2009年9月号
page1
page2
「OUR MIXED FEELINGS」
カンボジア 小川文子
残暑お見舞い申し上げます。夏の諸行事も恵みのうちに終えられたことと存じます。
オリエンテーションコースのためにお祈り頂き、心から感謝します。過去最大(大人四十六名、子供二十一名)規模にも関わらずよくまとまったグループで、心を開いた良い交わりが与えられました。IPSやTSFやIBCMなどなどの略語が頻出する講義を通し、多くを教えられ、また本部の方々や参加者の証しをたくさん心に貯める時となりました。これから何度も、この時聞いた話を思い出すだろうと思います。
導かれ方はまさに十人十色ですが、同じように多くの書類を出してここに至った人々、One Million Forms(OMF=百万枚の用紙)というジョークには皆笑います。でも分かち合う中では涙もしばしば見られました。皆それぞれに別れと不安な未来の間の宙ぶらりんな時です。愛するものを本当に失ったわけではないとわかっていても、今まで持っていたものが今ないのは事実であり、それを悲しむのは自然なことなのだと思います。私自身も「loss(喪失)」という言葉を聞くだけで気分が悪くなるくらいでした。
「献げます。行きます!」と言った時には、まだよく見えていなかったもの、それが本当に何を意味することになるのか−子供、伴侶、あるいは自分の命かもしれない−ということが目前に迫ってくるにしたがって、心が波立つのです。
「今、わたしは心騒ぐ。何と言おうか。『父よ、わたしをこの時から救ってください』と言おうか。しかし、わたしはまさにこの時のために来たのだ」(ヨハネ十二・二七)でもそれと同時に、早く宣教地に行きたいという気持ち、楽しみな気持ち、与えられている身に余る恵みに心がいっぱいになる時もあります。まさにmixed feelings(複雑な心境)です。しかし揺れる波に動かされる時こそ、み言葉に錨を降ろしていることを確かめる時なのだとも感じます。主の名のために家や家族を離れた者には、その百倍も報いがあるというみ言葉、主は私達のために立てた計画を知っておられ、それは将来と希望を与える計画だというみ言葉、多くのみ言葉に力づけられています。「わたしは感謝の声をあげ、いけにえをささげて、誓ったことを果たそう。救いは、主にこそある。」(ヨナ二・一〇)この原稿が読まれる頃には、カンボジアで感謝の声をあげていることと思います。皆様のお祈りに感謝しつつ、祈りつつ。
【祈りの課題】
1. カンボジアでの生活と語学研修が始まっています。不慣れな中でも守られますように。平安と喜びをもって、良く学べますように。
2. OMFカンボジアのチームの中で良い人間関係が築け、また友達が与えられますように。
「カンボジアへ思いを馳せ」
日本 菅家庄一郎、容子
日本に帰国して初めてカンボジア人がたくさん集まる集会に参加してきました。日本にいるカンボジア人留学生がチャリティーパーティを開いたのです。そこで寄付金をつのり、カンボジアの貧しい地域にある学校の設備費にあてたりするのです。世界中の美しい写真をコンピューターで背景に映し出していくところには、カンボジア人の美的センスを感じました。カンボジアの伝統的衣装と現代的な衣装を組み合わせたファッション・ショー、寸劇、伝統的な踊り(これは日本人の方がされていました)、など、わいわいと盛り上げていきます。最後は、お決まりのカンボジア・ダンスでしめくくります。忘れかけていたカンボジア語とカンボジア文化を思い出しました。
カンボジア人は多くの悲しみをかかえた民族ですが、大勢集まると笑いが絶えず民族としての独特の力を感じます。喜怒哀楽を激しく表現するカンボジア人から見ると、日本人はあまりにも静かでわかりにくい民族かもしれません。知り合ったカンボジア人学生達と個人的に交わる機会が与えられるようにお祈りください。九月二十八日にはOMF日本委員会が開かれます。一つ一つの議題に、主のみこころが示されるようにお祈りください。(庄一郎)
「この不況で、収入は昨年の七割。それでも、仕事があるだけでも感謝と思わないと。」あちこちで経済危機の打撃を聞き、心痛める毎日です。皆様の中にも、大きな危機の中にある方がおられるのではないかと思い主を仰ぐばかりです。それでも、見えるものにではなく、見えないものに目を留め、主に希望をおき、宣教の働きの為に祈り捧げ続けて下さっている皆様を心から主に感謝致します。
プノンペンの学生伝道チームは、今試練の中にあります。チームリーダーのパサン師一家は、ヘナ師の妊娠の関係で、六ヶ月ほどの予定でインドネシアに帰国されました。最近チームに加わったドリナ師も、健康上の問題で帰国され、ケリー師一人が残されました。まだ、語学研修も終えていないケリー師にとっては、どんなに心細いことかと思います。彼女のレターには、最近良く眠れなかったと書かれていました。けれども、そんな彼女を、主はみことばによって励ましてくださっています。最近学生と共に伝道の学びをした際には、その週のうちに学生たちが友人にはっきりと伝道する機会が与えられたことを感謝していました。主によりすがり、クメール語の習得に努め、学生たちを励ましているケリー師のためにお祈りください。同時に、シェムリアップやバンテアイメアンチェイといった地方でも、学生伝道の可能性が広がっています。主が収穫の地に働き人を送ってくださいますように。皆様の上にも、主の豊かな備えとみ恵みを祈りつつ。(容子)
【祈りの課題】
1. 9月21日〜24日、札幌で日本伝道会議が開かれます。ただ会議だけで終わるのではなく、聖霊が参加者一同に一致を与えて下さり、具体的にどのような行動にうつるべきか示してくださいますように。
2. 9月28日の日本委員会のために。忙しい中、多くの資料に目を通してくださる委員の先生方に主からの知恵と判断力が与えられ、一つ一つの議題に主のみこころが示されますように。
「拓け」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
「どうして、こんなに遠くまで、引っ越してきたんですか」という私の問いに「新天地を求めていろいろ探し回ったけれど、ここが一番気に入ったから」と答えてくれたのは、ラオスとの国境近くから、南下すること八百キロ、ミャンマーとの国境、カンチャナブリ県の西端に引っ越してきたミェン族のクリスチャン男性です。国立公園をいくつ通り過ぎたでしょうか。もうそろそろかな、あれ、まだ先があるんだ‥‥と思いながら、主人と交代で運転し、同僚のネリー・タム師、そしてクローンラーン教会の役員の方たちと、カンチャナブリ県にある唯一のミェン族教会を訪問してきました。往復全工程二千キロの旅となりました。
南の方向だから、蒸し暑いだろう、と思っていたのですが、涼しいを通り越して肌寒いほど。引っ越してきた二十家族中、五家族がクリスチャンで、指導者がいない中、集まることを止めず礼拝を守り、励ましあっています。何と麗しい主にある兄弟たちの交わりでしょうか。その姿に私が励まされました。皆様のお祈りを心から感謝いたします。 (たまみ)
カンチャナブリと言えば『戦場にかける橋』のある県。出稼ぎで南タイのゴム・プランテーションに行っているミェン族を別にすると、カンチャナブリのミェン族村が最南端の集落である。これは祖ミェン族が秦朝以来二千二百年ほどに渡って湖北省から移動した連続の最南端であり、出発点から見れば前進の最先端でもある。
森を開き、畑を拓き、家を建てるまで星空を眺めて休む。カンチャナブリに集落を形成した中心家族がキリスト者であることを思うと、ニューイングランド上陸のピューリタンの姿と重なる気がする。前人未到の地に踏み込む開拓精神はミェン族らしさのひとつだ。
北海道出身の私たち夫婦は、子供のころから雪原に最初の足跡をつける時に心が燃えるのを感じるのだが、これがミェン族に惹かれたひとつの理由かもしれない。今はアラスカにもミェン族教会がある。このミェン族らしさが、さらに雪よりも白くされ、宣教において発揮され、キリストの命令への従順をまっとうすることができるように。(達朗)
【祈りの課題】
1. 9月初旬の学会でミェン語識字教育に関する発表をします。真にミェン族のためになる研究、誠実、堅実、啓蒙的な研究ができるようにお祈りください。またミェン族自身の中からこのような学びに献身する人が興されるように。
2. ロンツィアンおじいさん家族の中では、嫁のメイフィンさんと、孫のムワンツォウさんがバプテスマの準備ができているようです。おじいさん自身と息子のツンツォウさんがさらにキリストの救いを理解し、そろって洗礼を受けることができるように。
「日本宣教への熱き思いに触れて」
日本 佐味湖幸
七月は、私の弟佐味健志が牧会する韓国サラン教会日本語礼拝部のリトリート、講師として招かれて行ってきました。
世界のあちらこちらの日本語礼拝に出席したことがありますが、ここの日本語礼拝は違うな、と感じさせられました。それは、韓国ソウルに住む日本人クリスチャンまたは、求道者の方々が集っているだけでなく、それ以上に日本人宣教に燃えている韓国人の方が多く出席されているということです。
リトリートはソウルから北西に一時間半ほど車で走った山の上の祈祷センターで行われました。百二十人ほどの参加者の内、二十人は子供。それも、クリスチャンホームの子どもよりも、ノンクリスチャンの家庭から来ている子どもが多いのにびっくりです。大人百名の参加者の内、日本人は三十人ほどでしょうか。あとは、日本文化に興味のある韓国人、そして何よりも日本人宣教に燃えている韓国人の方が圧倒的に多いのです。ほとんどの方は、日本語がペラペラで、説教を通訳機を使って聞いていたのは十人ほどでした。ただただ驚きです。リトリートは「宣教:韓国から日本、そして世界へ」というタイトルで、弟が二回説教し、私が子供集会とリトリート後の聖日礼拝の説教も合わせて三回させていただきました。礼拝の中で、この夏、短期宣教で日本へ行く二十数名の方々の紹介と特別賛美がありました。ほとんどが韓国人の方々です。宣教のチャレンジのメッセージを携えて行った私ですが、私の方が彼らの日本人宣教にかける熱い思いに大きなチャレンジを受けました。
その後、ソウル市で長く日本人教会を牧会されている吉田耕三先生のお世話になって、日本帝国からの独立運動、三一運動の拠点となった華城市堤岩里とソウル市の西大門刑務所歴史館などを訪ね、朝鮮が日本帝国に併合されていた暗黒の時代に何があったのかを展示物などを通して教えられました。日本軍による残忍極まりない愚行に日本人として本当に心が痛み、申し訳ない思いがしました。それと先に書いた韓国のクリスチャンたちの日本宣教への熱い思いを合わせて考えると、韓国の兄弟姉妹方の主にある赦しと愛に私は感謝でいっぱいになり、主を称えました。
【祈りの課題】
1. 日本の教会が正しい歴史認識を持ってアジアの諸国に謙遜に仕えることが出来るように。
2. 9月21〜24日の日本伝道会議における分科会での奉仕、またその前後の北海道教会訪問の祝福のために。
「宣教の連携」
カンボジア 今村裕三、ひとみ
七月中旬に数日間、バンコクに出張しました。目的は、先月号でお知らせしたOMFの奨学金制度を活用したカンボジア人牧師(ソムナン師、ビチェット師)の神学校での研修を視察することでした。一科目四時間の授業を二週間にわたる集中講座です。私も一日だけ八時間(二科目)、教室に座りました。英語での修士レベルのコースですので、カンボジア人にとっても大変だろうと察しました。また、彼らをいつも無料で宿泊させてくださっているタイ教会にも挨拶にいきました。この教会は、彼らを愛を持って受け入れ、日常の様々な必要を満たして下さっていました。聖日礼拝に出席し、教会の牧師、長老、宣教部会のメンバーに感謝の意を伝え、幸いな交わりを頂きました。日本と同じように百年以上の宣教の歴史に反して、クリスチャンは一パーセント前後というキリスト教会ですが、このような宣教の情熱には励まされます。この教会は、これからもカンボジア人のカンボジア国内の少数民族への宣教師候補者を準備の段階から祈り、支援してくださる予定だと聞き、さらに主の御名をあがめました。タイとカンボジアは隣国同士ですが、様々な感情が入りくむ間柄です。しかし、主にあって一つとされ、主の宣教の前進のために協力関係が広がっていくことを祈りながら、短い旅路を後にしました。(裕三)
クラチェ教会のセイハー先生が自分の腰痛・子供のシモン君(生後四ヶ月)の口内の傷みの受診の為、プノンペンに家族で出て来たので会う事が出来ました。しかし、セイハー先生は専門医不在のため、またシモン君はあまりの患者の多さに、他の病気をもらう事を恐れ、親子共に受診できませんでした。感謝な事に、何もせずにシモン君は元気になりました。カンボジア人の乳児は成長が標準以下の小柄な子が多いのですが、シモン君は、成長・発達も順調でとても嬉しかったです。
先月お祈り頂いているクラチェ教会のリーダー、ブンソンの妻ディビアは、何度かプノンペンの病院を受診し内分泌系の病気と言われました。病状は一進一退のようで、ディビアは最近、焦りの為「ベトナムの病院へ行こうか」と言い出しました。確かに医療的にはベトナムの方が多少進んでいるのですが、お金がかかります。もしディビアが内分泌系の病気であれば、長期の治療が必要です。ブンソン夫妻が適切な判断が出来るようにお祈りください。
現在、同僚宣教師のサリーさんが癌のため母国で治療中です。顎・舌・歯の一部を切除する大きな手術を終えたばかりです。彼女は二人の男の子(二歳と新生児)のお母さんです。彼らはベトナム国境近くの少数民族のために、働き始めた矢先のことでした。辺鄙な田舎で、しかも子供連れで主に仕えようという宣教師はそんなにいません。人間の益ではなく神様の益に目を向け祈る事が出来るように、またサリーさんの癒しのためにお祈りください。(ひとみ)
【祈りの課題】
1. カンボジアの宗教省は新しく規則を定め、すべての教会の再登録を要求しています。申請書だけでなく、教会員の個人情報まで提出する必要があります。さらに、地域によっては、お金を要求されているようです。多くの役人の判子が必要なため、その一つ一つの段階で「手数料」を取られるようです。このような状況においても主がご支配くださり、各教会が地域によい証を立てていくことができますように。各リーダーが政府との関係において賢い判断ができますように。
2. クラチェ教会のセイハー牧師、リーダーのブンソン兄、コーン兄のために。また、伝道に熱心なヒム姉の霊性が豊かにされて、益々主の働きが進んでいきますように。
「朋友」
派遣準備中 坂本朋子
名古屋からこんにちは。いつもお祈りありがとうございます。七月は関西地区の教会(上野芝、千代田、守山、岸和田聖書、岸和田北、チャペルこひつじ、大阪・京都のOMF祈祷会)、東海地区の教会(昭和橋、春日井栄光、イムマヌエル名古屋、名古屋緑福音、天竜めぐみ、KGK東海祈祷会、名古屋一麦と栄聖書の末松先生)を訪問させていただき、行く先々で祈りと励ましを頂きました。
美味しい食事、犬や子どもとのふれあい等を通しても、心と体が元気付けられました。また大学時代の聖研で一緒だった仲間とのなつかしい出会いもありました。ありのままの自分を知っている人に会えるのは、やはりほっとします。「朋ちゃん、昔と変わらないね〜」と言われて肩の力が少し抜けました。新しい場所に行く中で、いつの間にか「宣教師らしくしなきゃ」と自分にプレッシャーをかけてしまっていたことに気付き、もっと自分らしくいればいいんだと思わされました。
昨日はKGK(キリスト者学生会)の祈祷会に参加しました。学生たちとの出会いの中で、自分が学生だった時のことを思い出しました。学内聖研、世界宣教委員会で熱くなっていたあの頃、与えられた友、若さゆえに突っ走って失敗したこと等々、また卒業してから今までの様々な「点」であった出来事や出会いが、振り返った時に神様の御手の中できちんと「線」になっているのに気付かされ、ただひたすら主に感謝しました。
私の名前(朋子)は、多くの友が与えられるようにと親がつけてくれたものです。実際に神様は多くの友を下さり、今も祈りの友を増し加えてくださっています。これからも一人ひとりとの関係を大切にしながら、これから与えられる新しい出会いにも期待しつつ、八月からの関東の巡回に臨もうと思います。
【祈りの課題】
1. 9月6日〜20日まで東北地区を巡回します。出発前の最後のデピュテーションとなる東北の各教会で交わりが祝され、更に多くの祈り手が与えられますようにお祈り下さい。
2. 9月23日に母教会である高根沢教会主催のチャリティー・ランチョンでメッセージをします。一人でも多くの参加者が与えられ、タイ宣教に関心を持ってくださる方が更に起こされますように。
2009年9月号
page1
page2
TOP PAGE
|
OMF@宣教師.come
|
宣教ニュース
|
東アジア宣教ノート
宣教祈祷カレンダー
|
OMFについて
|
リンク
|
e-mail
OMFインターナショナル日本委員会■〒272-0035 千葉県市川市新田1-16-14
TEL:047-324-3286 FAX:047-324-3213 郵便振替:00100-0-615052
© 1999-2008 OMF International JAPAN. All rights reserved. designed by HFJ.