村信恵

青年キャンプの小グループにて  「面倒を見るとはどういうことか?リーダー達が、お互いにどんなことで困っていて、今現在、どんな祈りの課題を持っているか知っているか?」「愛し合う、ということは、その人のことを知らなければできないことなんだよ。相手のことを知ろうとしないと、無関心では愛することは出来ないし、共に神様に仕えることはできません。」宣教師が、リーダー達の訓練の時によく言う言葉です。この国の人たちの特徴であるのかどうなのか、教会に長くいても、その人とよく関わるということがあまりありません。教会に新しい人が来ても、話しかけたり歓迎してあげる人は少なく、また、毎週のように来るようになっても、御互いにすごく仲良くなるということもあまりないのです。リーダー達の横の関係もしっかりとしたつながりではありません。ある日、S兄に「何か困ったことがあったり、落ち込んだりしたときに話す友人は誰?」と聞くと、「特に誰にも言わない」という答えが返ってきました。「え?T兄やV兄とかは?」「うーん、彼らとは意見が違うし。別に話しても…。」と、彼はいつも一人で落ち込んで這い上がるのに時間がかかります。「…さんは、最近どうしてるの?」と聞いても、「さあ?先生が直接聞いてみれば?」という答えが返ってくることもしばしばです。彼らが御互いによく関わり合い、助け合い、祈りあうことが出来るように、というのが私達の祈りの課題です。
カンボジアの国のために祈る青年達  けれども少しずつ、変化が見られるようになりました。S君が再度の挑戦にもかかわらず、高校の卒業試験に落ちてしまったとき、すごく落ち込んでいた彼は、その週、教会の行事に一切顔を見せませんでした。それを知った教会員たちが「すごく自分も悔しくて痛くて、落ち込んでいるけど、神様は愛しておられるから、そうされたんだと思う。だから、彼のために祈って」と、彼の痛みを自分のこととして考え、祈りに覚え、気にしている姿がありました。 遠い自宅から来ているのに、その日来ることの出来なかった方を訪問し、近所の病人のところにも訪問し祈って帰られていたOさんのことを知りました。また、青年キャンプでも、今まで知っている人以外に関わりを持とうとしなかったのに、別の女の子達に話しかけ、助けてあげて、一緒に行動している姉妹の姿がありました。教会学校に来ている子供の家を自ら訪問しているリーダーの姿がありました。ちょっとしたことですが、御互いに関わり始めた彼らの姿を見て私も嬉しくなりました。教会員同士、また、新しく来られた方たちと彼らのよい関係作りのためにお祈りください。

【祈りの課題】
1.リーダー達のためのセミナーが10月初旬に行われます。この1日のセミナーを通して彼らが成長できるようにお祈りください。
2.第4週目の日曜日に洗礼式が行われます。アウトリーチ先の青年も含めて12〜14名洗礼を受ける予定です。彼らの信仰が守られるようにお祈りください。


「一緒にいられる恵み」
日本 木下理恵子

台湾から来た青年たち、坂戸教会の方々と共に  とても暑かった夏が、洪水の被害が続出する日々へと変わりました。皆様の地域は如何でしょうか?いつもの御祈り、ご献金をどうもありがとうございます。
 この夏はホーリネス教団の青年の集会ユースジャムがあり、それに参加するため台湾の青年たちが二十七人来てくれました。このグループは坂戸教会を拠点としたため、いつも集会をしている部屋に、青年が多い風景に、何だか不思議な気持ちがしました。台湾の青年たちの「以前人が救われてすごくうれしく、感動したので、伝道したくて来た」「日本でトラクト配布して、新しい人が一人教会を訪ねて来てくれた。日本に来て良かった。」等、積極的な証しに、とても励まされました。ユースジャムで、全国から青年たちが集まりました。賛美や劇、みんないろいろな事ができます。個々の教会では少数かもしれませんが、他にも自分たちと同じ年齢のクリスチャンがいる事を覚え、これからも、更に元気良く過ごしてほしい、もっと仲間が増えるよう伝道していってほしいと願わされた事です。
ユースジャムで台湾から来た青年たちの賛美  中国語集会のための御祈りもどうもありがとうございます。八月には中国人姉妹が洗礼を受けました。また集会の方も少しずつ形づいてきました。御祈り頂いているカンボジア系の姉妹は、毎日何度も祈り、一生懸命聖書を読んでいます。以前は怒りやすく、すぐ機嫌が悪くなったけど、イエス様を信じてからは、そうした事が無くなってきたとも言っています。信仰は成長しています。先祖崇拝などの問題に主から解決を頂く事が出来、受洗の決意がつくよう御祈り下さい。
 もう一人の姉妹は仕事を無くしたばかりでしたが、祈りが答えられ、家の近くの彼女の好きな内容の仕事が与えられました。赤ちゃんを抱えた、ビザ待ちの姉妹は喜びの証がありました。前回学んだ詩篇三七篇の、主を待ち望む間、善き事をなすように示され、アパートの上の女性に謝る事を実行したそうです。姉妹の赤ちゃんの夜泣きで、上からドンドンと床を蹴られたりしていました。数日最善の時が与えられるように祈り、実行し、その方も謝罪を受け入れ、同情して下さり、その後は床ドンドンも無くなったそうです。学んだ御言葉を実行すると、こんなに神様を体験できると、みんなにもとても良い刺激となりました。
 この中国語集会もう一つ感謝な事は、日本人姉妹の参加と助けです。障害のあるお子さんと一緒に参加する姉妹のため、子守をして下さったり、美味しいデザートを持って来て下さったり、みんなと共に祈りの課題を分かち合い、祈り合ったりして下さっています。中国語と日本語、祈っている内容は分からないかもしれませんが、自分の名前が挙がり、自分のために祈っていて下さる、その愛が確かに伝わっています。

【祈りの課題】
1.日本のクリスチャン青年たちが、他にも仲間がいる事を覚えつつ、更に元気に教会生活を過ごせ、仲間が増えるよう伝道していけるように。
2.中国語集会で成長している姉妹方に感謝。また共に参加し助けてくださる日本人姉妹方を感謝。この輪が更に広がって行く様に。更に求道者、救われる人、受洗者が与えられるように。


「ディアスポラ伝道会議が終わりました」
日本 ディアスポラ伝道 横山好江

立てられたリーダー達に按手して祈る  主は祈る者達の祈りに豊かに答えて下さり、OMF初のディアスポラ伝道会議は予想以上の恵みの中で終えることができました。お祈りを心から感謝し、宣教の主の御名を崇めます。
 十日間のシンガポール行きを控えて、八月半ばに四泊五日の休暇をいただきました。OMF宣教師は半年に二週間の休暇を取るように指導されます。西洋人の同労者が上手に休暇を取る中、はじめ私達夫婦はなかなかうまく取れませんでした。そのうち段々慣れてきて、英国滞在の最後の方では「疲れが取れ、主の御声が聞けるまでに静まれるようになるまで一週間、御前にゆっくり主と交わり、充電するのに一週間」と言われたのが分かってきました。奉仕に追われ、目の前の仕事をこなすのに精一杯という状況では、心静かに主の御声を聴くことがなかなかできません。奉仕の内容や、仕える態度が本当に御心に叶っているのか、それを確かめることも、軌道修正することも、だんだんできなくなっていきます。二週間の休暇の大切さを味わい、忙しい夏に休暇を申し出た私達を受けとめ、休暇をゆるしてくれた東京新生教会の方々に感謝しています。お蔭様で霊的充電をいただいてシンガポールに向かうことができました。
日本人ディアスポラ伝道グループ。前段左から黒田、ナイツェル夫人、好江各師  二五〜二九日の会議には、フルタイムでディアスポラ伝道に携わる者達二六名とディレクター数名が集められました。伝道対象が中国人・日本人・タイ人・フィリピン人・ベトナム人などそれぞれ違っても、共通項はたくさんあります。多くの者は母国で活動しているので「宣教師」として見てもらえないという悩みも共通しています。「初めて会う者同士もある中、一致が与えられるように」との祈りに主は豊かに答えて下さり、休憩時間や食事の時間には話に花が咲きすぎて予定通りにプログラムを始めるのが難しくなるという場面もありました。共通のビジョン、同じスピリットでやっていこうという前向きな一致も与えられました。パトリック・フン総裁は香港出身ですが、オーストラリアで大学生だったときに、引退したOMF宣教師のノーゲイト夫妻が素晴らしい模範となって弟子訓練をしてくれたと自らの経験をもとに、受肉化した生き様がどんなに大切であるか、どのようにしてキリストの愛と聖さを身をもって伝えていくのかを熱く語ってくれました。残念ながら欠席した仲間にも、会議の様子が毎日メールで伝えられました。
ディアスポラ伝道会議参加者  ディアスポラの働き人は、いよいよ一つのまとまりとして力強く前進しようとしています。新しく任命されたディアスポラ伝道局部長のもと、国際リーダーが四人立てられ、(私もその一人)次は一二月前半にドイツでリーダー会議および訓練が行われることになりました。続けてお祈りいただけると幸いです。

【祈りの課題】
1.10月11日に「ブリッジ・ビルダーの集い」が開かれます。海外でクリスチャンになった日本人兄姉が、帰国後日本の教会に定着できるようにと奉仕する者達が良き励まし・交わり・訓練を受けることができるよう、お祈りください。
2.横山夫妻のケンブリッジの働きでクリスチャンになったRさんが9月に帰国しました。かの地で救われ受洗し、留学生伝道の働きに携わっていたRさんが、初めて経験する日本の教会生活・信仰生活の中に慣れ、信仰の友が与えられるようお祈りください。

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