2008年7月号
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「共に祈りあう時に」
OMFオーストラリア 宣教師候補者 アイリーン・ニコルソン師、アラン・リホー師
その場には、十七人の人々が輪になって座っていました。ほとんどの人たちが一日中職場で働いた後、途中で夕食を買って、この場に駆けつけて来たのです。年齢は十九歳から四十五歳、学生もいれば職業人(心理学者、教師、医師、エンジニア、牧師、IT技術者、営業職、金融関係)と様々です。集まった彼らは互いに冗談を飛ばしあい、友人達から来た何通かのEメールを読み、初めての参加者を紹介し、そして本題に入りました。毎月そうであるように、この夜彼らが集まった目的は、台湾の人々のため、そしてOMFの働きのために祈ることでした。
一同はそれぞれ体験談を分かち合い、彼らが現地で写してきた写真を見せあったり、「祈りのガイド−台湾の労働者の三十の物語」を読み、台湾の労働者が直面している苦境に注目します。そして少人数グループに分かれて、台湾OMFの現在の働きの必要のために祈り始めます。その後、それぞれの思いに神がどのように働いておられるかを分かち合い、祈りにおいて、そしてさらに行動において、神は一人一人がどのように台湾人に仕えることを望んでおられるのか、その導きを祈って、会は終わります。
全体で四十人ほどの中から約十八人が定期的に集い、その他の人たちも都合がつく時は参加します。彼らは誰なのでしょう?どうして彼らはこのように続けて集まるのでしょう?何が彼らをそのようにさせるのでしょう?
参加者の一人、アル兄を紹介しましょう。四人の子供を持つ四十代半ばの男性です。子供達のうち三人はまだ十代です。二〇〇六年、台湾を訪れた経験はその後の彼の人生を変えました。それまでの仕事を辞め、神学校で学び、来年は家族と共にこの小さな島へ移り住もうとしています。彼とその妻がこの祈り会を主催し、台湾で働く宣教師たちと連絡を取り続け、そうして宣教の炎を燃やし続けています。
次にジェイス兄をご紹介します。大学でクリスチャンになった彼は、就職して一年目です。パートタイムで神学校の学びを続けながら、台湾へ行く準備をしています。彼はヒウィンという女性との結婚を間近に控えています。台湾の労働者に仕えたいと心から願うこの若い二人の熱意は、他の人々にも拡がっていき、大きな励ましになっています!
次はハロルド兄です。「ただ祈りに来てるだけ」と言う彼は、台湾で生まれ、その後はずっとオーストラリアに住む家庭人です。台湾人への思いが、彼を毎月この祈り会へ足を運ばせます。過去十六年間、台湾の宣教師を経済的に支え続けている彼は、今年台湾を訪れて初めて台湾OMFの年会の手伝いをするつもりです。
ルース姉は最近この祈り会に来るようになりました。夫のアンソニー兄は昨年のクリスマスに短期宣教チームのリーダーを務めました。しかし幼い子供三人の世話に忙しい二人は、今現在は出席していません。
この祈り会の参加者それぞれが、台湾に重荷を持っています。短期宣教師として現地を訪問した経験があるか、もしくは台湾で宣教師として働いている友達がいるといった人たちです。誰もが宣教はクリスチャンとしての信仰生活に欠かせない要素だと考えており、宣教師として派遣され、台湾OMFチームに加わる準備をしている者たちも少なくありません。彼らは市内の様々な教会からここに集って来て、人種、教派も様々です。毎月ここに集まることを通して、互いの友達、サポーターになり、祈りの共同体となったのです。彼らの住む国から台湾人に仕えようと集まっているのです。
仲間の一人が一年間の試験期間として台湾に遣わされた時、彼らは喜びの祈りと小さなお祝いの会をもって彼女を送り出しました。この祈りのグループが毎月会い集う目的そのものを、彼女は表していたからです。これを書いている現在、グループはさらにもう一人、今度は長期に送り出される仲間のために、次回の祈り会の前に愛餐会を行なおうと準備しています。
このグループはパウロがコロサイ人への手紙の中で命じていることを、そのまま実行しているのです。
「目をさまして、感謝をもって、たゆみなく祈りなさい。同時に、私たちのためにも、神がみことばのために門を開いて下さって、私たちがキリストの奥義を語れるように、祈ってください。…また、私がこの奥義を当然語るべき語り方で、はっきり語れるように、祈ってください。」
この祈りのグループは、短期宣教ツアーから生まれた理想的な結果です。多くのクリスチャン青年たちは、クリスチャンの通過行事のように短期宣教ツアーに参加します。旅行に参加するのは容易なことです。 しかしその後もコンタクトを保ち、祈り続け、宣教地の働きと働き人たちのことを様々な形で配慮し続けることは容易なことではありません。この祈り会の人々にとって、短期宣教ツアーはただのクリスチャン観光旅行では終わりませんでした。それは彼らの人生により深い変化をもたらすきっかけとなったのです。
もし短期宣教ツアーで台湾を訪れたことのある人々のうち、たとえ半数でも、定期的に祈りのグループに集うようになったなら、参加者一人一人の人生の内に、そして祈られる台湾の労働者たちに、神がどれほどのお働きを展開されるか、皆さんにはご想像がつくでしょうか!
★緊急祈りの課題
OMF台湾チームは二〇一〇年までに二十五人の働き人(宣教最前線で働く宣教師二十名と事務サポート職員五名)を祈り求めています。現在のところ新しい働き人はまだ一名です。お祈り下さい。
「エルサレムから地の果てまで」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
待ちに待った休暇。考えてもいなかった「イスラエル旅行」を神様からいただきました。
テルアビブに着いたのは五月十四日。一九四八年のこの日ここでダビデ・ベン・グリオンは独立宣言を読み上げました。イスラエル建国は奇跡です。
ディアスポラ博物館で十字軍の愚かさ、ヨーロッパの反ユダヤ主義の激しさを見ました。ホロコースト記念館では泣きながら見学するドイツ人青年の一団に会いました。「人間の邪悪さの極み」という写真解説が耳について離れません。涙と激しい胸痛を抱き、その後数日を過ごしました。
イスラエル博物館で死海写本(イザヤ書)の実物を見ました。四〇年ぶりの公開にめぐり合ったのです。カイザリヤ、カルメル山、ガリラヤ地方、マサダ要塞、死海など、有名な所も良かったです。しかしどうしても再訪したいところがありました。帰タイの日、ホロコースト記念館にもう一度行きました。杉原千畝の名前を探すために。
六月から大学で社会言語学を教えるので、エリエゼル・ベン・イェフダの伝記を探していたのですが、エルサレムの古本屋のご主人が見つけてくれました。二千年間、口語としては死語だったヘブル語をベン・イェフダは蘇らせたのでした。これは社会言語学上の奇跡です。
「宣教」と称して行われうる愚行を避けること、人の目から見て「奇跡」「不可能」と思われることを神様に期待すべきこと。噛み締めつつ帰路につきました。(達朗)
タイからの出発便、イスラエルからタイへの帰国便、両方キャンセルとなり、それぞれホテルで一泊。生涯こんな贅沢はないだろうと思うようなホテルに航空会社もちで宿泊しましたし、主人は胸痛でヘブライ大学病院にも一泊。私達の休暇のためにお祈りくださった皆様に心から感謝いたします。
イスラエルでの最後の日曜日、私たちはエルサレムにある聖公会で礼拝をしました。開会の賛美と、牧師のメッセージの締めくくりは「エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、キリストの証人、つまり神の国とその義とを第一に求めるものとして出て行こう」でした。
エルサレムからアジアの全てのミェン族へ新たに派遣される思いでタイへ戻ってきました。(たまみ)
【祈りの課題】
1. 北海道聖書学院を卒業したばかりの佐藤恵里華姉がタイに着きました。これから11ヶ月有澤家の隣に住んで、短期奉仕者としてタイ語とミェン語の学び、ミェン語識字教育の準備をします。近所のタイ人、村と寮のミェン族のクリスチャンたちと良い関係を築いていくことができるようにお祈りください。
2. 7月中旬から8月中旬にかけて、タイのキリスト者ミェン族青年会の役員8人、聖書翻訳者のグエイフォン長老が、アメリカのミェン族教会の青年大会、大人の聖会、聖書奉献式に出席します。青年たちが長老の世代から、宣教とクリスチャン成長におけるミェン語聖書の重要性と普及のビジョンをしっかり受け取ることができるように。
「いつも喜びをもって祈り」
日本 佐味湖幸
OMFは祈りを大切にする団体である。クリスチャンとして当たり前といえば、当たり前のことであるし、いくらしても強調しすぎるということはないことであるが、実際なかなか祈りに集中する時間をとるということは難しい、と感じておられる方々が多いと思う。私もフィリピンにいたときは、自分が実際携わっていること以外のことのために祈るのは、教会や定例のOMF祈祷会くらいで、他の国にいる人たちのために祈るということは大変難しかった。しかし、今日本でOMFが働くアジア諸国から祈りの課題やニュースを読み、働きに思いを巡らし、行間にある宣教師たちの思いや必要を思って祈ること、現地の人々のために祈ることは、私にとって日毎の喜びの奉仕となっている。
五月は市川、大阪、京都と三か所のOMF祈祷会をリードした。今月は特にミャンマーや中国四川省での災害があったので、被災者やそこでの働き人たちのことに思いをはせ、みんなで心を合わせて熱心に祈った。
今回のものと災害の規模は比べものにならないが、十五年前フィリピン、ミンドロ島で三週間のうちに五つの台風に見舞われ、近隣の家々は流され、橋は落ち、道路は寸断され、八か月電気なしの生活を経験した身には、被災者の方々の苦労は他人ごとではない。何もできないという無力感もあるが、祈ることはできる。神様がこの中にもご自身の業を進めておられる。祈らなければと思わされる。
毎月一回、ある教会で礼拝説教の奉仕をしているが、今年度はピリピ書を読み進めることにした。パウロが離れた所から、それも困難な中から自分の開拓したピリピ教会のために祈り続けていた姿に教えられ、また宣教地を離れても、尚熱い思いをもって語る姿に共感する。
さらにこのように熱い思いをもって、アジア宣教のために忠実に祈ってくださる方々が与えられるように、祈りのグループが日本全国に拡がるように願う。
【祈りの課題】
1. さらにアジア宣教のために祈る方々が起こされ、OMF祈祷会が日本各地に拡がるように。
2. 7月26〜28日、石川県で小学生キャンプの奉仕。パウロの生涯からキリストを信じ、従うこと、宣教についてお話をします。イエス様を信じる決心、献身の決心をする子供たちが与えられるように。
「歴史の主なる神」
カンボジア 一時帰国中 今村裕三、ひとみ
皆さまのお祈りに支えられて、巡回が守られていること感謝です。
五月中旬から九州地区を巡回しています。キリスト者学生会(KGK)の学内聖研や地区ブロックの集会に参加させていただきました。私もKGKを通して、学生時代に多くの恵みを受けました。ただ、恵みの多くは卒業してから分かりました。KGKの働きが、今もメンバーは違えど(当たり前ですが)脈々と続いていることに感謝しました。楽しいだけの交わりにとどまらずに、御言葉と祈りの交わりを通して、クラスメートの救霊のために祈り、学内でよいキリストの証人として用いられるようにと願います。
熊本ではハンセン病学会に出席することができました。日本では、ハンセン病は不合理な差別と人権の問題としても知られている病気です。新しい患者さんを日本で見ることは稀ですが、カンボジアでは、まだ多くいます。学会のなかで、水俣病に深く関わった原田正純博士の講演がありました。水俣病もまた、差別と不合理の歴史を持った病です。それらの歴史を持つ日本人として、カンボジアですることはないだろうかと思わされました。(裕三)
十四年前に亡くなった私の父親は、約五十年前、KGKという大学生伝道の働きをしていました。当時、その働きは始まったばかりで、父は主に東北地区を回って、KGKを建て上げる初期の働きをしていました。その頃、私たち家族は東京に住んでいて、父はほとんど家に帰らず、四人の子供は父親をよその人と勘違いするほどだったようです。給料も三ヶ月以上の遅配が当たり前で、まだ小さかった私は父が東北で何をしていたのか、詳しくは知りませんでした。私は、父の老後にゆっくりと父の歴史について聞きたかったですが、聞きたい時に、父は既に亡くなっていました。
今回の教会巡回時に幸いなことに、父のKGK時代に関係のあった方々とお話しすることが出来ました。父は礼儀などには厳しい人で、割と率直に厳しい助言を多くの方にしていたようで、私はその方々が、父に対してどんな感情を持っておられるのか多少心配でした。しかし、皆さまに、とても温かく迎えていただき、良い交わりの時を持つことが出来ました。その当時、父は経済的にも大変で、家族と一緒にいることが十分には出来ませんでした。しかし、多くの学生の魂が救われ、霊的に成長していく時を共有できたことは、何と幸せだったことかと思いました。そして何よりもその働きが一時的な盛り上がりに終わらず、御言葉を忠実に学んだ方々が主の働きを続け、次の世代の人々がそれらを受け継いでおられるのを見ることを出来たのは、私にとって大きな霊的財産を受け取った気がしました。感謝です。
また五月二十日に、ニュージーランドに無事に着くことが出来ました。お祈り感謝します。(ひとみ)
【祈りの課題】
1. 7月は、東海、関東地区の巡回をします。そのなかで祈りの友が与えられますように。また、各地の大学生伝道(KGK他)の働きのために。学生たちが級友の救いのために、共に、関心を持ち、祈り、責任を負っていくことができるように。(裕三)ニュージーランドでの生活が守られていることに感謝。同じクラスにいるカンボジア人の方と良い交わりが与えられますように。英語の学びと、相応しい地域教会に属し、そこでの信仰生活が祝福されるように。(ひとみ)
2. クラチェ教会の歩みのために。御言葉を慕い求める群れとなるように。3人のリーダー(セイハー兄、ブンソン兄、コン兄)が聖書を学び、相応しい牧会と御言葉の説き明かしをすることができますように。
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