2012年5月号
page1
page2
「主を知らない民族と出会って −短期宣教ツアーに参加したあるクリスチャンからの寄稿−」
この夏、私たち一行はサーブ・アジア(短期宣教師の働き)で、北ベトナムを訪れ、現地の未伝の部族に伝道する働きに触れることができました。その民族の一つについてお伝えしたいと思います。
この民族の名前は、女性たちが着用している独自のスカートがその由来になっています。既婚女性は優雅に結いあげ、硬貨で飾りつけした髪型ですぐに見分けがつきます。
私たちは凍って青く見える河を見下ろす丘の上の、高床式住居に住むある家族と一日過ごしました。家族全員が一つの大きな部屋に住んでおり、家の外に出るとたくさんのエビが天日干しされていました。これは家族の収入源の一つとのことでした。
捕れたての新鮮な魚をおかずに食事をしながら、私たちは「未伝の部族」とはどんな人たちなのかを実体験できました。一緒に食事をした部族の人たちはヤハウェの名を全く聞いたことがありませんでした。なぜでしょうか?今まで彼らに伝えた人がいなかったためです。こうしてこの村で初めて、村人たちの口から彼らの言葉で神の御名が発せられました。私は真正面に座って食事をしていた部族の父親のやさしい笑みを今も思い出します。彼はただベトナム人というだけではなく、彼の部族独自の言葉や口承文化を持つ人でした。
この部族が神の子羊の御前に立つためには、主イエスが十字架上で世界をご覧になった同じような見方で、私たちが世界と宣教を見る必要があります。主は一つの人類の中に、失われている何千もの民族を見ておられたのです。彼らは永遠に神を礼拝するために創造されているはずの民族です。もし私たちによって、その機会さえ与えられるならば。
あらゆる民族のもとへ
神は世界をどのような視点で見ておられるのでしょうか?失われた人々、戦闘下にある国々、救いを知らない一人一人を見ておられる、と答えることができるかもしれません。
しかし、ここで他の視点を提案させてください。神は人々を民族というまとまりで、つまり固有の民族性・文化・性格・霊性、そして多くの場合独自の言語をもった個性を持つ、かけがえのない民族として見ておられると言えるのではないでしょうか。
多くの場合、私たちは世界を政治的な国家としてとらえがちです。しかし一つの国家の中にも何千もの異なる民族グループが存在する場合もあります。ベトナムは一つの国家ですが、百六もの異なる言語を話す、百十四の少数民族で成っており、あたかも色彩豊かなタペストリーのような国なのです。このようにして見ると、神の視点で見る世界は、私たちが想像するよりもより複雑で豊かな世界なのです。
しかし、このことがどうして重要なのでしょうか?全ての民族は神の救いの計画という織物の中に織り込まれているからです。聖書の両側、最初と最後から見てみましょう。最初の書には神がアブラハムに与えられた偉大な約束があります。「地の全ての国々は祝福を受けるようになる。」(創世記二二・一八)という、アブラハムを通しての神の御計画がここにあります。これは政治的な国家や個人個人を指しているのではありません。原文のギリシャ語「パンテ・タ・エスネ」は、「全ての民族、集団の人々」を指しています。神はユダヤ民族だけでなく、全ての民族を祝福する御計画を初めから常に持っておられたということに、皆さんは衝撃を受けないでしょうか?
最後の書、黙示録七・九には神の御目的が鮮やかな色彩をもって表わされています。「その後、私は見た。あらゆる国民、部族、民族、国語のうちから、だれにも数えきれぬほどの大勢の群衆が…御座と子羊との前に立っていた。」ここでも使われているギリシャ語は「エスネ」です。
これはイエスが亡くなられた時、全ての民族のために死なれたことを意味しています。黙示録五・九には「その血により、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から、神のために人々を贖い…」とあり、ここでも同じ「民族」という言葉が使われています。
イエスが神の厳しい怒りをその身に負われた時、彼はアラブ人、ヌン族、モン族、日本人、ユダヤ人、チモール人、アングロ・サクソン人などのために負われたのです。ここに宣教に心を向けている私たちにとって衝撃となるものがあります。もしこれが真実なら、私たちはまさに「まだ成し遂げられていない務めを目の前にしている」ことになります。世界には現実にまだ福音を聞く機会を与えられていない民族が六六四五(これは二十八億四千万人、つまり世界人口の四十一.一パーセントにあたる。―オペレーション・ワールドより―)も存在しているのです。彼らに対し伝道するクリスチャンが足りず、福音を十分に伝えられていないがために、「未伝」のままになっている人々です。そしてこの内で千六百五十八の民族については、「働きが始まってすらいない」、つまりクリスチャンが現地に全く存在せず、外部から福音を証する働き人もいない状態です。
これは永遠のいのちか滅びに関わる問題です。神を礼拝しないことにおいて、彼らに弁解の余地はありません(ローマ一・二〇)。そして、現在彼らは救いの望みなしに生きているのです。
「『おくりびと』の仕事」
日本 菅家庄一郎、容子
二月には「のぞいてミッション」で佐味湖幸師を派遣する祈りの時と、西村信恵師へ主事の働きがバトンタッチされる時を持った。元OMF宣教師の小川文子師の派遣式にも参加した。三月十一日には佐味湖幸師を祈って送り出す会が開かれた。六十〜七十名くらいの方々が福音交友会の諸教会を中心に集まってくださった。四月十五日にはキリスト兄弟団・深川キリスト教会で、西村信恵師の派遣式が行われる予定である。各地で多くの方々が宣教師を祈って送り出して下さる。
しばらく前に「おくりびと」という映画が上映されていた。死者を「あの世」へ送る人、納棺師の話だ。様々な「送る会」に出させていただいて、この「おくりびと」の映画のことを思い出した。
映画の「おくりびと」の仕事は、死者にふさわしい儀式をほどこして「あの世」へ送り出せば終わりとなる。しかし、私達の仕事は主に召された人を主の御心の宣教地へ送りだした後からが大切なのだ。
宣教地には多くの困難、戦い、誘惑がある。働き過ぎて健康を害する、救霊の重荷を失ってしまう、夫婦や子供の問題で悩む、母教会との関係がこじれてしまう、同僚との関係がうまくいかない、宣教地の言葉がどうしてもうまく話せない‥‥宣教師はこのような問題に実際に直面するし、今もしているのだ。宣教師はスーパーマンではない。
政治的な危険、不便な交通機関、質素な食生活、スターバックスやスマホとは無縁の生活をしている人々の生活を想像しよう。宣教師からの手紙を穴のあくほど読んでみよう。霊的・肉体的・経済的な必要が満たされるように祈ろう。手紙を書いてみよう。時間があれば訪問してみよう。近くのOMF祈り会に参加してみよう。
日本にいる私達は皆、大切な宣教師を派遣しているおくりびとだ。「派遣式」に参加したらおしまい、ではなく、共に宣教師の働きを支えていこうではないか。(庄一郎)
デボーションの助けになるテキストはありますかと聞いてこられた姉妹に、母教会の一日一章を紹介したところ、喜んで続けておられる。娘さん曰く、お母さん、落ち込みにくくなり、他の人を気遣う心が強くなってきた、みことばの力ってすごい!とのこと。また、ある姉妹は難しい隣人を赦すよう神様から語られていたが、赦しは感情ではなく意志の問題で、何度も何度も繰り返し赦す決心をすることが必要と知らされ、神様に祈り応答していく中、不思議なようにわだかまりから解放され、良いお別れが出来たとのこと。ある姉妹は、しなければいけないと示されていたことがなかなか出来ず苦しんでいたが、従ってやった時、神様の祝福とはこういうものか、という経験をしたという。若い頃の辛い経験から、努力しても報われない、と心に刷り込まれていた彼女に、神様はみことばに従う時、祝福されることを、分かりやすく実際に経験をもって教えてくださっている。これらはみことばの影響を受けている姉妹たちの証だ。同時に、神様にさらに具体的に従おうとする時、思わぬ問題が起こることがある。神様が働かれる時、敵も大いに働く。サタンは私たちを責めたて、恐れさせ、疑わせ、失望させる。逃げて隠れてしまいたい誘惑が来る。そんな時こそ神様の光の中に出よう。それは、互いの交わりを保つこと。そこでは罪からのきよめが伴う。( I ヨハネ一・七)共に神様の働きと勝利をさらに見せて頂きたいと祈っている。(容子)
【祈りの課題】
1.庄一郎師は5月12日から25日まで、札幌へ2つの会議のため出かけます。OMF日本フィールド会議(15−17日)と、聖書と文化に根差した教会形成に関する会議(21−25日)に参加するためです。主にあってよい貢献ができますように。
2.容子師は5月28日から31日までシンガポール国際本部にて持たれる女性リーダーのリトリートに参加します。良き交わり、学びの時とされますように。留守中の家族のために。
「試練の中にある主の栄光」
タイ 坂本朋子
いつも皆さまの尊いお祈りを感謝いたします。残念なお知らせをすることとなってしまいました。健康上の理由でしばらくの間タイを離れ、日本で治療に専念することとなりました。そのため宣教ニュースを書くのもしばらくはお休みとなります。全く予想していなかった事が自分の身に起こり、様々な思いが頭をよぎりますが、ローマ八章二十八節にあるように、神は神を愛する人々のためには全てのことを働かせて益としてくださる方であると心から信じ、この試練の中に必ず神様が栄光を現してくださると信じています。事実、主はすでにこのマイナスに見える出来事を通して素晴らしいことをしてくださいました。今そのことを皆さまにお伝えしたくてこの原稿を書いています。
私にずっとタイ語を教えてくれて皆様にも祈って頂いていたゲーさんは、今回の急な私の帰国にショックを受けましたが、そのことを通して私達は神様の主権と愛について色々な話をしました。その中で彼女が最近神様に直接祈るようになったこと、祈りを通して神様と親しくなっていること、さらに様々な問題で苦しんでいる友人にも祈ることを薦めていると話してくれたのです。私たちのチームは毎週水曜日に礼拝していますが、私が帰国する前ゲーさんは初めて自分からこの集会に参加してくれました。また、アルコール中毒で苦しんでいたボーイさんが最近イエス様を信じる決心をしたのですが、彼も初めて集会に足を運んでくれました。
ライトハウスで親しい人たちだけを集め、私のために小さなお別れ会が持たれました。そこでも素晴らしいことが起きました。チームリーダーのリチャード師の話の後で私が短く証をしました。その後リチャード師が祈る予定でしたが、タイミング悪くお客さんが来てしまい、彼は席を立たなければならなくなり、誰に祈ってもらおうか迷っていました。するとゲーさんが「私が朋子のために祈ります」と言って、私のために心のこもった祈りをささげてくれました。 ゲーさんに信仰がなかったら、参加者のほとんどが仏教徒である場所であのように堂々と祈ることはできなかったと思います。最後に彼女は私の肩を抱いて号泣し、私達は一緒に泣くことができました。以前のゲーさんを知っている人は彼女のこの変わり様に驚きます。どんな辛いことがあっても決して人前で涙を見せてはいけないと私を諭したゲーさんが、人目をはばからず泣くことができたのは聖霊が彼女の心を解放してくださっている徴だと私は信じています。
ゲーさんがますますイエス様の愛にふれ、彼女の家族にまで救いの御業が及びますようにお祈りください。また人間的には宣教師が減ってしまい大変に見えるランパーンチームですが、このような状況さえも主が益と変えてくださり御業を成し遂げてくださるようにこれからも是非お祈りください。
【祈りの課題】
1.現チームリーダーであるリチャード・チョー師と奥さんのリサ師の上に神様の知恵と力、具体的な助けが与えられますように。三人の子どもたち(ルカ、エイデン、シアナ)の成長と信仰が守られますように。
2.ゲーさんのイエス様に対する信仰が守られ成長しますように。イエス様を信じてアル中から立ち直りつつあるボーイさんが、特にアルコールの誘惑から守られますように。
「南三陸を訪問して」
日本 木下理恵子
やっと春を感じる日々となってきました。皆様お元気でお過ごしでしょうか。いつものお祈り、ご献金をどうもありがとうございます。
三月十五〜十七日と賛美フラ・ミニストリーの皆さんと、南三陸を訪問しました。被災地に立ち、一年経っても復興はまだこれだけと、被災者でなくても、なんとも言えない歯がゆさを感じました。でもそうした中で、この一年ずっと南三陸の方々を支援し続けて来られた、キリスト聖協団西仙台教会の中澤竜生先生ご夫妻、ご家族のお働きは、本当に素晴らしいものでした。
先生方はこの一年間、週数回、往復五時間かけて南三陸に通っておられます。口の重い被災者の方々が「これが欲しい」と言って下さった時、すぐにそれを買いに走り、被災者の方々にお配りしたり、何度も何度も涙ながらの苦しい、悲しい思いを聞いたりしてこられたそうです。そうした事を通して築かれた確かな信頼関係は、被災者の方々の先生方に対する態度や会話でもよくわかりました。また先生方と一緒に行った私達をも受け入れ、歓迎して下さる姿にも強く感じました。たった一人の方に、心のこもったサプライズをなさるのに私たちも加わらせて頂き、その方が驚きと喜びの涙を流され、今まで言わなかった心の思いを話される時、こんな風に皆さんの心にも体にも寄り添って来られたのだなあと実感し、感動しました。
南三陸は大震災前は教会が一つもなかったそうです。それが未信者の方から先生方に「教会を建てるように」と二か所の土地の献品があったそうです。そこに「クリスチャン・センター」が建てられ、更なる活動が進められようとしています。このセンターが完成した時、管理者となる被災者の方は、「クリスチャンになる」と言われ、とても近くまで来ているそうです。どうぞこの方がはっきりと主を信じ、救われるようお祈り下さい。またセンターを建てて行く上での必要がすべて満たされますように、そしてクリスチャン・センターが主に用いられ、南三陸の方々が主の愛と存在を知ることが出来ますように、教会の無かったこの地に、教会が建ちますようにお祈り下さい。
【祈りの課題】
1.中国語集会のA姉妹のお母様の救いのために。病院に行っても治らない肩の痛みのため、A姉妹に勧められ自分でも祈るようになっています。5月2日に訪問し福音を語る予定です。心が整えられ、福音を理解し、主を信じ受け入れられるように。
2.南三陸でずっと支援しておられる中澤竜生先生ご家族を感謝。未信者から献品された土地に建てられるクリスチャン・センターが主に用いられるように。信仰告白の近くまで来ているセンターの管理者になる予定の被災者の方が、はっきり主を信じ救われるように。すべての必要が満たされるように。
2012年5月号
page1
page2
TOP PAGE
|
OMF@宣教師.come
|
宣教ニュース
|
東アジア宣教ノート
宣教祈祷カレンダー
|
OMFについて
|
リンク
|
e-mail
OMFインターナショナル日本委員会■〒272-0035 千葉県市川市新田1-16-14
TEL:047-324-3286 FAX:047-324-3213 郵便振替:00100-0-615052
© 1999-2012 OMF International JAPAN. All rights reserved. designed by HFJ.