2005年5月号
page1
page2
「神の選びの器」
カンボジア プノンペン 菅家庄一郎、容子
一九二三年、アメリカ人の宣教師がカンボジアの北西部・タイとの国境に近いバッタンバン県で福音を伝えました。この年が、カンボジアにプロテスタントの宣教師が始めて入国した年です。バッタンバン県のある村に、神様はカンボジアで最初のプロテスタント教会を始められました。しかし、ポルポト時代という悪夢の時代に、初期の忠実なクリスチャンたちのほとんどは命を奪われました。戦争が終わって、神様は一人のバッタンバンの青年を静かに導いておられました。彼は、大学へ入学するためにプノンペンに住むことになり、そこで福音を聞き、日本の大学へ国費留学する道を開いてくださいました。今回、カンボジアに一時帰国していたその人、ホー兄と共に、彼の生まれ故郷を訪ねて、そこが実はカンボジアのプロテスタント教会と小さな神学校が始められた地域だと知り、胸が一杯になりました。かつてあった教会はもちろん残っていません。カンボジアの農村部にも聖書的な教会が建てあげられていきますように、また、ホー兄が日本での博士課程での学びを続けながら、誘惑から守られ、霊的にも成長していきますようにお祈りください。(庄一郎)
ホー君が訪ねてくれて、交わりを持ち、共に祈り合った時、彼の心に神様への愛が満ち溢れました。私達は大きな励ましを受けると共に、何か厳粛な気持ちにさせられました。私は、この第三期の働きを覚え祈っていた時、アクラとプリスキラがパウロをアポロを招いて御言葉を教え、励ました記事を思い出し、カンボジアのアポロ、また、パウロに仕えていけたら、という思いをもちました。神様が、カンボジアでも選びの器を用意しておられることを感じ、主を崇めました。
それから数日後、カメロン兄がシンガポール人の奥さんのスーザンさんと尋ねて下さいました。結婚してから、高校から勉強をやり直し、今は大学で法学の勉強をしています。小さな教会を育て導きながら、大学では、クラス委員の責任を負いつつ、機会を用いて証ししています。けれど、失望することも良くあり、また、これからの進路に悩んでいました。こちらも、話を聞きながら、彼らが神様の目にいかに尊いかを覚えさせられました。神様が、彼らを導き、育て、次の世代への良き模範として用いてくださるよう祈らされました。どうぞ共に祈ってください。この世の誘惑、悪い者の罠から守られ、ますます神様への愛と献身を強めていけますように。(容子)
【祈りの課題】
1.ホー兄の日本の大学での学びと霊的成長のために。カメロン兄の大学での学びと牧師としての働きのために。
2.クリスチャン大学生たちが忙しいスケジュールの中にあっても、御言葉を学び、伝道していく喜びを知ることができますように。
「機会を捕らえて」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
高校生の時から仕事と収入があり、飛行機の操縦を身につけ、最近、アメリカの大学を卒業し帰国したばかりだった。こんなタイ人もいるのだ。うちの下宿人はと言えば山岳民族で、自分の奨学金を削って村のお母さんと三人の弟妹を養っているというのに。
このお金持ちの秀才青年はガリ勉ではなく社交も心得ており、叔父と友人を小型機に乗せて遊覧飛行を楽しんでいた。すると操縦席から火が噴き出した。彼は火と戦いながら懸命に操縦桿を操作し高度を下げた。着陸は失敗だった。
葬儀から帰宅途中、有澤宅に駆け込んだタイ人の大学院生ペップ姉が詳しく話してくれたことです。焼けた遺体が脳裏から離れず、彼女は泣きました。混乱して泣くのではない、ハッキリ状況がわかって、聖書のさまざまな御言葉が心に浮かんで来て泣いているのです。
機会があったのに、なぜ今までイエス様のことをもっとはっきり伝えてこなかったのか。イエス様を信じず死んでしまった彼は今どうしているのか。コックピットで焼かれた状態を今も経験しているのか。そう言って泣くのです。
「祈ってください。わたしがもっとイエス様に忠実な証し人になれるように祈ってください」と頼まれ、共に祈りました。(達朗)
イースター(キリストの復活祭)の数日前、主人の伯母から手紙が届きました。一九九八年の主人の父の葬儀後、九九年三月までに何度か行き来をした後は会っていない伯母です。「‥‥書きたい事が沢山ありますが、今は今のことを書きます。今度の日曜日、洗礼を受けることになりました。」
先に、信仰告白をし、病床洗礼にあずかり、それぞれ神のところに帰っていった母(主人の祖母)と弟(主人の父)の葬儀に接し、「私も、あのように皆から暖かく見送ってもらえたらいいわね。どうしたらそうなれるのだろうか?」というのがきっかけで、神様を求め始めていました。
「まだまだ何もわかりませんが死ぬ時は、おばあちゃんみたいな葬送式をしてもらいたいと思っています。とりあえずお知らせまで。」
日本とタイという距離のゆえ、直接的な証しは出来ませんでした。しかし神様が心を動かし、地域の教会を用いてくださり、一人の人を救いに導いてくださったことを感謝します。(たまみ)
【祈りの課題】
1.伯母さんの洗礼を感謝。信仰の成長とまわりへの証しのため。達朗師のお母様、たまみ師のご両親も信仰に導かれるようにお祈りを。
2.タイ人の大学院生ペップ姉は聖書翻訳の準備のため言語学の論文を書いています。友人を失う経験を通し、証し人として強められ、キチャポン君、スラチェート氏、プラーンさんへの伝道を続け、実を結ぶようにお祈りください。
「失望から教えられること」
カンボジア・プノンペン 今村裕三、ひとみ
真夏の四月を目前にますます暑くなってきました。昼間は頭の回転が鈍くなりボーっとします。開拓教会付属の学生寮での聖書の学びを始めてみて分かったことがあります。十六人の学生全員がクリスチャンと聞いていたのですが、実はそうではないようです。教会付属の寮なので、便宜上?そう名乗ってしまうのでしょうか?学びに嫌々参加し、学びに集中せず暗唱聖句もしない者が続出でした。私のクメール語が不十分なので申し訳ないと思っているのですが、それにしても御言葉への飢え渇きがないのです。毎日聖書を読んでいる者はたったの一人。私一人で十人以上を相手にするのも無理なところがあり、希望者のみにして再出発をしようと開拓教会担当の先輩宣教師と話し合いました。以前、菅家師の報告にもありましたように、学生たちは大学を出ても就職がない状況で、なんでも自分の利益になること(複数の大学での学びなど)に飛び回っています。教会、キリスト教もそのうちに入っているのかもしれません。私自身はやっと奉仕が始められて嬉しい!と喜んでいましたが、自分の言葉の実力を知ることと現状を知ることで目が覚め、もう一度主の前に落ち着いて主の御力と知恵を頂いて歩みたいと願わされています。そして、彼らに「教える」のではなく「仕える」こと、「愛する」こと、「謙遜」になることが必要です。お祈り下さい。(裕三)
Eさん(エイズで闘病中)のその後です。二月中旬の旧正月をはさんでEさんは田舎に行っていたので、三週間ぶりに訪問しました。いつもはすぐに開けてくれるのですが、今日は何度呼び鈴を押しても誰も出てきません。お手伝いさんが窓から「今日はいないよ!」と言い捨てました。近所の人に様子を聞くと「Eさんのことは分からない‥‥」と言葉が濁り、いつもと違う感じがしました。悲しい思いで帰りました。その後分かったことは、Eさんは、たまたま訪問した姪(私たちの教会員でEさんを私たちに紹介してくれた人)に大声で怒鳴り散らしそのことが近所中に知れ渡ったようでした。理由は「エイズは夫にうつされた!この姪は夫方の姪だ!」でした。
鬱々としていた時、「私は何が悲しいのか?」と神様から問いかけられました。「彼女が神様から離れてしまったこと」も悲しかったですが「時間をかけて築き上げた彼女との関係がいとも簡単になくなったことに失望していること」に気がつきました。
「神様に期待をして待つべきだ、ドタバタ自分の知恵で動くべきではない。」と教えられ、心が平安で満たされました。次の週、Eさんは留守でしたが、私たちを快く思っていないお手伝いさんとゆっくり話すことができました。彼女はポル・ポト時代に六人の子どもと夫を殺され、手足を縛られ首を落とされ、穴に蹴り落とされる様子を見たことなどを話してくれ、「神はどれもこれも一緒!」と話す彼女に神様のことを分かち合うことが少しできました。三月末にやっとEさんと再会出来ました。親戚に呪いや民間治療に連れ歩かれたこと、結果、痛みが増したことを話してくれました。「痛みがひどくて神様に祈れない‥‥」という彼女に同僚の韓国人宣教師は、「韓国と日本は昔、戦争でとても憎しみあっていた。でも私とひとみは今では友だちだ。あなたも人を許すことを学ばなければならない」と言われ、恥ずかしそうにうなずく彼女でした。この間多くの方に祈って頂き感謝でした。どうか今後も続けてお祈り下さい。(ひとみ)
【祈りの課題】
1.日本に難民として小学校から高校まで住んでいたダニーさん(女性)と聖書入門クラスを始めています。彼女が明確に主を信じることができるようにお祈り下さい。
2.第2段階の言葉の学びのために。実践練習をしながら、語彙を増やし、言葉の使い方に慣れていくことができるようにお祈り下さい。
「チェンマイの宣教師達」
北タイ・チェンマイ 邦人伝道 野尻孝篤師・明子師
八年前、このチェンマイの日本人の方々のためにご自宅を開放して月に一度の聖日礼拝をスタートされたのは、バプテスト宣教師の大里先生ご夫妻でした。現在アメリカ留学中ですがビザなどの諸手続きのため一時タイに帰国されました。これを機会に、その後この働きに加わった有澤宣教師ご夫妻と私たちとで語らいと祈りの時を持つことがゆるされました。チェンマイ教会のことはもとより、日本やアメリカの教会の実情や、宣教師の霊的自己管理の課題、燃え尽き症候群やウツ的課題との取り組み、霊的な攻撃へ対決と賛美の力の素晴らしさ等々、尽きない楽しい、飾らず自由な語らいの時でした。宣教師というのは、北タイの諸民族の方々、タイ人、日本人のためばかりでなく、同時に日本の教会にも仕えることが出来るのだということを再認識し、召されたお互いであることの喜びをかみしめ、日本のカミシモは着ないでいられることの幸いをも味わうことが出来たひと時でした。(孝篤)
ソンクラーン(四月下旬のタイ正月)に向かってじりじりと暑さが増して来ています。座っていてもじっとり汗ばんできますし、食欲も体力も弱りがち。四十度前後になる日々です。この暑さは「やっぱりチェンマイもタイだな」と感じます。長期滞在の方は、この暑い期間日本に一時帰国される方々が数組おられ、やっと定着されたと喜んでいたのですが、礼拝に集う方々が減少気味です。集会出席されている方々の中でもビザの問題をかかえておられる人もいます。特に最近、タイ政府は日本人に対して厳しくなったとのことも聞きますが、とにかく皆が落ち着いてこの地で生活出来ることが日々の祈りの課題です。
キリストの受苦日の金曜日の夜、中国人教会では十字架を心に刻み聖餐にあずかる特別集会がありました。緑の葉と白の花で講壇は清楚に飾られ、聖書を読み賛美し、時には寸劇も交えながら主イエスの十字架の贖いの死が示され、説教と聖餐式で締めくくられたのですが、驚くことに説教と聖餐式を除くすべての集会の進行は、若者達が行ったのです。賛美はドラムやギターを使うものもあり、司会をかねた賛美リーダーは若い女性です。彼女は賛美しつつ涙していました。一般的には保守的な中国人ですが、マルコ牧師は、若者に大きな責任と権限を任せ育てている姿にいつも感銘を覚えます。私たちも聖餐の恵みに久しぶりであずかることが出来、感謝でした。私たちの日本語教会もそろそろ聖餐式を持ちたいという声が上がってきています。(明子)
【祈りの課題】
1.一時帰国の方々が多い月間です。日本でよい教会生活が出来るように。
2.新しい方々、新しい求道者、新しい受洗者が起こされるように。
「心からの喜び」
フィリピン・マノーボ族伝道 合田希保
マニラ飛行場でタラップを降り、一歩を踏み出した時、キリストにある者として、フィリピンに再び遣わされる喜びを、私の全身全霊を持って味わわせて頂きました。そして今日は四月二日。ダバオより、パソコンの前で、日本の皆様を思いながらこの宣教ニュースを書いています。三月十四日・母教会での派遣式、十七日・ルゾン島マニラに到着、二十四日・ミンダナオ島・ダバオに渡り、今日で十日目。何だか、ドラえもんの「どこでもドア」を使って旅しているみたいです。神の御手の中にある平安は世界の何処にいても同じなのですね。
神様の道とは何と完全な道なのでしょうか。ダバオの家は、以前第一期に御世話になった大屋さんが、知らぬ間に、私が帰ってくる事を思いながら、小さな1人暮らし様のきれいな家を建てて下さっていました。マニラでのタガログ語、ダバオでのセブアノ語への適応も、時間が掛かるだろうからゆっくり‥‥と考えていたら、想像以上に自然に会話が出て来始めました。暑さに関しても、この眩しいばかりの陽射しに、思わずニンマリしてしまいます。率直に、フィリピンに帰り、心から嬉しいです。と同時に、カルチャーショックも覚えました。椰子の木、南国の果物、美しい貝殻細工等が物珍しく、手で触ってじっと見つめる私がいました。これは第一期が終わり、日本帰国後、スーパーできれいな野菜を物珍しく触っていた私の姿とダブりました。
宣教師館の倉庫の中にあった、ドラム缶に詰めた荷物をほどきながら、寝袋、ランプ等の山の生活道具に、マノーボ族の方々の懐かしい顔がダブります。久し振りに会う宣教師仲間、地元の知り合いや友人達との再会を通して、神様が与えて下さった私のフィリピンでの社会生活に心から感謝が込み上げます。フィリピン人の方々に、宣教師仲間に囲まれ、助けられ、御世話になりっぱなしです。
私の今の祈りはとても大袈裟なのですが「主よ、私をあなたの祝福のチャネルとして用いて下さい。」現実の私の姿からは程遠いですが、私が祈っているお方は、死者を蘇らせなさる神様。(第二コリント一・九)不可能なことは無いと信じています。
四月十一日に新しい家に引越し、セブアノ語の復習、五月にはマノーボ語が聴ける念願のマノーボ族の方々の所へ訪問。マノーボ語の復習もさせて頂くことでしょう。この心からの喜びを、文面を通して分かち合わせて下さい。そして、マノーボ族の皆様の中で、いえ、マノーボの山だけに限らず、フィリピンの国の中で、神様が出会わせて下さるお一人お一人の方々の間にて、仕える者とされたいです。どうか、全ての事に対して、全ての瞬間においても、上からの知恵と識別力が与えられますよう御祈り下さい。感謝しつつ‥‥。
【祈りの課題】
1.体調管理と再適応の為に。久し振りにマノーボの山に帰ります。セブアノ語・マノーボ語・英語の中でバランスをもって生活出来る様に。
2.語学の復習の為に。(ヒアリング・語彙・文法等)また、語学復習後の働きの為に、具体的に更に働きが示されますように。
2005年5月号
page1
page2
TOP PAGE
|
OMF@宣教師.come
|
宣教ニュース
|
東アジア宣教ノート
宣教祈祷カレンダー
|
OMFについて
|
リンク
|
e-mail
OMFインターナショナル日本委員会■〒272-0035 千葉県市川市新田1-16-14
TEL:047-324-3286 FAX:047-324-3213 郵便振替:00100-0-615052
© 1999-2005 OMF International JAPAN. All rights reserved. designed by HFJ.