2015年7月号
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「復活した中国の教会 トニー・ランバート師 ―OMF150周年記念。その4―」
毛沢東の台頭により、一九五二年の中国では、欧米宣教師の存在自体が中国教会を危険な立場に置いてしまう状況になっていました。百五十年にもわたるプロテスタント宣教師の必死の努力の終焉でした。多くの人々が中国のキリスト教は「毛沢東主義の圧倒的な波に飲み込まれてしまった」と語ったある有識者の言葉の通り、これで終わりだと思いました。 長年こうした悲観的見方は正しいかのように見えました。無神論政権のもと、中国教会は暗い迫害の時代に入りました。教会を監視し共産党の思想の下に置くために三自愛運動が始まり、一九五八年には中国の教会の九十パーセントが閉鎖されてしまいました。
そして一九六六年、毛沢東はプロレタリア文化大革命を発動させました。狂信的な紅衛兵らは残っていたあらゆる教会を汚し、多くのクリスチャンが殉教もしくは労働収容所に送られました。こうして目に見える教会は全滅させられたのです。
しかし神はすばらしいみわざをなさっておられました。主に忠実なクリスチャンたちは地下にもぐり、あえて二人、三人という少人数で祈りのために集まりました。ほとんどの聖書が没収されたため、彼らは聖書全体を頭の中に叩き込みました。
毛沢東が亡くなった一九七六年、私は中国にいましたが、中国人クリスチャンのために開かれている教会は一つもありませんでした。しかし徐々に事態は沈静化していきました。一九七八年、感謝なことに私は上海の若者に一冊の聖書を渡すことができました。彼はまだ日曜学校に通えた時代に、聖書を「よい書物」として覚えていた青年でした。また私は一九七九年春に、北京で三自愛教会が再開するのを見届けました。二十年か、それ以上ぶりに聖餐を受けた高齢の信者たちはむせび泣きました。そして週ごとに教会に集まる人々の数は増えていきました。何か大きなことが起きていたのです。
中国の教会は死に絶えてはいませんでした。無神論のマルクス主義は約束していたはずのパラダイスを人々に与えることができませんでした。それにより、人々の心は神を求める方向へと導かれたのです。三自愛教会が開かれる前にすら、家の教会は全国で増え始めていました。信仰のゆえに二十年あまりも労働収容所で苦しんできた男女の証が実を結んでいました。すでに高齢の、迫害に屈することのなかった大勢の神の人たち、大勢の人々が獄中から戻ってきました。何十人、時には何百人もの人々が、小さな田舎小屋や家にすし詰めになるまでに集まっていたのを私は見ました。長年聞くことを禁じられてきた神のみことばに、老いも若きも飢え渇いていたのです。農村地帯では説教者たちは自転車や徒歩で各地を廻り、福音を伝えました。彼らの行く先にはききんと貧困により、その生活はどん底状態の農民たちがいました。しかし彼らの心は福音に対して開かれていたのです。
一九八〇年代初めには、中国の多くの地域で急速な教会成長が見られ、リバイバルも見られるようになっていました。政府の統計によれば、共産党が政権を握った一九四九年当時のプロテスタントのクリスチャン人口は百万人以下でした。しかし二〇一五年、その数は少なくとも七千万人に達したのです。
三自愛の教会や集会所の数は六万を超えています。統計によれば二千三百万人以上の信者が三自愛教会で礼拝を守っているということです。五千万人もしくはそれ以上の人々は家の教会に通っています。控えめに見ても、その霊的覚醒による教会成長はペンテコステ以来最大であり、それは今も続いているのです。最近では、政府調査機関が党の為政者らに対し、このままでいけばあと二、三十年ほどで中国のプロテスタント人口は二億、もしくは三億にも達しかねない、と警告しています。
二〇一四年、浙江省では政府公認の教会も含め、新しいメガ教会堂の撤去という大規模な弾圧が行なわれました。何千人もの信者が拘束され、四百以上の教会から十字架が強制的に撤去されました。
新たなナショナリズムが台頭し、今でも教会を破壊的な脅威になりかねない存在と見る為政者もいます。実際にはほとんどの中国のクリスチャンは政治に強い関心はなく、社会で「世の塩、地の光」となることや、人々にキリストを伝えることに専念しています。彼らは社会の大多数の人々から信頼されており、圧力や迫害があっても教会は今後も成長し続けることでしょう。
成熟した教会は社会のあらゆる層の人々を魅きつけながら成長しています。中国は今や世界最大の福音的コミュニティを有する国です。学生、大学院生、専門家など多くの青年たちが、宣教の働きに献身し、中国国内さらには中央アジアや中東のイスラム教国に住む主を知らない人々のもとへ遣わされています。
一八六五年、ブライトンの浜辺でハドソン・テーラーはチャイナ・インランド・ミッション創設に一歩みだしました。今日その歩みの輪は一巡し、今度は中国人クリスチャンたちが感謝の思いを胸に、神の宣教へと自らを捧げています。中国教会が大きな役割を果たす、世界宣教の新たな時代が始まったのです。
「アイルランドからのお客様」
日 本 ディアスポラ伝道 横山好江
このニュースが皆様のお手許に届く頃には雨の多い季節になっているでしょうか。宣教の主が、祈る喜びに満たして下さり、いつも励まして下さいますように、祈りの友のお祈りに感謝しつつ、皆様のためにお祈り致します。
三月下旬にアイルランドのオーア宣教師夫妻を尋ねた際、ベルファーストでL姉妹に紹介していただきました。L姉妹(三十歳)は祖父母が香港からベルファーストに移住し、ご本人はベルファーストで生まれ育ちました。今は現地の中華教会の役員、ならびに青少年の働きに携わっています。私達夫婦がケンブリッジで数年を共に過ごしたウォーカーOMF宣教師夫妻と、彼女がベルファーストの聖書学校で一緒だったと知り、すぐに親近感を持ちました。現地の日本人に重荷を持っておられると伺い、三月にお会いした際に大変励まされました。間もなく日本を訪ねる予定があると聞き、私達夫婦が奉仕する志木教会にも来て下さいとお誘いしました。それが実現し、五月十日の聖日、志木教会の活動に加わって下さいました。一般礼拝前のCSでは、中高科の分級で積極的に中高生に話しかけて下さり、日本に興味を持つきっかけの一つとなった漫画の話題では、L姉妹が好きな漫画の題を言うと、私には何も分かりませんでしたが、生徒達からは「ほー」というリアクションがありました。一般礼拝の後、午後の壮年の会で日本に重荷を与えられた証しをして下さいました。漫画などから日本に興味を持つようになり、今回が四度目の日本訪問です。日本に来ればベルファーストで会った方々をフォローし、OMF宣教師を訪ねてお手伝いし、与えられた機会を用いて奉仕されます。日本の若者が成果主義を価値観とする社会の中で、成果を出せない自分に価値を感じられず、生きる目的も意欲も失っている、そのような若者に福音を届けたいと涙ながらに語られた姿に壮年達は心打たれた様子でした。後日、数名の壮年の方から「はじめの愛を思い出した」など、コメントをいただきました。夕拝ではギターを用いて青年達と交わってくれました。翌日月曜には、夫が園長である併設の幼稚園の保護者との「聖書とお茶の会」で救いの証しをしてくれました。L姉妹に手渡された教会宛ての感謝カードには「教会の若者を大切にして下さい。主が与えて下さった経験と知識を用いて彼等を育てて下さい」とチャレンジの言葉が記されていました。
主はご自分の僕を召し、遣わし、用いられるということを改めて覚えたことでした。
【祈りの課題】
1.7月29日~8月2日に行われる「ヨーロッパ・キリスト者の集い」のために。主催するプラハ(チェコ)の兄弟姉妹の準備のためにお祈りください。
2.9月20日~23日に行われるグローバル・リターニーズ・コンファレンス(全国帰国者大会、富士吉田市にて)の準備のために。参加者一人一人の信仰が励まされ、成長しますように。
「募集」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
先月六月号で「数百人の宣教師のビザ更新日を覚えていて、書類を整え、福音同盟と宗教省と宣教師の仲介をしてくださる有能なタイ人スタッフのためにもお祈りしていただきたい。直接伝道と牧会に携わる宣教師が前線にいるように誤解される場合が多いが、大きなチームの一員として奉仕しているに過ぎないのだから」とサポートミニストリーをしているタイ人スタッフのためにお祈りをお願いしました。今回は其の大きな宣教チーム(サポートミニストリー)の別の働き人の募集?をこの紙面を借りて紹介します。
ミェン族子供寮「奇跡寮のスタッフ募集」です。このスタッフの働きは見方によっては純粋なボランティア(手弁当、自費)の要素が強いのですが、そうであったとしても教会の理解と祈りのサポート無しではすることのできない重要な働き、奉仕です。子供一人ひとりの名前を挙げて毎日祈るのは勿論ですが、男性であれば敷地内の草刈りから施設のメンテナンス、女性であれば食事用の市場への買出し補佐、食事作りの補佐、子供たちの清掃が行き届かないところの清掃補佐など。
ココまで読まれた時、皆様どのように思われますか。雑務ばかり、少しも宣教の働きとは関係ないではないか、と思われますか。実は人に評価してもらえない、目立たない、縁の下の力持ちの働きがどれほど宣教の働きを真さに支えていることか。現地に来て見ていただくと、よーく分かります。この働きに重荷を持って来てくださる方はいないでしょうか。ご自分がそう思っても所属教会の理解とサポートが必要です。子供たちへの愛と同時に、信仰者としての良い模範となる働きだからです。教会から祈られて送り出される、これが宣教の始まりです。(たまみ)
隣の孫ジューンちゃんが献身した(六月号青年キャンプの記事)。キャンプから帰ってきて一緒に聖書を開き、信仰の確認とどういう意味で献身の表明をしたのか聞いてみた。すると、従兄たちや他の親戚のように普通の仕事をして、牧師・伝道者を経済的に支えたいとのこと。お母さんのように教会の責任を持って、直接伝道や牧会をする人にはならない、とのことだった。「難しすぎる」そうだ。実は従兄たちや他の親戚は聖書学校を卒業したものの、様々な理由で教会の働きから離れ、ささやかなビジネスを営んでいる。こういう例を見て「伝道者にはならない、でも献身はする」という選択になったようだ。
おじいちゃんは少しがっかりした。個人的には牧師はこの世の中で最も難しい仕事ではあるが、天下で最も重要な働きであり、宇宙で最も栄誉ある役割だと思っているから。でも孫の気持ちもわかる。彼女の母親が取り組んでいることは次のようなことだから。
未亡人で一つの教会の責任を任され、三家族からなる教会員を牧会し、そこでなんとか経済的に支えられている。村の中に住居を得ることができず、小さな町から週に二回~三回、バイクで二〇キロの道を通う。雨の日はミェン教会協議会の共用車が空いていれば、車で村の教会へ行く。加えて今は教会戒規に触れた教会員の懲戒処分の執行に携わっている。これは極度にエネルギーを消耗する悲しい働きである。愛を注いで憎まれる役だ。
最後のオーストラリア渡航直前に、孫に約束してもらった。青年キャンプで語られたチャレンジ、『ヨハネ』二十一章十七節を、じいちゃんが帰って来るまでに、ミェン語で五十回祈りながらノートに書き写すこと。「イエスは三度ペテロに言われた。『ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛しますか。』ペテロは、イエスが三度『あなたはわたしを愛しますか』と言われたので、心を痛めてイエスに言った。『主よ。あなたはいっさいのことをご存じです。あなたは、私があなたを愛することを知っておいでになります。』イエスは言われた。『わたしの羊を飼いなさい』」。
ジューンは真剣な顔で書き取り用のノートを受け取り、頷いた。大牧者キリストを愛することにおいて、じいちゃんが模範になれるよう、お祈りください。(達朗)
【祈りの課題】
1.2つのミェン教会で、戒規に触れ懲戒処分を受けている人が一人ずついます。本人たちが真の悔い改めに至るように、初めて戒規に取り組む2教会の牧師たちに愛と知恵と霊的権威が与えられるようにお祈りください。
2.8月中旬に90%仕上がりの論文を指導教官に提出するまで、わき目も振らず、弛まず書き続けることができますように。連日、日夜集中力が持続しますように。
「東アフリカ訪問」
シンガポール 佐味湖幸
五月二九日から六月十三日まで東アフリカのタンザニア、ケニア、ウガンダを訪問しました。
タンザニアでは日本からの宣教師三家族(アンテオケ宣教会安川師ご一家、SIM清水師、小川師ご一家)とお交わりをいただきました。様々な戦いがある中、主の導きに従って労されている先生達の姿に励まされました。
さて、OMFは三つのチームがアフリカで働いています。南アフリカは六十年以上にわたって宣教師を送り出してきました。事情でここ八年ほどその働きが十分になされませんでしたが、ベッカー師一家が昨年アジアから南アフリカに本帰国し、今年からOMF南部アフリカ委員会の総主事に就任し、その働きが本格的に再始動しました。ケニアでは二年半前から中国人ディアスポラチームがアフリカにおける中国人ディアスポラ宣教のために現地のケニア人、中国人教会との協力のもと、働きを進めています。そして、私が属するニューホライゾンズチームはアフリカ(南アフリカを除く)からOMFを通して東アジア人宣教に召される人が起こされた時、その宣教師候補者の審査をし、宣教師になるまでの過程を導く責任を持っています。この三つのチームが今回ケニアで一同に会し、それぞれの働きの報告と祈りの時を持ち、アフリカの教会との協力関係について、また今後どのようにお互い協力しながらアフリカでの働きを進めていくかなどを話し合いました。OMFは今も変わらず東アジア人への宣教に献身しています。しかし、近年多くの中国人がアフリカに移り働いている状況と、アフリカの教会が宣教師を受け入れる側から送り出す側へと成長している状況から、OMFはアフリカの教会と協力して、東アジア人宣教を進めていくことが主からのチャレンジであると受け止めています。
そのような中、ケニアの隣国ウガンダから中国宣教に重荷のある宣教師候補が与えられました。ケニアでの会議の後、私はニューホライゾンズのリーダー、ブラスキ師夫妻と共にウガンダを訪問し、この宣教師候補者と会い、また彼女の教会の牧師先生達ともお話しすることが出来ました。彼女の教会での理解と支援体制が整うようにお祈りください。
【祈りの課題】
1.7月は新人宣教師のオリエンテーションコースが行われています。ニューホライゾンズからは日系ブラジル人教会から3人(独身女性一人、一組の夫妻)が参加しています。宣教地に行く前の良い準備の時となるようにお祈りください。
2.ウガンダからの宣教師候補者が、教会からの良い理解と支援を受け、中国人宣教のための準備をすることができますように。
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