2005年5月号
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「マニラの車庫から世界へ向けて」
シメオン・ベネット師
OMFの創始者、ハドソン・テーラー師が一八六五年に中国に向けて旅立った時、彼はその当時まさに生まれたばかりの宣教の働きが、後にマニラ市内のある車庫から、アラスカ在住のフィリピン人達に届くような、ある働きにまで発展することになろうとは、思いもよらなかったのではないでしょうか。
しかし、まさにそのようになったのでした。カーガパイ・ビデオ・ミニストリーはフィリピン国内のみならず海外にいたるまでの、何千ものフィリピン人教会のため、タガログ語のビデオを製作しているのです。
このカーガパイ・ミニストリーを始めたウォルト・ジョンストン師は、OMFの宣教師として一九八七年にフィリピンに遣わされました。最初は教会開拓の働きのために赴任したのですが、フィリピン教会の必要を知った彼は、十年後にビデオ伝道の働きへ移りました。
過去三十年間にフィリピンの福音派教会の数は十倍にもなり、今日では五万に達しています。しかし、それらの教会のフィリピン人牧師の七十パーセントは、正式な神学的学びを受けていません。「もっとも継続的に礼拝に出席している人が牧師になるのです。」と各教会で言われています。そしてジョンストン師は尋ねます。「『うん、あなたはいつも集会にちゃんと出席しているから、牧師にふさわしいでしょう。じゃ、そういうことでいいですね?牧師さん。』こんな調子で、突然人々は牧師になるのです。でもすると、誰が彼らを訓練するのでしょう?」
牧師が必要な訓練を受けていないということは、その教会も又、学ぶことができず、信者も霊的に成長することが難しくなります。ほとんどの教会、特に地方の部族教会には訓練を受けた教職者を招く経済的余裕がない、ということも、事態を一層深刻化させています。実際、多くの牧師は無給で奉仕しています。こうした状況は、やがて深刻な教義上の問題や、果てはカルトの侵入といった問題の温床となってしまいます。
それでも、フィリピンでは、四十パーセントの人々が貧困の中にありながらも、七十六パーセントの人々がテレビやビデオを見られる環境にあります。そこで、ビデオの製作と配布を通して、牧師達とその群れを訓練するために、カーガパイの働きが始まったというわけです。ビデオは様々な問題や聖書の学びをテーマに作られます。「人として最高に生きる」、「セルグループのリーダーを育てるには」、「聖書に見る子供の躾」「教会の秩序を保つには」。又、「真理との遭遇」というカトリックについてのビデオや、「大切な人」という題名で、誘拐されたアメリカ人宣教師、マーティンとグレイシア・バーナム師夫妻の物語のビデオもあります。各ビデオには無料のテキストがついていて、特に少人数のグループでの学びに最適です。
働きを開始して七年、今までにカーガパイは七千以上のビデオの売り上げを記録しました。しかし実際にそれらを観ている人々の数はその何倍にもなることでしょう。ある教会開拓を続ける団体は「教会の秩序を保つには」のビデオを教材として、学生達を訓練しています。これはテトスへの手紙を下敷きにした作品で、フィリピン人牧師のクレメント師が出演しています。
さらに、カーガパイ製作のビデオは今では、国内を飛び出して、様々な国々で用いられています。カーガパイの製作ビデオのもたらしている影響を正確に見積もることは困難です。しかしジョンストン師の所には、グアム、マカオ、中東、アラスカ、オーストラリア、ニュージーランドといった国々に在住のフィリピン人達から、感謝と共に、もっとビデオを送って欲しいという依頼の電子メールが多数寄せられています。
最近までジョンストン師は、マニラの車庫兼スタジオで、カーガパイのビデオ製作、販売、その他の事務処理の全てを行なう六人のフィリピン人達の指導を行なっていました。しかし、感謝なことに新しい協力者が与えられ、今では彼らはより充実した設備の中でビデオ製作に集中できるようになりました。これによって製作できるビデオの数も増えることになり、各国のフィリピン人が喜んでくれることでしょう。
ハドソン・テイラー師もきっと喜んでくれるに違いありません。
「成長させてくださる神様」
カンボジア・プノンペン 西村信恵
イースターの日、はじめてワチャナー兄がメッセージを語りました。彼は去年の洗礼式のときにメッセージをしましたが、日曜礼拝の会衆の前で語るのは初めてです。大学生になってプノンペンへ移動しましたが、毎週末はニャックルアンに帰ってきて青年会をはじめ、いろいろな奉仕をしてくれています。イエス様が十字架にかかられた意味、復活された力、私たち皆が神様に愛されていることを語り、最後にこう言いました。「僕は、神様が僕を愛して死んでよみがえってくださったことを信じている。まだ信じていない人がいたら、僕は心から信じて救われてほしいと思っています。」そして、涙声でまだ信じていない人たちのために祈りました。神様が彼の心に失われた魂を思う気持ちを与えてくださった!ということを知ってそれが嬉しく、神様に感謝いたしました。そしてこの時期、いつも大きな行事の前に起こる恒例の?教会員(特に若者)の間で起こる大きな争いや揉め事がなく、スムーズに準備が進められたことも感謝なことでした。
先月紹介したソッカー君、実は父親が酒乱でお金の収入がなく、母親に言われるまま、またポイペットへと職を探しにいってしまいました。彼からの電話では、行きたくないのに行かなければならなかったこと、そこでは居心地が悪いということ、まだ仕事が見つかっていないとのことでした。彼がまたギャンブルの仕事に戻ることがないように、ニャックルアンでよい就職先が見つかって、戻ってくることができるように、向こうで信仰の芽が摘まれることのないように彼のためにお祈りください。
こちらは三月中頃から猛暑で、これからまだまだ暑くなっていくようです。そのような中、チョー師ご夫妻もニャックルアンへ戻ってこられました。暑さの中、私たちの体調が守られますようにお祈りください。主との時間、クメール語の学びの時間を十分に取りつつ、主から与えられた奉仕を忠実にしていくことができますように私自身のためにもお祈りくださると幸いです。皆様のお祈り、お支えを心から感謝しつつ。
【祈りの課題】
1.4月末から9ヶ月間、韓国からウオン兄が短期宣教師として、また、5月から2ヶ月間、韓国から兄弟が一人、姉妹が一人、ニャックルアンで奉仕をしに来ておられます。3人がニャックルアンでの生活に早くなれてここの人たちとの交わりが祝福されますようにお祈りください。
2.5月31日から6月10日まで、マニラで行われる帰国前研修という、来年のデピュテーション準備セミナーに参加してきます。よい時がもてますようにお祈りください。
「ケンブリッジのイースター」
在英邦人伝道 横山基生、好江
毎年恒例のケンブリッジJCF主催イースター礼拝・祝会が三月十二日(土)に開かれ、大変祝された集いとなりました。皆さんのお祈りを心から感謝いたします。約百二十名の出席者ですが、その内の約七十名がノン・クリスチャンの日本人家族ないし国際結婚の方々でした。昨年のクリスマスは、奉仕者の人達の数が招かれて来た人達の数よりも多いという状況でしたが、今回は奉仕者の倍近くの人が招かれて来たことになります。様々な行事が重なって、助け手として毎回参加して下さっている英国人クリスチャンの数も少なかったのですが、主は大いに祝して下さいました。
いつも会っている婦人方のご主人方とお話する機会が今回多く与えられ感謝でした。話す中で自然とキリスト教の話題になります。私が日本からの宣教師であることを知っているからです。一人はカトリック信者であるということでした。年に一〜二回ではなく、もっと知り合う機会が与えられたら、さらに聖書・キリスト教・福音について語り合えるだろうなと思わされました。二〇〇三年の二月頃から半年間既婚男性の会を持ちましたが、うまくいきませんでした。どのような集いが良いのか導きと知恵を祈り求めます。
現在ロック・バプテスト教会の日曜礼拝に学生と共に三夫婦が定期的に出席しています。ご主人と関わるためには、子どもを含めた家族全体との交わりがまず整えられないと先に進まないことを示されています。婦人方が伝道聖研に来られているT家族やI家族に今後さらに関れたらと願っています。お祈り下さい。(基生)
三月二十七日の復活日には多くの恵みをいただきました。先月号でお伝えしたRさん。二月のはじめに救われ、この日に洗礼式となりました。福音的な英国国教会での洗礼式。私達は奉仕があるため、いつも通っているロック・バプテスト教会の礼拝を終えてすぐに駆けつけました。洗礼式には間に合いませんでしたが、聖餐式に共に与かることができ、喜びに満ちたRさんと交われて感謝でした。
礼拝に出かける直前の電話。日本のYさんからでした。礼拝から家に帰ったばかりのYさんから「今日洗礼を受けました」とのニュースに御名を崇めました。我が家の伝道学生聖研に数ヶ月出席し、昨年九月に帰国。すぐに近くの教会に定着し、一月頃から受洗準備クラスに出席。私達も期待して祈っていました。祈りの友の皆さんも祈って下さっていたと思います。主が豊かに答えて下さり感謝です。この二人の姉妹方のそれぞれの教会での信仰生活が祝されるように、受洗の願いをもって三月半ばに帰国したMさんも、主の時に導かれるように続けてお祈りいただけると幸いです。
先日の月曜の学生伝道聖研には男子四名の新来会者がありました。常連メンバーが誘ってくれるのです。続けて来られるかどうかは分かりませんが、与えられた機会を大切にして御言葉を語っていくことができるように、知恵を与えられ熱意が保たれるよう、お祈りいただけると感謝です。
これが皆さんのお目にとまる頃には私達は日本で宣教報告とフォロアップの奉仕に入っています。日頃祈り支えて下さっている兄姉とお目にかかれることを楽しみにしています。(好江)
【祈りの課題】
1.横山師夫妻が留守中、ケンブリッジと近郊での3つの伝道聖研に参加するそれぞれの魂が霊的に成長できるように。特にロック・バプテスト教会に出席している3夫婦の霊的な成長のためにお祈り下さい。
2.14日(土)市川OMFのホールで帰国者の会とブリッジ・ビルダーズの会(帰国者の支える側の人たちの会)を持ちます。教会に定着できていない帰国者が一人でも多く集まり、共に集まったクリスチャン達と親しくなりそれぞれの地元のクリスチャンの交わりにつながるように。帰国者を支える側の者たちが、さらに良きネットワークを拡げられるように。
「祈りのこたえ、3つ」
台湾・活水泉 木下理恵子
いつもの皆様のお祈り、御献金をどうもありがとうございます。祈りの答えです。
活水泉に新しい同労者が与えられました。孟慶昇兄です。私たちは小孟「シアオ モン」と呼んでいます。先月号のニュースレターで紹介した方で、奥様、中学生、小学生の二人のお子様がおられます。萬華の牧師連合祈祷会が始まった時から、共に祈ってきた信徳堂教会の信徒の方で、既に十ヶ月程、ボランティアとして活水泉を助けて下さいました。彼自身も以前お酒に縛られていた時期があり、活水泉の仲間のことが人事とは思えないようです。また活水泉の仲間も彼のことを受け入れ、尊重し、彼の言う事を聞きます。テラ師、呉師ともずっと小孟のために祈ってきました。この二月末で今までの仕事を辞めると聞き、活水泉としても主の導きを思いました。彼は彼で「何か意義のある仕事がしたい。」と祈っていたそうで、「活水泉の同労者」と聞いて、大感激していました。「こんな者に活水泉での奉仕を託してくれるのか」と、主にも私たちにも大感謝。毎日の奉仕がうれしくてたまらないようです。「朽ちる食物のためにではなく、いつまでも保ち、永遠の命に至る食物のために働く」(ヨハネ六・二七)との御言葉が、彼と共に労していて心に響いていました。主のためにフルタイムで労する事ができる、それがこんなにうれしい、喜びであるという事を私はいつの間にか忘れていたようです。小孟のフレッシュな喜びがまぶしいです。皆様のお祈り、心からありがとうございます。引き続き小孟のために、また私たち三人のティームワークのためにお祈り下さい。
三月には私の母教会坂戸の兄弟姉妹が活水泉を訪ねて下さいました。呉師ご夫妻、小孟とも会い、共に祈り合いました。その時の呉師の感想。「自分がこうした日本のクリスチャンたちの祈りの答えだって言うことが良くわかった。まだ活水泉のことも知らない時に、こうして日本の皆さんが台湾人の同労者が与えられるようにと祈り、その祈りの答えとして今自分が活水泉で奉仕している。孤独じゃない。こんなに祈って下さっている方たちがいるんだから。」
もう一つの祈りの答えはイースターの萬華地区教会の連合マーチ。二百人以上のクリスチャンが萬華の街を主の復活を宣言して歩きました。活水泉からも三十人近くの参加。天気予報に反し美しい青空の下、マーチ後は活水泉の仲間が寝起きしている公園で賛美と祈りの時。教会を出て、萬華のクリスチャンたちと一緒に、萬華のために祈る。なんと言う喜びでしょうか。お祈り感謝です。
【祈りの課題】
1.活水泉に新しい同労者小孟(シアオ モン)が与えられ感謝。小孟さんが早く活水泉の働きに適応できるように。呉師、小孟さん、木下師の三人の良きティームワークのために。
2.活水泉でしなければいけないと思える奉仕、とてもよいと思える奉仕など多くあります。主が今、本当に私たちに託しておられる奉仕をできるように。主が望まれる時間、体力の使い方ができるように。特に呉師の健康が支えられるように。
「召命と従順」
一時帰国中 佐味湖幸
「四月三十日に引越しすることになったよ。」「そう、また大きな決心をしたね。神様の祝福がありますように。」十年前に私がマニラの貧民街で開拓したフリーダムパーク聖書教会の牧会をここ五年してきたタスキ牧師が子供三人と奥さんと共に故郷伝道をするため、四月末で長年住み慣れたマニラを後にし、チョコレートヒルズと呼ばれる山々で知られるボホール島へ帰ることになった。フリーダムパーク教会から国内宣教師として送り出すというから開拓から九年目の教会にして大したものだ。そして、開拓当初からの私の祈り「宣教師を送り出す教会に成長するように」が聞き入れられた。フィリピンは首都マニラと地方の差が色々な面で非常に大きい。子供の教育、将来を考えれば、マニラに留まった方がずっと有利だ。しかし、故郷の村に福音的な教会がないこと、どうしても親族に福音を伝えなくてはという思いが年毎に大きくなってきたという。送り出す教会にとっても、経済的な意味で支えるということは大変なことである。しかし、それを教会は主からのチャレンジとして受け取り、喜びと祝福をもって送り出そうとしている。教会の生みの親としては、子の成長を見、何ともいえない喜びを感じた。
所変わり、三月香港にあるクリスチャンの修養センターで休養させていただいた。ここには、主にアジアで働く宣教師、教会の働き人が入れ替わり立ち代り、休暇、静養のためにやってくる。ここで出会ったある七十歳代半ばのアメリカ人ご夫妻。中国西北部の四千メートルを越す山中の電気も水道もない村で英語教育者、技術者として働きながら主の証をしているという。食事を共にしながら生活の様子、これまでの生涯(ご主人の引退後、所謂「宣教師」になった)、世界に散らばっているご家族のことを伺い、夫妻の主への献身と揺るぎ無い信頼の姿勢を教えられ、大いに励まされた。今年中に引退し、残りの人生はとりなしの祈りに捧げるという。私もそのとりなしのリストに名前を載せてもらった。まったくの光栄である。
今も主は世界中あちらこちらで、主の働きに人々を召してくださっている。そして、さまざまなリスクや困難を乗り越え、その召しに従順に従っている聖徒たちがいる。三月、大いに新たなチャレンジを受けた月であった。
【祈りの課題】
1.3月30日無事日本に帰国しました。第三期の働きのためにお祈りくださり感謝です。続いてピリ聖書教会、ピリ・プロジェクトの祝福のために。
2.フィリピン、ボホール島で故郷伝道を始めるタスキ牧師のために。その家族、奥さんと三人のお子さんたちの新たな生活への適応のために。送り出すフリーダムパーク聖書教会の祝福のために。
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