2014年9月号
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「帰国者クリスチャン」
日 本 ディアスポラ伝道 横山好江
海外で救われる人は多い。しかしその人達が日本に戻った後に教会に定着するのが難しい。在外邦人伝道に携わり、今は帰国者ミニストリーに携わる者として常にこの事をお伝えし、定着率が少しでも上がるように努めています。教会巡回をすると、この状況を初めて知ったという驚きの応答に出会います。しかし、ここ何年も教会巡回する機会が無い中で、つい最近ある交わりでお話ししたところ、大変新鮮な反応を受けました。例えばイギリスの英語の教会で信仰に導かれ受洗した人が、帰国後日本の教会で初めて日本語の聖書を開き、日本語で礼拝し、日本語の讃美歌を歌う場合の大きな戸惑い。目にし耳にする日本語が難しくて分からない。口にしたくても出来なくて大変困る。その人と接する教会員はなぜそんなに困るのかが理解できず、どう接したらいいのか戸惑う。日本人なのだから分からなきゃおかしいと、本人が出来ないことを期待して接し、本人の足は教会から遠のいてしまう。―英語の教会で受洗した人が日本に戻って近くの教会で経験する、ひとつのシナリオを紹介したところ、「でも、その人は日本人でしょう?」と素朴な疑問を真剣に投げかけてくれました。本人は渡英前、教会とも聖書とも全く接点がなく、キリスト教に導かれたのはイギリスで、そして英語でだった。日本語環境では全くなかった。帰国後初めて日本語環境で信仰生活をスタートした、ということを説明し、その質問者はご自分の異文化経験を思い出されて語って下さり、納得して下さいました。
帰国者への教会紹介は私の日常の仕事の一部です。昨年の七月に福音的な英国国教会で受洗し、イギリスから東京に戻る方のために教会紹介をしました。東京のお住まいに近い教会を紹介し、そこの牧師が心広く受け入れ導いて下さり、本人の戸惑いに寄り添い、質問に丁寧に答えて下さり、この九月に転入会式を行なうところまで導かれました。英語が堪能で福音をよく理解し、非常に積極的に新しい事に挑戦する方だそうで、帰国者が直面するいろんなハードルを克服することができたようです。牧師が転入会の備えの中で特に時間を費やしたのは、教会における献金や奉仕についてだったそうです。数年間のイギリス滞在でも、教会生活を訓練するところまではなかなかいきません。ご本人がよく質問され、このハードルも乗り越えつつあるようで御名を崇めています。
帰国者クリスチャンの教会定着率が上がるように。このために在欧日本人宣教会が主催する「架け橋・一泊リトリート」が、この十月十七日~十八日に東京で行なわれます。来年九月には全国帰国者大会が予定されています。
http://globalreturnees.org/grc15/主が用いて下さるよう、お祈りいただけると幸いです。
【祈りの課題】
1.10月17日~18日に東京で行なわれる「ブリッジビルダー/架け橋・一泊リトリート」(主催:在欧日本人宣教会)が用いられ、帰国者クリスチャンの信仰生活、教会生活が励まされますように。
2.3年に一度のディアスポラ伝道部全体修養会が10月20日から1週間、デンバー(アメリカ)で行なわれます。主が全てを祝し用いてくださいますように。
「これで最後にしたい、三度目のオーストラリア」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
メルボルンの空港に着くなり、「こんなところに長々と居ることはできない。早く論文を書き終えてタイに戻らねば。オーストラリアはこれが最後だ!」と焦る思いがこみ上げてきました。
翌日、副牧師ご夫妻から食事に招かれ帰豪の歓迎を受けました。タイでの奉仕のため、詳しい情報に基づいて熱心に祈ってくださっていたことがよく分かりました。最初の礼拝でも、アンドリュー副牧師は会衆代表祈祷でミェン族宣教のために祈り、さらに、一ヶ月以内にセルグループで宣教報告会を開き、六月にバプテスマを受けた四人のミェン族の兄弟たちの成長のため祈りが捧げられました。
メルボルンには、いたる所に洒落たカフェがあります。おいしいピザとともにイタリアからの移民が多いことの現れです。先日は主任牧師ニール先生が研究所近くのカフェに連れ出してくれて、「あなたの論文が完成したら、バンドゥーラ長老教会からミェン族の地域へ短期奉仕チームを送りたい。来月(八月)の小会(セッション=役員会)で企画を発表してくれ」という話になりました。
このカフェに先立ち、ニール師には私から「論文の進み具合をいつでもチェックして私にプレッシャーをかけてください。去年のように聖書を教えたり、洗礼準備を引き受けたりしないように、何ページ書き進んだかいつでも聞いてください」とお願いしてありました。このような関係を説明責任関係といいます。
タイでは私たち夫婦はいつの間にか、ミェン族の牧師たちを教えたり叱ったりする働きが多くなっていましたので、この年齢になっても人の監督の下に服するということがどうしても必要だと、祈りの中で示されていました。ニール牧師はそれを引き受けてくださり、初回は「ミェン語文法とギリシャ語文法はどのように違うか説明せよ」などの質問を準備してカフェラテをご馳走してくれたのでした。
「これで最後にしたい三度目のオーストラリア」と思いましたが、ニール牧師、アンドリュー牧師との親しい兄弟関係をプレゼントしてくださった神様に感謝しています。
「これで最後」にはならない様子です。私たちがタイに戻っても、同教会から私たちの所へ長期的宣教師を遣わすことを祈り始めてくださっているのです。神様はミェン語文法を書かせるためだけに私たちをオーストラリアへ導かれたのではなく、こちらの教会がミェン族宣教へ真剣な係わりを始めるためにも、この道を開かれたのだと分かってきました。(達朗)
先月号で主人が「瞬きのうちに過ぎ去ったタイでの五ヶ月」と表現していましたが、私にとっては嵐の中を一気に通り過ぎてきた感があります。そして、飛行機という便利な乗り物を移動に使うと、環境が数時間で夏から冬に早変わり。温度差に体がすんなりついて行きません。以前には経験しなかった体調です。メルボルン到着後、二週間は頭も体もぼ~っとしている感じでした。ですが、カゼをひくことも無く守られています。皆様のお祈りを心から感謝いたします。
こちらで知り合いになった方々との再会は、家族に会う感じで何と嬉しいことでしょうか。今年一月にタイへ戻る前に、バンドゥーラ長老教会の方々に委ねた、日本語の聖書を読む会をしていた女子大学生は洗礼準備に。韓国人のご夫妻は日曜礼拝に出席し、奥様は日本語の聖書を読み続けており、ご主人は家庭集会にも出席しています。また、洗礼を家族で受けられた日本人ご家族も信仰が確かなものになってきています。神様の家族のチームワークの素晴らしさ。皆様のお祈りあってのチームです。ともに喜んでください。
さて、女子大生を担当してくださった日本人の女性は、去る五月に出産を迎え、聖書を読む会は一ヶ月お休み。私たちの帰豪で私が継続してこの女子大生と再び日本語の聖書を読む会をします。(1)この方の洗礼準備が守られますようにお祈りください。(2)また、十月に日本へ戻る韓国人のご夫妻との交流が守られ、奥様との聖書の学びを通して、この方が日本へ戻られてからも、聖書を読み続けていくことができますように。また、日本の地で教会へ行き、信仰の決心へ導かれますようにお祈りください。(たまみ)
【祈りの課題】
1.12月までにミェン語総合文法の第一次原稿(18章)を仕上げることができますように。体力と生産性と規則正しい運動の機会確保のためお祈りください。
2.3年に一度のディアスポラ伝道部全体修養会が10月20日から1週間、デンバー(アメリカ)で行なわれます。主が全てを祝し用いてくださいますように。
「予期せぬこと」
一時帰国中 佐味湖幸
六月号と七月号の祈祷課題にイギリスでニューホライゾンズの会議があり、その後イギリスで休暇をとるのでお祈りくださいと書きました。そのためにお祈りくださった方々もいらっしゃることと思います。感謝します。実は、予期せぬことが起こり、会議には予定通りに出席しましたが、その後の休暇はとらずに、とんぼ返りで帰国しました。母の腎臓の状態が急に悪くなり入院することになったためです。感謝なことに、母は一か月後に退院し、七月末現在、投薬と食事に気を付けつつ、自宅でボチボチと普段の生活に慣れていっています。七月後半の予定もキャンセルとなり、大阪の実家に予定より長く留まることとなりました。
イギリスでの会議は、これまでの二年間の歩みを振り返りつつ、将来を見据えて、チームのヴィジョン(幻)とミッション(宣教)をより鮮明にすることが出来ました。また、来年からのOMF全体の組織改革に伴い、ニューホライゾンズチーム体制の変化についても話し合いました。インターナショナル・ファシリテーターと呼ばれるチームの新しいまとめ役に、全員一致でブラスキ師が選ばれ、来年からは彼のリーダーシップのもと、ニューホライゾンズチームが動きます。私は今まで通り、人事関係の責任をとりますが、イギリスに拠点を置くブラスキ師と緊密に連絡を取りながら働く必要があり、現在のリーダーであるエリオン師から私の働きの拠点をシンガポールからイギリスに移すことが提案されました。実際にはヴィザ取得のことなど、幾つかの検討事項があり、まだはっきり決まっていませんが、物事が私の計画ではない方向に動くときにこそ、人知を超えた主のご計画がなされることを覚え、主の御声をはっきりと聞き、従うことが出来るように願っています。お祈りください。
【祈りの課題】
1.今後のニューホライゾンズチームの歩みのために。来年1月からブラスキ師が新しいリーダーになります。それに伴い私がイギリスに拠点を移すべきならば、ヴィザなど必要な事柄が整えられますように。
2.9月28日、福音交友会で派遣式を行っていただき、再びニューホライゾンズの働きに遣わされる予定です。福音交友会も私も、共に主の宣教の業に召し出され、携わっていくことの喜びと献身を新たにする時となりますように。
「タラーの人々」
カンボジア 今村裕三、ひとみ
日本での教会巡回時にお祈りいただいたストゥントラエン州のタラー地区の家の教会の人たちを訪問することができました。
ラーさん一家は金銭的援助に惹かれ、イスラム教徒の村に引っ越すので教会に行くのを止めると言っていました。教会巡回中にお見せした振り付け賛美のビデオの子供たちの一家です。こちらに戻ってみると、なんと同じところに住み、交通費を工面して、町の教会に集っていました。もう二度と会えないかもと思っていたので、喜ぶよりも驚きました。詳しい話を聞くと、一度はその親族のところに行ってみたものの、思ったほど援助を受けられないと分かったので止めたようです。現在は雇われ農夫としてゴム農園で働いています。給料を聞くと、夫婦ふたりと子どもたちも時おり駆り出されているのにもかかわらず、世界銀行の定義では「貧困」のレベルにあります。家族七人が最低限の生活をしています。貧しさとの闘いの中ですが、神様にさらに信頼していく信仰が養われるようお祈りで支えて下さい。
もう一つの家族、サーリーさんは唯一字が読める人で、一年前には信仰が回復してきたように見えていました。しかし、その後いろいろな試みの中を通らされました。彼は政府の仕事をしています。仕事上、仏教式で行われる様々な行事があり、上司が居ない時は、その地域の代表として式典などに参加しなければならず、お坊さんに挨拶する(カンボジア語では「信仰する」に限りなく近い言葉です)必要があります。他にもこの一年間に、家族の中で病気・交通事故・子供の問題行動が十件以上起こったそうです。神様が助けて下さらなかった事に失望したとのこと。何故このようなことが起こるのかを考えていた時に、自分は信仰者でありながら、仏教の式典に関わったり、お酒を飲んだりしており、二つの神を信仰していたことに気付いたと言います。そこで、彼は良心の痛みのなかで、残りの任期五年間は、クリスチャン生活を休んだ方が良いのではないかと考えるようになりました。あと五年したら定年になるので、その時にまた教会に戻りたいとのことでした。
真実な神様がどんなお方であるのかを証ししながら、クリスチャンでありながら大切な仕事での自分の役割をどのように務めていくのか祈っていきましょうと話しをしました。私たちが時々訪問し、聖書や神様のことを話すのは構わないと言ってくれました。聖霊様がサーリーさんに触れてくださり、明確な聖書の真理の理解が与えられますよう、信仰の回復のため、家族の関係の修復のためお祈り下さい。また、神様ご自身がお一人お一人に働きかけてくださり、御霊によって変えられていくことに期待しつつ、私たちがこの二つの家族のために成すべきことができるようにお祈りください。
尚、お祈り頂いていたひとみの腰はだいぶ良くなりました。感謝します。
【祈りの課題】
1.ストゥントラエン州の未教会地区で、開拓伝道を始めることができるようにお祈りください。神様を求めている人に出会うことができますように。
2.サーリーさんの信仰の回復とラーさん一家の毎日の生活の支えのためにお祈りください。
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