2005年1月号
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「名簿に名前ある?」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
去る十一月、主人がまだ学んでいるチェンマイ市のパヤップ大学で学位授与式が行われた。今年度、言語学部修士課程から四人出席した。タイ人一人、あとの三人は他のアジアの国の人たち。まる三日間の予行演習に出席しなければ授与式に臨むことはできない。そういうわけで、我が家に男性二人が宿泊。一人は新婚ほやほや。新妻と新婚旅行を兼ねて我が家に滞在した。
実は彼ら男性二人はそれぞれの言語調査などで修士課程に四、五年在籍し、その最後の二年間、寝食を共にしたハウスメイト。論文審査通過から学位授与式まで帰国して一年待ったので、再会時の話しには花が咲きっぱなし。彼らの口から次から次へと出てくる母国での証しの数々に、有澤一家と下宿人全員はとっても恵まれた。特に二つの国の迫害下における信仰の戦いの証しからチャレンジを受けた。
パヤップ大学はキリスト教系の私立大学で、それなりの形で式典が行われる。トランペット協奏曲と共に大学付牧師が大きなろうそくを携えて入場。次に十字架を高く掲げた教師が列を先導して来ると、会衆全員が起立し十字架と卒業生を迎える。授与される学生たち約千七百人の先頭は言語学部修士課程の我らが仲間たち。よくがんばったね、神様に感謝だね、と何だかわからないがまるで保護者気分の私だった。(たまみ)
晴れ舞台には裏があります。四人の卒業生の内、タイ人のプラーンさんだけがクリスチャンではありません。彼女は体調をくずし、予行演習を休ませてもらいたいと申し出ると、大学側から「出席権利放棄ですね」とあっさり切り捨てられました。落胆した彼女は式典をすっかりあきらめて病院に戻りました。
この時点から三日間、一方では言語学部長はじめ各部署のお偉い人たちが彼女の名前を名簿に復帰させるために駆け回り、他方私たち夫婦は本人が気を取り直すように説得を始めました。式の二時間前に名前は名簿に復帰、めでたく壇上で名前を呼ばれ学位は彼女にも伝達されました。
このことを通して、彼女のために三年祈ってきた言語学部祈祷会の兄姉たちは、卒業した者も残る者も、一つの事実と祈りの責任を確認したのでした。「プラーンさんの名前は、天国のいのちの書の中に、まだ登録されていない。」(達朗)
【祈りの課題】
1.達朗師がミェン語データの分析に集中し、一月中に論文のプロポーザルが審査を通るように。聖書翻訳者のバージェス師から依頼されているミェン語聖書のヘブル語との比較チェックのために。ミェン族の兄弟分にあたるキム・ムン語文字制定(聖書翻訳の準備)のため、言語学の素養を持った働き人が起こされるように。
2.ミェン宣教教会のセンツィン師夫妻が伝道者・牧会者として人を惹きつける夫婦になるようお祈りください。センツィン師はミェン語の不十分さを認め、有澤夫婦から学び始めたので、進歩し説教の向上につながるようにお祈りを。
「新しい年」
カンボジア・プノンペン 今村裕三、ひとみ
新年のご挨拶を申し上げます。いつも変わらぬお祈りと献金の支援を心から感謝申し上げます。今年もよろしくお願いします。昨年、感謝だったこと。(一)一年間宣教地で過ごせたこと。いろいろな適応が必要でしたが、その時々に必要な助け手が与えられました。(二)大きな病気はアメーバ性赤痢だけだった。同僚の宣教師は十人近くが重症のデング熱のためにタイやシンガポールの病院に緊急脱出しました。(三)言葉の学びが守られ、楽しみながら学びを重ねることができたこと。(四)幾人かの方がさりげなく送って下さったものが私たちにとって緊急かつ最適のもので、何度も主の備えを見ることが出来たこと。(五)事故に遭わなかったこと。交通法規という言葉がないような交通マナーです。スリル満点の自転車運転。(六)どうしようもない弱さのなかで主だけを仰ぎ見ることを学んだこと。もう二度と嫌ですが、まだまだ主から訓練が与えられています。(七)日本語を話せる同僚が与えられていること。日本語を話すだけでこんなにストレス解消になるとは知りませんでした。
以上のように、今あるのは、主の恵みと皆様の祈りの支援のおかげです。有り難うございました。この年は、奉仕をしながら、さらなるクメール語の能力の向上、そしてカンボジアの人たち・文化の理解を深めていきたいと思います。(裕三)
洗濯や調理をしている人を避けながら狭い路地を通り抜け、真っ暗で急な階段を、手探りならぬ足探りで上がって行きます。三階部分の他人の家の中を通り抜け、おそらく以前は屋上だった所にEさんの家は建っています。彼女は五十七才。四年間、エイズと戦っている彼女の手足はやせ細り、歩くことが困難になってきました。身体のあちこちに痛みがあります。四年前に夫は同じくエイズで亡くなりました。彼女は二ヶ月程前に、姪からイエス・キリストのことを知り、信じました。しかし彼女は、他の神様もまだ信じているように見受けられます。訪問は先輩宣教師が聖書の話をし、私の担当はマッサージです。私はエイズの人に初めて触れました。彼女の身体に時々ある、ひっかき傷の血の跡を避けながら、身体をさすり、話をします。彼女はぽつりぽつり話し出します。二度結婚したが、二人とも夫はハンサムだったこと、最初の夫は妊娠一ヶ月目でポル・ポトに殺されたこと‥‥。元気のある時は、昔教えていた中国の踊りを教えてくれたこともあります。首の動きが上手にできない私を見て、楽しそうに笑います。また、話の途中で、彼女が眠ってしまうと、彼女のことを祈ります。
東南アジアでエイズが一番多い国は、カンボジアです。今、私はEさんを通してその現実を学んでいます。どうか、Eさんの死までの時間が、より神様のことを知って喜びに溢れる事ができるようにお祈り下さい。(ひとみ)
【祈りの課題】
1.語学の学びのために。ひとみ師は1月に1年目の語学試験を受けます。
2.奉仕先の導きのために。よりよく言葉を使い、クメール社会への理解が深まる機会となるように。
「タイでの生活が始まりました」
北タイ・チェンマイ 邦人伝道 野尻孝篤師・明子師
我が家のリビング・ルームでの日本語礼拝はすでに四回になりました。十二月からはお隣の中国人教会の新館三階の小集会室を借りて礼拝を持ちます。昨日プラスチックのイスを三十脚、問屋スーパーに行って買って来ました。運ぶ自動車が、この通りを通らず途方にくれていたところ、隣の駐車場に入って来た車が運送業のトラック。交渉したところ、買い物を早めに済まして運んでくれることになり、神様感謝!と帰って来ました。こうしてだんだんとチェンマイ日本語キリスト教会の姿が見えてきました。
先日、お隣のチェンライ市(バスで三時間ほどの所)に住む日本人のカップルをお訪ねしました。月に一度の礼拝にわざわざ泊りがけで来られる方です。ご主人の日本米の稲作事業によってタイでも美味しいコシヒカリのお米を食べられるようになっています。この町で思いがけずも二十年前、バンコクのクロンチャン教会で共に働いた、当時のインターン神学生のブンラック兄に会いました。太って、頭もそってすっかりおも変わりした彼と、過ぎ去った二十年の年月をも感ぜず楽しい語らいのひと時を過ごしました。このタイで多くの友人に会い、また多くの友人を作りたいと願っています。(孝篤)
再びタイに住み始めて、ああそうだったなぁ、と、以前の生活感覚が幾つかよみがえって来ました。一つはアリ対策です。砂糖はもちろん、油がわずかに飛んだ所、パンくず、炊飯器の中、食卓等、どんな所にもあっという間に列を作ってしまいます。まさに箴言の言う通りの勤勉さ。
次は飲み水の確保です。水道水を浄化ポリタンクを通し、次に沸騰させ、それを冷やしてやっと飲める状態になります。有澤師宅の台所にも幾つものポリタンクとペットポトルが並んでいて「これは浄化したもの」「これは冷やして飲めるもの」ということでした。またあれをやるのかと気の遠くなる思いでした。しかし幸い我が家では大家さん(隣の中国人教会のマルコ牧師)が高価な浄化器を取り付けておいてくれたので、その水を冷やし、そのまま飲むことが出来ています。浄化器やお湯の出るシャワーは以前はなかったもので、ありがたいです。
もう一つ日本と違う点は、窓に取り付けた泥棒よけの鉄格子でしょうか。階下の窓にはマルコ牧師ご自身がデザインした十字架の素敵な鉄格子がはめ込まれており、世界で唯一のものだと自慢しておられました。二階の窓には取り付けてないので、危険を感じ、是非、鉄格子をつけてほしいと頼んだところ「ここには泥棒はいない」とのこと。やむなく自分達で取り付けました。やはり水と安全は高くつくようです。
先日、水道局からの集金が初めて来ました。額がちょっと高いかな、と思いながら支払い、領収書をよくよく見ると、何と向かいの会社のものでした。直ちに主人が会社に出向いて「代わりに払っておいたから」と代金と領収書を引き換えました。我が家の使用料は約五分の一でした。危ない危ない、自分の身は自分で守らなければという生活感覚が目覚めさせられました。(明子)
【祈りの課題】
1.聖日礼拝やふだんの集会のためにお隣の中国人教会の集会室を借ります。用いられるように。
2.森祐理さんが2月にチェンマイに来られます。良い伝道の機会となるように。
「御手の中で(2)」
カンボジア・プノンペン 西村信恵
二〇〇四年ももうすぐ終わりに近づきました。世界でも日本でもいろいろと起こった年ではありましたが、確かに主の御手のなかにそのすべてがあり、主のご介入できないことは何一つないということに希望があることを思います。戦争中のさなかにある人々、被災者の方々の上に神様からの慰めと励ましがありますように、守りがありますようにと祈らされます。
十一月十四日の日曜日、母教会の深川キリスト教会では、稲員紀章牧師の按手礼式が行われました。按主の前には、洗足式がおこなわれました。まず、按手をしてくださる東條牧師が稲員牧師の足を洗い、稲員牧師が、男性教会員の足を洗いました。仕える姿をとられて、そして、私の後に従うようにと言われたイエスさまを思い出します。これからの教会の歩みを主の御手にゆだね、教会員ひとりひとりがますます強められるように、イエス様を主として聞き従い、ともに成長させていただけるようにと祈らされた日でした。
日本での生活は、家と病院を行ったり来たりという生活でした。先に何が起こるか分からなくても、主の平安を心に感じます。主がご存知である、ということが、どれだけ安心であるのか、主は私たちの羊飼いであられることを日々感じています。ふとした時に無性にカンボジアにいる兄弟姉妹にああ、会いたいなあと思ったり、急に心配になったりする時があります。それでも遠くにいても、祈りで支えることができること、また、祈りによって支えられていることの祝福を思わされました。また、この一ヶ月の間にも、多くの方がお見舞いに来てくださり、祈ってくださり、主にある家族としての交わりより多くの励ましをいただきましたこと、感謝でした。
また、まだお会いしたことのない多くの皆様によっても、祈られ、カンボジアでの宣教が支えられてきたことを思わされます。心より感謝いたします。新しい一年も主の御手の中にあることを覚え、主のご計画の中を感謝しつつ歩んでいきたいと思っています。これからの働きも主の前に静まり祈り、示していただこうと思っています。続いて皆様のお祈りによって、ともに宣教の働きを進めていけたらと思います。よろしくお願いいたします。
【祈りの課題】
1.ニャックルアン教会のメンバーで、仕事が見つからなければ両親によってお寺にお坊さんとしていかなければならないと言われたピラエム兄弟のために。仕事が与えられ、信仰が揺らぐことのないように。
2.ニャックルアン教会の2005年の歩みのために。チーム内でも話し合いが行われます。主の御心を知り、計画を立てていくことができるように。
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