2005年7月号
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「ある兄弟の物語」
ここはフィリピン南部にあるヴァレンシア市。ドニー・パヤロン兄は、彼の小さな新しいアパートの部屋で、ラジオを前に座っています。彼の目に涙があふれ、頬をつたってこぼれ落ちていきます。
最近、ティグワ・マノーボ族語では初めての毎週の福音的ラジオ番組が始まりました。ドニー兄はティグワ峡谷地域やその外にも住む、多くのマノーボ族の人々同様、毎日曜日の夜になると、一生懸命周波数を合わせ、放送に聞き入る一人でした。
今は彼は家族と共に町に住んでいます。しかし、山々に取り囲まれ、最も人里離れた集落にも、番組に聞き入る人々がいるのです。
この晩の番組の出演者はイエス・キリストがどのように自分の人生を変えたかを証ししていました。
「私の両親は村の中で最も早くにイエス様を信じ、悪霊崇拝から離れました。私は奨学金を受け、高校へ行くために町へ送られました。そこでも宣教師たちはとても親切にしてくれました。
私はそこでクリスチャンのマノーボ族の女性に会い、高校を卒業してから結婚し、二人でマノーボ族の私の故郷の村へ帰って来たのです。
多くの特権を受けたにもかかわらず、私は人生にむなしさを感じていました。そして、私達の結婚生活にも問題が出てきました。私は酒をあびるように飲み始め、家全体が重苦しい雰囲気に包まれていました。妻はしょっちゅう、酔っ払って家に帰って暴れる私を避けて、夜、まだ乳飲み子の息子を連れて家から逃げださなければなりませんでした。彼女はよく、私の母の住む家へ逃げて行き、そこで私のために二人で涙ながらに神に祈っていたのです。
私には教会に行こうなんて気持ちはこれっぽっちもありませんでした。それどころか、妻が日曜学校で教えていることに腹を立てていました。私の人生はみじめそのもので、どんなに酒を飲んでも、気分が晴れることはありませんでした。」
「ところがある日のこと、私はティグワ・マノーボ聖書学校の生徒にならないかと誘われたのです。隣の村でたった一つしかない教室で、以前私達の村に住んでいた宣教師一家が教えるというのです。
行ってみるか、と私は考えました。少なくとも、自分がいない間の妻と子供達の食べ物は保証されるのだし‥‥。そしてクラスに参加した私は、この聖書の学びを通してみことばを理解し、キリストを信じるようになったのです。」
「それ以来、私の人生は変わりました。私は酒を止め、妻と三人の子供達と共に幸せな家庭を築いています。そしてラジオに関わるこの仕事を得ることもできました。
この仕事の全てが、私には全く新しい経験で、今はむしろまだこわいような思いです。電気もないような村で生まれ育った私が、コンピューターでの録音や編集作業を学んでいるのですから!神様がそれを可能にして下さっているのです‥‥。」
声が小さくなっていく中で、ドニー兄はもの思いにふけったままじっと座り続けていました。その出演者とその証しのことを考えていたのです。再び涙があふれてきました。神は、あんなひどい酔っ払いがとても望み得ないまでに大きく人生をつくり変えて下さった。どうしてそんなことが起こりえたのだろう?
しかし、ドニー兄はその証しが真実であることを知っていました。なぜなら、彼、ドニー兄自身がその出演者だったのですから。
付記。トニー兄は今年四月から他の牧師宣教師と共に週二日のティグワマノーボ語のラジオ番組を制作する責任を負っています。二〇〇四年二月の放送開始以来、まだ教会のない村々の聴者達から、マノーボ族牧師に来てほしいとのリクエストが続いています。このメディアを通して、多くの魂が救われるようお祈り下さい。又、ドニー兄とその家族のためにもお祈り下さい。
「台湾の青少年、燃えてきてます」
台湾・活水泉 木下理恵子
時がたつのは早いもので、私も遂に更年期に突入。とは言っても実際には去年の夏から始まっていたようで、「今年はなんと暑い夏だろう」と一人で汗をかきかき思っていました。最近台湾人の友人に薦められ漢方薬を飲み始めました。当時二ヶ月以上続いていた咳がぴたりと止まり、ドライアイが無くなり、ほてりも少なくなりました。台湾に遣わされ感謝、感謝。ただ三十三度の日々、お医者さんに「まだほてりがありますか?」と聞かれても、正直ほてりで汗をかいているのか、とにかく自然に暑くてなのか、返事に窮しています。
五月十五日は世界祈祷日で台湾でも二ヶ所で祈りの集会が開かれました。台北では政治のデモがよくもたれる総統府前で、当日は大雨にも拘らず三万から五万人の参加者がありました。活水泉からも参加しましたが、「思い切って来て良かった。」「クリスチャンがこうやって国家のために祈るのを聞いてすごく感動した。」等の感想でした。実際何日かにわたっての大雨で、集会が始まってから止んだとはいえ、皆雨合羽を着ての集会でした。驚いたのは青少年が少なからず来ていたこと。しかも司会者が悔い改めの祈りの時に「跪いて」と指示すると、雨でびしょびしょの地面に真っ先に跪いて祈りだしたのも青少年たち。台湾の教会の一部で今青少年たちの間に静かにリバイバルが始まっているとも聞きました。
「祈りの塔」はSARSの後、萬華に二十四時間祈りの火を灯すためにある教会が超教派で始めました。萬華連合祈祷会にも来ていて、何度も共に祈った事です。その「祈りの塔」が青少年中心に軌道に乗り始めました。アパート二軒分のスペースはすべて青年たちによってアレンジ、飾り付けされました。「各学校のために祈る」セクションは天井から何本も短冊のような紙がぶら下がり、よく見ると、それぞれにその学校のための祈りの課題がびっしりと書き込まれています。「家族、友人の救い」のセクションは写真や名前が壁に貼られ、ノートにも書かれています。台湾の地図が床に描かれた所はその上を歩きながら、台湾一周して祈れます。「アイドルの救い」セクションにも歌手や映画スターの写真と祈りが貼られています。一人静まるコーナーは好きなCDを選んで聞きながら祈れるようにもなっています。青年の感性で創造的で、心地よい、ステキな彼らの祈りの空間が彼ら自身の手によって作られ、いろんな教会の若者が来たい時に来て、祈っています。萬華にこんな青年の祈りの塔が与えられた事に感動すると共に、この青少年の間での主の火が台湾でもそして日本でも更に燃え広がるように祈らされます。いつものお祈りを心より感謝しつつ。
【祈りの課題】
1.活水泉の政府登録のお祈りを感謝します。社団法人は登録後の事務等が非常に多く、今の活水泉にはふさわしくありません。OMFの台湾ホームサイドとどの様にするべきか話し合い、主の導きを求めています。更にはっきりと主のご計画がわかるように、最善の形で政府に登録できるようにお祈り下さい。
2.今台湾の教会の一部で青少年の間に主の火が燃え始めていることを感謝。萬華の青少年中心の「祈りの塔」が軌道に乗ってきた事を感謝。こうした青少年の間の主の火が更に台湾で、日本で燃え広がるように。
「宣教師と病気」
一時帰国中 佐味湖幸
最近のOMFフィリピンからのメールで心痛み、祈らされていることがある。ランピネン・カレンさんという私の敬愛する先輩の宣教師が乳癌の診断を受け、治療のため、ご家族とともにアメリカへ帰国されたというものだ。この家族はつい昨年、次男のベン君を急性白血病で天へ送ったばかり。カレンさんと夫のデイブさんから、昨年末のOMFフィリピン・カンファレンスで、ベン君のほんの十年という短すぎる人生の証を伺った。スライドを見、闘病中の主のよくしてくださったことなどの証を伺い、悲しみ中にも主に感謝し、主を讃える時をもったばかりであった。
カレンさんは独身宣教師として始めの二期十年近くを過ごされ、四十歳を過ぎてから結婚、二人の男の子が生まれた。それゆえ、私たち独身者のことも、また家庭を持つ人々も、様々な状況にある宣教師をよく理解して下さる方で、同僚からの信頼も厚く、この六月からご主人とともにOMFフィリピンのパーソネルマネージャー(人事部長のようなもの)として働かれる予定であった。明るく、バイタリティーがあり、賢く、いわゆる仕事のできる人でもあった。おそらくOMF宣教師の中で一番タガログ語が上手で、フィリピン人を心から愛し、またフィリピン人に愛された人でもあった。主の癒しを心から願う。今日届いたメールでは、良い医者に出会えたことを感謝しておられ、主から「死への備えでなく、生きることへ備えるように」励まされたとあった。
ほかのフィールドは知らないが、実はOMFフィリピンは病気になる人が非常に多い。私と同じ慢性疲労症候群の人、うつ病の人、癌を患う人など何人もいるから驚きである。薬を飲みながら働きを続けている人もいるが、やむなく帰国する人もいる。健康のために祈られ、健康診断を定期的に受け、気をつけてはいても、仕事からくるストレスの上に、異文化の中で生活するストレス、そして霊の戦いがある。続いて、宣教師の健康のためにお祈りください。
【祈りの課題】
1.乳癌の治療のため、アメリカに帰国されたランピネン・カレン師とご家族のために。主の癒しとアメリカでの生活への再適応のために。
2.宣教師の健康のために。佐味師は続けて慢性疲労症候群とお付き合いしていかなければならないようです。するべきことと、休養のバランスがとれるように。
「自分たちで御言葉を学ぶには」
カンボジア プノンペン 菅家庄一郎、容子
「伝道的聖書研究の仕方」というセミナーを半日かけてクリスチャン学生のために開きました。聖書をノンクリスチャン学生と共に読み、イエスキリストを紹介していく聖書研究です。いくつかの発見がありました。一.カンボジア人は劇をうまく用いて表現できること。容子の提案で「カンニング」「赦し」「勉強!」「他人と比較すること」というテーマで寸劇をしたのですが、どれも大好評!聖書研究にもこれを導入したらいいのでは、と思いました。二.ノンクリスチャンの学生が忙しく時間がないこと、そして、大学内や大学の近くに聖書研究をする場所がない。三.クリスチャン学生も忙しく、聖書研究をリードする自信がない。熱心でも聖書理解の浅い学生が多い。二.と三.の問題に解決が与えられるようにお祈りください。「忙しい」というのは事実ですが、しかし、遊びにいったり、テレビや映画を見たりする時間はあるのですから、「言い訳」に過ぎません。クリスチャン学生たちが、自発的にノンクリスチャンを誘い、創造的に伝道できるようになるようにお祈り下さい。(庄一郎)
私達の家の隣にはソリナさんというカンボジア系カナダ人の宣教師が二人の姪と暮らしています。彼女たちと、その隣に住む家主さんの息子ソックジアさんと娘のチェンダーさんが、毎週金曜の夜遅くに聖書の学びをしていて、前から助けて欲しいと頼まれていましたが、やっと先日から学びに加わりました。初めの日、彼らの証しを聞かせてもらいました。チェンダーさんは、前に私達の家に住んでいたアリスさんから初めて福音を聞いたこと、その後、シンガポール人のラオ宣教師に導かれ、家族で教会に行くようになり、イエス様を信じたことを証ししてくれました。ソリナ師の二人の姪は、数年前田舎から出てきて、ソリナ師と住むようになり、祈りを通して神様の力に触れ、信仰を持ったそうです。ラオ宣教師が彼らを助けて、忙しい勉強の合間に(全員学生、また仕事もしています)御言葉を教えていましたが、家庭の事情でラオ宣教師が帰国した後も、自分たちで学びを続けていました。次の週には、ソリナ師と仲良しのボーさんも加わっての学び。かつて毎週訪問し、伝道し、学びを共にしていたボーさんが、今や成熟した信仰者となり、若い人たちを励ましている様子に胸が熱くなりました。そして、真摯に御言葉に聞き、吸収している若者たちの姿にも。「それは蒔く者と刈る者とがともに喜ぶためです。」唯一人、信仰告白に導かれていないソックジアさんの為にもお祈り下さい。(容子)
【祈りの課題】
1.7月8〜10日までクリスチャン学生向けのキャンプを考えています。クリスチャン学生同士の良い交わり・成長の時となりますように。
2.聖書研究の仕方を学んだ学生達が、自主的にノンクリスチャンと聖書を学び始めることができるように。
「神の業は現在進行形」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
留学生がまた一人イエス様を信じました。母国に帰れば不利を被り危険に遭うということを承知のうえです。我が家に来るたびに聖書に関する質問をしていたので、真剣に考えているのだろうなと思い、祈っていました。まわりで祈っていた人たちも、母国のようすに注意深くなり押しはせず、積極的な伝道をしたわけではありません。しかし、本人から「私は罪びとであるということがよく分かり、イエス様の救いが必要です。」という告白にいたったのです。全く神様のわざの何ものでもない、と関係者は喜びました。
他にも面白いことがあります。私はミェン教会の礼拝に出席すれば必ず何か頼まれ、結局論文書きにヒビクので、しばらく近所のタイ教会に行くことにしました。できるだけ人と挨拶をしないで帰宅し、こもって論文を書いています。 ところが、あの留学生を含む数人に対して聖書を教えているもう一人の留学生と、タイ人に聖書を教えているペップ姉(五月号で紹介)が、隠れているはずの私のところに、「聖書研究をどのように導いたらよいかと」毎週日曜日、学びに来るようになりました。一週間ごとにグループのメンバーの様子を報告してくれて、共に祈ります。私は「論文が終わるまで伝道はおあずけだ」と決心したのですが、遠隔伝道(?)の機会があちらから舞い込んで来て、不思議にも実を結んでいるようです。(達朗)
五月二十三日、改訂版ミェン語賛美歌集の原稿が完成しました。「これでもう本当に最後の最後」と思いつつその最終チェックを何度したことか・・・。それでも、タイプミスが見つかるのです。一九九八年から始まった賛美歌改訂版は七年で印刷待ちまで来ました。完成版の本の原稿CDを手にした時、主に心から感謝いたしました。祈ってくださった皆様ありがとうございました。
「あなたの次の責任はこの改訂版の音楽のCDを作ることですよ。」と最終チェックをしてくださったバージェス師から要請が来ました。カラオケではなくて実際に賛美しているものを作って欲しいとの事です。神様の導きでふさわしい歌い手達が与えられますように、そして、早い時期に録音が始められますようにお祈り下さい。(たまみ)
●事務局より●達朗師のお母様が六月六日に急性心筋梗塞で倒れられましたが、無事カテーテルによる処置を受けられました。回復のためにお祈り下さい。
【祈りの課題】
1.7年越しのミェン語賛美歌改訂事業が印刷にこぎつけました。感謝。
2.6月号で、有澤家に集まるクリスチャンの大学院生たちに和解が生じるようにと祈っていただき、半分答えられました。あとの半分に進展があるように。
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