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「ハドソン・テーラーとCIMが目指したもの ―OMF設立150周年を記念して。その1―」

CIM時代のアルバムより―中国にて治療活動中のゲルショム・ギネス宣教師。  わずか十六歳にして、テーラーは「どんなに辛いことでも、あるいはささいなことでもよいですから、私に主のためになすべき仕事を与えてください」と神に祈りました。それから二、三年後、彼は神が彼に備えておられた務めを見出すことになります。今回は、ハドソン・テーラーとCIMの働きの中できわだっていた三つの特徴を見るとともに、これらは今もOMFとOMFの働きの特徴であるかどうかを考えてみたいと思います。

 まず第一にハドソン・テーラーは革新的でした。彼はそれまで宣教団体が踏襲してきた方法を変えて、新しく野心的な行動に乗り出した人でした。

 革新的であることはCIMの特徴でもありました。「中国奥地を『特別な対象』とすべきです」とハドソン・テーラーが指し示すまで、宣教地としてその地域に注目していた宣教団体はなかったのです。実際CIMの刊行物第一号では、当時の中国の十八省のうち、宣教師が存在していたのはわずか七省で、そのほとんどが沿岸地域であったことが記されています。「キリストを知らないままで破滅」に向かっている中国の男女へのテーラーの思いは、この宣教団体を新たな地への開拓に駆り立てていきました。革新性はCIMのDNAだったのです。

 CIMの二番目の特性はその包括性でした。ローズ・ダウセット師は最近のインタビューの中でこのように語っています。「テーラーはその人々が教会でどのような立場の人であるかよりも、彼らが主と福音に対し熱い思いを持っていることの方をより重要に考えていました。テーラーはあらゆる階層の人々を喜んでCIMに加えようとしたのです。」当時のほとんどの宣教団体とは異なり、CIMは宣教師の人選において、按手を受けた聖職者のみにこだわりませんでした。独身女性も宣教師になる権利があるというテーラーの主張も、その当時は新しい意見でした。こうして最初のCIM宣教師の多くを中国へ送ったラマーミューア号が出港した時、その船上に按手を受けた聖職者はおらず、代わりに九人の独身女性宣教師の姿があったのです。

 テーラーがCIMに強く望んでいたことの一つに、現地に根ざした宣教があります。CIMの目標は中国に西洋風の教会を建て上げるのではなく、中国固有の教会を建てることでした。「真のクリスチャン、しかしあらゆる意味で中国人。つまり中国人のクリスチャン」が起こされることをテーラーは目指していたのです。そして中国人クリスチャンが弟子として訓練されて整えられ、彼らが中国人の群れを導く、それがCIMの長期的な目標でした。

 テーラーがCIMの宣教師全員に対し、現地の文化にふさわしい服装をするよう勧め、彼自身も弁髪、中国服という姿になったことは有名です。しかしそれだけではなく、彼は宣教に関するどんな決断も中国内でなされるべきだと主張し、そのために中国委員会を設立しました。CIMは遠い外国にいる代表が現地の働きを支配するのではなく、決断はその決断を実践する現場と可能な限り近い所で行うという団体だったのです。

 OMFはこれらの特徴を決して失わず、常に包括性を保ち、革新的であるよう促し、東アジアの地元教会の成長をサポートする団体であり続けたいと願っています。そしてこの特徴はOMFの持つネットワークの様々な所で実践されています。

 伝道においても、宣教地の文化に入っていく方法においても、OMFは革新的であり続けています。現地社会という布地に織り込まれる糸となるよう祈り願いつつ、OMFは多くの場所に働き人たちを送っています。起業し、地元の人々を雇用し、病院や学校で働き、中にはダンス教室を開く働き人たちもいます。 これらの働きはただビザ取得のためではなく、熱い思いをもって全人格的に人々の中に入り、関わろうとする働き人たちにとって、まさに宣教の現場なのです。アジアの様々な現場でかつてなかった形で福音を宣べ伝えることは、昔ながらの方法による宣教と同じくらい重要ではないでしょうか。

 包括性は今もOMFのアイデンティティといえるでしょう。CIM時代と同じように、OMFは今もあらゆる背景の人々を派遣する努力を続けています。教会開拓者、教師、編集・出版関係者から海洋生物学の専門家まで、メンバー全員の持つ技術が東アジアでの神の宣教のわざのために活かされるのです。

 海外への旅が比較的容易になっている現在、OMFに加わる人々はさらに多様性を増しています。たとえ今すぐに長期の働きができなくとも、多くの男女が短期的に現地を訪れ、そこで共に祈り、現地でまたは母国に戻った後も現地の教会を励まし、サポートしているのです。

 「可能な限り現地に根ざした宣教を」というハドソン・テーラーの願いは、今もOMFの特徴であり続けています。彼の時代と同様、OMFの本部は今も東アジアにあり、大きな決断は全て現場の状況に即したものとなるよう、可能な限り「実践」の場近くでなされています。宣教地の言語・文化・世界観の学びは昔も今も最も重要であり、宣教師のほとんどは常に言語のスキルアップを続けています。さらにOMFの中ではアジア人宣教師の人数も大きく伸びており、OMF総裁のパトリック・フン師も香港出身です。

 現代社会において、異文化への適応が必要なのは、国外へ遣わされた時だけではありません。各国のOMFは、過去百五十年培われてきた異文化適応の経験をもとに、地元教会を教えることを願っています。これらの教会は欧米文化が変わりつつあり、イスラム教や仏教もすでにその一部であることを実感しています。異文化適応はOMFの宣教において変わることのない特徴であり、それは母国のクリスチャンにとっても、ますます重要な課題になっています。

 過去百五十年間、世界中の教会が宣教師を東アジアに派遣し続けています。そして神の恵みにより、その流れは今後も続くことでしょう。宣教師たちは宣教地に根ざし、包括的で革新的であろうとしてきました。今、社会は異なる文化・国籍の者たち同士が隣り合って生きる場となっています。そのような中で、OMFはこれらの特性を地元の教会にも伝えたいと考えています。そして一八六五年以来CIMとOMFが一貫して努めてきたように、各教会がそれぞれ置かれた地域においても、異文化から来た隣人たちに福音を伝えていくことを願っています。


「世界宣教の中でのわたしの役割」
日 本 主事 西村信恵

韓国OMFにて  一歩バス停を降りると右も左も三車線もある道路、雪が降っており道は凍っていてつるつる滑ります。どうも間違ったバス停に降りてしまったらしく、道を聞いても英語が通じずウロウロしていました。ソウルに到着した時のことです。「宣教の動員」に関する「ボランティアセミナー」がある予定でしたが、急遽キャンセルになってしまい、その間はソウルにあるOMFの事務所で韓国の宣教啓発・動員の働きについて聞く時を持つことになりました。しかし到着後一時間近くも道に迷ってしまい、参加するはずだった宣教祈祷会も、事務所に到着した時にはすでに終わっていました。

 けれども祈祷会後残っておられた方々の中に、二〇〇一年に宣教地に行く前のオリエンテーションコースを私と一緒に受けた仲間が二人おられてびっくりしました。一人の方はオリエンテーションコース以来の再会でした。C国に行かれていたのですが、息子さんのご病気の関係で韓国に戻られ、現在は韓国で宣教の動員の働きをされていました。もう一人は日本に宣教に来られていたのですが、現在はお母様の介護で一時的に韓国に戻っているということでした。

 オリエンテーションコース以後、それぞれ神様に導かれてこのように宣教祈祷会で会えたのは不思議なことでした。と同時に、様々な理由でお互いに遣わされた宣教地を離れ、さらに導かれた所で宣教の働きに携わっていること、置かれた所で同じようにOMFの宣教師が遣わされている宣教地を覚え祈っていることを思い、どんな働きにおいても主の宣教の中で、一つの大きなチームとされていることを思わされました。

いっしょにミッションにて  ソウル滞在後は「いっしょにミッション」の集会のため福岡へ移動しました。初めて九州で行いましたが、八つの教会から人々が集って下さいました。共に賛美し、御言葉に聞き、宣教の祈りに関わっている林姉妹の、KGKやOMFの祈り会を通して執り成しの祈りへと導かれた証しを聞き、アジア宣教について聞き、各国のために祈り、タイにいる坂本朋子宣教師とスカイプで話す時を持ちました。参加した方々にとって世界宣教や宣教地が自分に近い存在になり、目が開かれる時となったのではないかと思いました。参加者の中で五人の方がアンケートで宣教祈り会に参加したい、と答えておられました。

 この方々を含め、今回出席してくださった一人一人が、主からチャレンジを受けたことについて、これからの歩みの中で応答していけるように、神様の世界宣教のチームの一人として自分に与えられた役割を果たしていけるようにお祈りください。

【祈りの課題】
1.福岡での「いっしょにミッション」に参加した方々が、主にチャレンジされたことに応答していくことができるようにお祈りください。
2.6月に行われる150周年記念宣教大会に向けての様々な準備を、主から知恵をいただきながら一つ一つ進めていくことができますようにお祈りください。


「いっしょにミッション!」
日 本 菅家庄一郎、容子

「いっしょにミッション」参加者の皆さんと  二月十四日(土)午後一時三十分より、香住丘福音キリスト教会を会場に「いっしょにミッション」を行いました。「いっしょにミッション」とは、世界宣教の重要性・現状およびOMFの働きを知っていただくための集会です。全体で二十六名前後の方々が集まってくださいました。お祈りをありがとうございました。

 総主事と西村主事が交代で司会をし、主なプログラムとして第一部ではOMFの紹介(パワーポイント)、総主事のメッセージ(聖書における宣教の意義)、証(林輝美姉)、西村主事によるアジア宣教の現状と実践。第二部ではタイのチェンマイで働く坂本朋子宣教師とスカイプでのインタビュー。数名のOMF宣教師のために祈り、励ましの手紙を書くという内容でした。

 アンケートには「宣教師を遣わすために多くの協力者が必要であることが具体的にわかりました。」「スカイプで生で宣教師と会話し、様子を見ることができよかった。」「息子が小さい時から宣教師になりたいと言っているので参加しました。」などの感想があり励ましを受けました。

 数日後、OMF一五〇周年記念宣教大会・九州地区準備委員会(博多キリスト教会にて)にも西村主事と共に参加しました。日本委員会委員の岡山敦彦先生を中心に、先生方がこの宣教大会の準備のためご奉仕くださっていることに感謝しました。

 六月の宣教大会まであとわずかです。どうか札幌、盛岡、東京、名古屋、大阪、福岡での準備が進み、主の御栄光が現され、各地域の教会が宣教のチャレンジを受ける機会となりますようにお祈りください。(庄一郎)

 二月は忙しく、また心重くなることも多い月でしたが、静まって振り返ってみると、感謝なことも多くありました。びっくりするような祈りの答えもありました。特に心に浮かんできたのは、チャペルの婦人の聖書の学び会でした。

 昨年五月の宣教ニュースに紹介した聖研の方法を用いてコロサイ書を学んでいます。四つの絵に従って発見を書き出します。(1)電球(はっとしたこと、心に強く残ったこと何でも)(2)?マーク(良く分からなかったところ)(3)→(自分の生活に適応させたいこと)(4)吹き出し(誰かに伝えたいこと)皆さんの分かち合いを聞いているうちに疑問が解けたり、自分の発見の意味がさらに深まったり、一人でみことばを読む中では気がつかないことを多く教えられます。私たちはキリストのからだの一部として、共に組み合わされ成長させられる素晴らしい交わりに招かれていることを実感させられます。

 宣教の自由のない国で働くA師のニュースレターに、最近始めた新しい聖書研究の方法が紹介されていました。模造紙を三つに区切り、(1)登場人物の様子を拾い上げ(2)神様が教えて下さっていることを考え書き出し(3)適応を分かち合い書いていく。皆が急に生き生きと分かち合う様子に主を崇めておられます。

 みことばを共に学ぶ交わりを主は喜び祝福し、聖霊の臨在と導きの中、共に主イエスを知る喜びに入れてくださるのだなぁ、と思います。日本のあちこちで聖書の学びが祝され、生き生きとした交わりの中、主イエスと互いが結び合されていきますように!皆様のお祈りを心から感謝しつつ。(容子)

【祈りの課題】
1.札幌、盛岡、東京、名古屋、大阪、福岡、各地のOMF150周年記念宣教大会の準備が進みますように。総裁のパトリック・フン師、ジェニー・フン師、ディビッド・ファーガソン師の準備が守られますように。
2.日本の諸教会から宣教のチャレンジに応え、新しく宣教師になる方を主が起こしてくださいますように。


「レッスン」
タ イ  坂本朋子

 日本は少しずつ春の訪れが近づいているようですが、タイは日中の日差しが徐々に強くなり、いよいよ一年で最も暑い「暑気」の訪れを感じます。

 二月はまるでジェットコースターのような一か月でした。新しくプーさんが我が家にやってきて新しい生活に順応し、ミウさんは少しずつ心を開いて聖書の学びが順調に進んでいた矢先に彼氏ができたことが発覚。もし彼女が普通の学生だったら彼氏ができたことぐらいで驚きもしませんが、母子感染によってHIVに感染した普通の身でないため、このニュースが耳に入ったときにはスタッフ一同心配し祈らされました。しかも後でスタッフから高校生の時にボーイフレンドと何やらトラブルになり、転校騒ぎにまでなったことがあると聞いて益々心配になりました。「彼氏には自分が感染していることを話したの?」と問うと、「いいえ」との返事。その後彼女は大学の運動会のチアリーディングの練習が夜遅くまであるとの理由で約一週間友達のアパートに泊まり込み、しばらく直接顔を合わせることがありませんでした。いつ家に戻ってくるのか確認するため電話してもなかなか電話を取りません。仕方なくフェイスブックのメッセージで連絡。すると、今月末友達のアパートに引っ越したいとの返事。理由は大学の「諸活動(とても便利な言葉です!)」が忙しいので大学近くのアパートの方が便利だからとのこと。

 正直なところ、彼女の今までの動向を観察した限り、遅かれ早かれこうなることはなんとなく予想していましたが、やはりたった三か月で出て行かれるのはショックでした。タイ人のスタッフに再度確認してもらった限りでは、友達のアパートに住むというのは嘘ではなさそうなのですが、私たちには話さない隠された動機や理由もあると思います。せっかく親しくなり始め、聖書も読むようになって感謝していた矢先、急降下で突き落とされた気分です。

 このような結果だけを見るならば私は落ち込み、いったい今までのことは何だったのかと思ってしまいますが、視点を変えて神様はこのことを通して私にどんな「レッスン」を教えようとしているのかと考える時に、少なくとも主は私をこのことを通して訓練し成長させてくださっていることが分かります。そしてこうして愛を注いでも背を向けられたときに感じる痛みを通して、人が神様から離れて歩んでいる姿を見て悲しんでおられる主の心の痛みを少しだけ理解することができるのかもしれません。皆様のお祈りを心から感謝いたします。

【祈りの課題】
1.四月八~十日までチェンマイ県三か所のエイズケア合同の子供キャンプがあります。三年生から六年生くらいまでの子供が対象です。子供たちの心に福音の種がしっかり撒かれますように。
2)ミウさんの今後のために。自分が親から受けた傷によって彼氏や周りの人たちを傷つけることがないように。親のせいでHIVに感染した子供たちの心の中にある傷が癒されるように。

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