2012年8月号
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「声なき者の叫びを聞かれる神 −中国各地の働きから−」
すぐにランランはこの新しい仕事が友人から聞いていたようなものではないことに気がつきました。物売りの時に比べれば、ランランも売春宿にいる他の女性達も確かに倍の収入を得てはいましたが、それは自らの身体を犠牲にしての話でした。報酬に対する代償は余りに大きかったのです。
「もうたくさんよ!」ある日、ついに耐えられなくなった彼女は、叫びながら表の通りに飛び出してしまいました。客と売春宿の経営者が追いかけて彼女を捕まえ、どなりつけ脅しました。
キリスト教系の避難所の経営を手伝っているシェリーが通りかかったのは、ちょうどその時でした。彼女はアクセサリーを作る作業所を運営しており、売春から抜け出したいと願う女性達を雇用することで、彼女達を助けていました。シェリーはランランを抱きしめ、こうささやきました。「ここで働きたくないなら、他の道があるわ。あなたに他の仕事をあげられる。」
それから二ヶ月後、紆余曲折はあったものの、心穏やかに作業場の机に向かってアクセサリー作りの仕事に励むランランの姿がありました。彼女は既にカウンセリングと性病の治療を受け、聖書を学び、いつか学校に戻ることを願いつつ貯金を続けています。
この避難所の長期的な目標は、こうした売春によって傷ついてしまった女性達の精神的、身体的、霊的な回復です。彼女達は二年間この避難所に滞在でき、その間に身につけたアクセサリー製作の技術を生かすか、他の職を探すなどして自活できるよう指導を受けます。その中にはイエス・キリストを自分の主、救い主として受け入れ、新たな希望を持って出て行く女性達もいることでしょう。
お祈り下さい
「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」( II コリント五・一七)
◆この避難所に主の祝福の御手があるように。主がこの場所を用いて下さり、多くの女性達が売春から抜け出すことができるように。
◆既に売春業に関わっているか、これから身体を売ることを考えている女性達のためにお祈り下さい。彼女達がそこに潜む危険と、長期的にどんな悪影響があるかを理解することができるように。又、キリストにある希望を見いだすことができるように。
◆売春業で女性達を搾取し、そこから利益を得ている人々のためにお祈り下さい。罪を悔い改め、福音を知ってその人生が変えられるようにお祈り下さい。
◆このような危険な状態に置かれている女性や子供達を支援するために、アクセサリー製作業だけでなく、様々な職種がさらに開拓されていくようお祈り下さい。
「山からの景色は素晴らしいけど、そこまで登るのは大変だよ。」スー・ウェイは彼の村に続く山道のことをこう言います。高齢と幼少時にかかったポリオの影響で脚が不自由な彼にとって、山登りはますます辛いものになっています。
スー・ウェイは中国西部のある少数民族に属する男性で、ずっと僻地の山あいの村で生きてきました。村の子供たちの中には、近くの村の小学校の三年生まで進み、少し読み書きができる子もいますが、多くの村人達と同様、スー・ウェイは読み書きができず、貧しい生活を続けてきました。
ある日のこと、中国人と外国人のチームが彼の村にやって来ました。彼らは村の支援を申し出てくれましたが、村のリーダーの要請を受けて、最も大きな問題の一つである北京官話の読み書きのクラスを週に一度のペースで始めました。週末になると、このチームは山道を登って村を訪れ、村人達に読み書きを教え、一晩村に泊まっていくのでした。
このチームは羊銀行プロジェクトも始めました。村人達は羊を借りて飼育し、生まれた子羊は自分たちの所有として売ることができ、収入になるのです。こうしてスー・ウェイと村人達は、もとから村の周囲に豊富にある牧草地で羊を飼育するようになりました。
チームと村人達との絆も深まり、村人達の生活も良くなってきました。時がたつにつれ、チームの人々は村人達になぜ彼らを助けたいと願うのか、そのわけを話してくれました。彼らに対する、そしてすべての人々に対する神の愛が、人々に尽くしたいという思いに彼らを駆り立てるというのです。彼らは村人達に聖書の話、イエスという名の救い主のことを話してくれました。又、イエスの名によって、スー・ウェイや他の病に苦しむ村人達のために祈ってくれました。驚いたことに、弱っていたスー・ウェイの足も、その後具合が良くなっていったのです。
スー・ウェイは聖書の話に強く惹かれました。チームがくれたイエスの生涯を描いたビデオを、彼はその大部分を覚えてしまうほど熱心に何度も繰り返して観ました。彼はこのビデオが伝えようとしていることーイエスは神であり、世界のための救い主であることーはもしかして本当かもしれない、と思うようになってきました。
お祈り下さい
「すると、王は彼らに答えて言います。『まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。』」(マタイ二五・四〇)
◆中国農村部の生活改善に従事する人々のためにお祈り下さい。村々に長期的に持続可能な支援を続けるために、必要な愛と創造性と知恵が与えられるようお祈り下さい。
◆貧しく見落されがちなこうした村々に福音を伝えるための機会が与えられるように。人々にいのちを与える神の恵みのメッセージに対し、人々の心が開かれるようにお祈り下さい。
◆農村部の生活改善に携わるクリスチャンの努力と働きが進み、貧困問題と農村の人々の生活改善のためによい効果をあげることができるようにお祈り下さい。
「もし家にいて娘の世話をしていたら、私たち親子は食べていくことができません。でも仕事を探しに外に出て行ったら、誰が娘を見てくれるんでしょう?」ここは中国中央部のある農村。一部屋しかない掘っ建て小屋の外で、その母親は横にいる一人娘を見ながら目に涙をためつつそう言いました。
九歳のミーミーは、本来なら学校に行っている年です。しかし身体に障がいを持つ彼女は手も脚も動かせず、声を発することもできないのです。
障がいの原因もわからず、リハビリや薬物療法による改善の見込みも少ないことがわかり、私たちチームは無力感を感じました。暗澹とした気持ちで、次の村に行かなければならなかった私たちは、その親子に二、三ヶ月後にまた来ますと約束して別れました。
しかし、神は見ておられ、心に留めておられたのです。神は言葉にならない声、言葉にならない祈りを聞いておられるのです。
二、三ヶ月後再びその村に戻った時、かつてのように彼女が小屋の外にいるものと思っていた私たちは驚きました。不安定ながらもミーミーが歩いていたのです。しかもちゃんと行く先を定めた歩き方でした。母親が私たちの所に駆け寄ってきました。その目には涙があふれていました。「私は娘を取り戻したんです!」彼女はそう叫びました。私がスタッフに彼女に何をしたのかと聞くと、彼らはこう言いました。「そうですね‥。少しリハビリ訓練をしました。歩行訓練用の平行棒も用意して‥そして彼女のために祈りました。」今回の私たちは、喜びとたった今目撃したことで、驚きの念に満たされつつ、次の村へと進むことができました。
中国には二十五万人以上の障がいを持つ子供たちがいますが、その中で支援を得られる子供はごくわずかです。この二、三年間で私たちは障がいを持つ子供や大人が各地域でリハビリ訓練や車椅子、松葉杖を得られるようなリハビリセンターのネットワークを作ってきました。しかしまだ様々な大きな課題が残っています。訓練を受けた専門の言語療法士も、作業療法士も、特殊分野専門の教師も、精神的な病を持つ人々のためのプログラムもありません。その願いや必要や夢を表現することができない人々がたくさんいるのです。
声なき人々の魂の歌を聞き取り、声や希望や尊厳をもたらす働き人がもっと必要なのです。
「五人のバプテスマ」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
明日、日本からオーストラリアへ出発、という時にこの原稿を書いている。
父の葬儀の後、母を妹に委ね、六月初め一旦タイへ戻る。主人に合流し、あたふたとかなりいい加減な荷造りをする。
どうにも収集がつかなくなったところ、見かねた隣家のムワンツォウ婦人伝道師達が手伝ってくれた。「後は私たちで片付けておきますから、早く出発してください。」と言われ出てきた。彼女は我家の管理を、娘のジューンちゃんは猫の世話をしてくれる。六月中旬、今度は夫婦で日本へ立ち寄った。
「ご主人はミェン語の調査、分析、研究をするとして、あなたはオーストラリアで何をするのですか?」と良く訊かれる。答えは簡潔に言うと「主人の助手全般」。そこではミェン族教会の奉仕は物理的には無いが、祈りによって働きに加わる。だから、タイでしてきたことをそのままメルボルンですることになる。配慮あるよき助手になる事ができるようにお祈りください。(たまみ)
バプテスマ(洗礼)式のためお祈りくださりありがとうございました。六月、タンマジャーリク教会で約一年準備をしていた五人全てがバプテスマを受けました。ある人は六年ごしの祈りの結実でした。喜びの日でした。
この式は私にとっても特別。どういう意味で特別か?きちんとした聖書の学びを経て、キリストの十字架の意味をよく理解し、真摯な罪の告白をし、イエス様を個人的に心に受け入れる祈りをしてクリスチャンになった人たちを目の当たりにしたのは、私にとって実に久しぶりのことだったのです。前任者がいた七年間にもそういう人たちはいました。
しかし、その前後約三十年の間の受洗者はほとんど、内容の伴わない、形式的な儀式をしただけの人々でした。それでクリスチャンと名乗っていても、大酒飲み、賭け事中毒、不道徳な者、聖書を知らない信者、警察を欺きながら不法を続ける者たちが未だに多いのです。こういう人たちに囲まれていても、今回生まれた新しい五人の神様の子供たちが、悪影響を受けることなく成長できるよう祈ってください。
五人の内の一人ニンさんは、ミェン族の家に嫁いだアカ族の若い奥さん。罪の告白の祈りをお導きした時、彼女は堪能なミェン語でまず祈りました。「アカ語でも祈っていいですか?」と言うので、そうしてもらいました。ひと言、ひと言、かみ締めるように発話するたびに、涙をぼろぼろとこぼしながら、最後まで祈りました。私の全く理解できない言語でしたが、神様と真剣に交流していることが良く分かり感動しました。母語の深さと迫力を感じました。
ミェン族の若者たちにミェン語の深さと迫力を知ってもらえるような博士論文をオーストラリアで書くことができるようにお祈りください。(達朗)
【祈りの課題】
1.2015年まで3年の予定で言語学博士課程の学びが始まりました。半年ごとにオーストラリアとタイを3往復します。指導教官とよい関係を築くことができますように。
2.罪を犯して公に悔い改めていない元教師が、その家族を利用してタンマジャーリク教会に入り込もうとしています。教会とバプテスマを受けたばかりの5人の姉妹たちに悪影響が及ばないようにお祈りください。
「ニュー・ホライゾンズの働き(一)」
シンガポール 佐味湖幸
世界宣教の働きは、ここ三十年で大きく変わったと言われています。宣教師の動きはいわゆる西洋諸国から途上国(北から南)へという動きから、世界中の至る所から、世界中へという風に変わりました。今や宣教師の多くは南米、アフリカから送り出される時代になったのです。
OMFは世界十八カ国に派遣側の事務所がありますが、今後は派遣事務所がない国々からの人々を積極的に受け入れていくことになり、この四月正式に「ニュー・ホライゾンズ(新しい地平線)」という新しい宣教師派遣側の部署を立ち上げました。
と言っても、現実にはどこの国からでも働き人を受け入れるのは難しさがあります。宣教団体は、派遣国の教会との密接な良い協力関係が必要だからです。 そこで、私たちは南米にミュレイ師、北欧・東欧にブラッシ師を派遣して、宣教動員の働きを進め、宣教に関心のある人々とのコンタクト作り、リクルート、教会や宣教団体との協力関係作りに力を入れることにしました。また、南アフリカ在住のネスビット師がこの働き全体の経理を担当してくださり、また南アフリカ周辺からの宣教候補者のお世話にも協力してくださることになりました。フラー師は全体の責任者として、今後も世界規模で様々な宣教団体との協力関係を強めていく働きを進めて行きます。
この部署での私の役目は人事に関することですが、大きく分けて三つあります。一つはOMFへ申し込みをしてくる人たちの申請手続きのお世話と審査。二つ目はすでにこれらの国々から宣教地に派遣されている人たちの「派遣側」としてのメンバーケア。そして三つ目はそれらの国々の教会、宣教団体との協力関係を作り進めていくための働きです。
次回から何回かに分けて、もう少しそれぞれを詳しくお知らせします。皆様のお祈りに感謝して。
【祈りの課題】
1.佐味師はベス師と共に、8月12日に中国宣教会というシンガポールの教会でOMFの働きを紹介し、祈っていただく宣教集会でお話をします。良い準備ができ、この教会からさらに東アジア人宣教のために立ち上がる人々が与えられますように。
2.スウェーデンのポントス兄、コスタ・リカのダイアナ姉がそれぞれ東アジアで2年から3年協力宣教師として働くための準備をしています。それぞれの母教会から良い理解とサポートを得ることができるように。
「タラーの人々」
カンボジア 今村裕三、ひとみ
ストゥン・トラエン州のタラー地区で礼拝が再開しました。時に三人という小さい群れです。
子供を教えられそうなクリスチャンは今のところいないので、私が子供達を教え始めました。
今来ている子供達は十才で小学一年生、一番年上が三年生ですが、それでも読むことが十分にできません。カンボジアは小学校でも毎年進級試験に受からないと次の学年に上がれません。畑仕事や弟妹の子守りなどの理由で留年する子が多く、年下の同級生と勉強するのが恥ずかしくなり、途中で学校をやめてしまう子供も多いです。また田舎の学校は先生のレベルが低く、五年生くらいにならないと読み書きできない所が多いと言われています。
私の目標はそこに住んでいる人が、自分たちで再現できる教会学校です。そのため、現地で手に入りにくい子供の興味を引く綺麗な絵は使わず、おやつもあげません。当初、外人を見るという興味でやってきていた子供は来なくなりました。
子供達は賛美が大好きです。カンボジアの学校では音楽教育をしている所は少ないので、リズムや音程はかなりバラバラです。しかし、一緒に道を歩いている時も何十回も楽しそうに歌います。なんて可愛い子供達だろうと思います。神様が与えてくださる恵みです。
何をすべきか、すべきでないかを神様からの知恵を与えられ、すべきことができるように、又、子供達が真実の神様のことを喜んで学ぶことができるようにお祈りください。(ひとみ)
タラー区で礼拝を始めて分かったことの一つは、字を比較的きちんと読める人が殆どいないということです。説教の中で、「ではこの聖書の箇所を開いて下さい」と言うことが出来ない現実に出会いました。カンボジアの識字率は統計上は改善していますが、実際の生活の中で字が読める人は四十%に満たないという研究もあります。右記のように、小学三年生の子も読むのが精一杯という感じです。
将来的には識字教育も視野に入れた計画が必要かと祈り始めました。神様の声をしっかりと聴くことができるように共に祈って下さると感謝です。
また、六月最終週にはOMFカンボジアの年会がありました。講師であるカンボジア福音同盟の総主事ヘン・チェーン師にメッセージを頂き、カンボジアの教会や宣教の現状についても質疑応答の時を持ちました。ヘン・チェーン師の豊かな経験と深い洞察力から多くのことを学ぶことが出来ました。現地の人々に福音を伝えるために、カンボジアの文化をさらに学び続けること。そして、プログラムではなく、私たちの信仰生活を現地の人たちと共有していく中で、神様の真実を分かち合っていくことが大切なことだと教えられました。(裕三)
【祈りの課題】
1.続けてタラー地区のグループのために。ウドムくん(10歳)が神様と出会うことができますように。
2.カンボジア教会交友会アドバイザーとしての奉仕の上に導きと祝福があるように。8月18日は女性リーダーの集いがあります。よい学びと交わりの時となりますように。
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