2009年3月号
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「子供たちをわたしのところに来させなさい −中国の自閉症センターで仕える一夫妻の証し−」
ドウちゃんはおずおずとした様子で自閉症センターにやって来ました。六歳になっているにもかかわらず、彼女は話すこともトイレを我慢することもできず、周囲に対しても攻撃的でした。
センターに来て最初の数日間、彼女は叫び声を上げ、殴りかかり、頭突きをくらわせてきました。その頭突きのすさまじさときたら…!彼女の周囲半径一メートル以内に近づこうものなら、誰かれかまわずノックアウトされてしまいます!逆上のあまり、周囲にも自分自身にも危害を与えようとする彼女を、三人がかりで抑えつけなければならなかったことも何度かありました。祈りのうちにそうしていると、やがて彼女は落ち着くのでした。
読者の皆さんには、その子の両親の生活がどんなものであるか想像できるでしょうか?ご両親にとって神を信じ、神を信頼することがいかに困難であるかは、想像に難くありません。神が存在するならば、自分たちはその神に呪われているのだと思うのではないでしょうか?ドウちゃん自身はどうでしょうか?これほど愛されることが必要な子なのに、彼女は人との関係を築くことがほとんどできません。どうしたら彼女は、彼女を最も愛しておられる主との交わりを持つことができるのでしょうか?
長い間、私たちは宣教地で主に仕えることを考え続けてきました。しかし、それが実現する可能性も見えないままに、日々は慌ただしく過ぎていきました。ところが、私たちが当時SARSが吹き荒れていた香港で勤務していた時、その機会はやって来たのです。
私たちの内、片方は医師として、そしてもう一人は小児専門の作業療法士として診療所で働いていたのですが、その周辺地域でSARSの症例が次々と出てきたのです。この期間、私たちは悩み、この疫病をきっかけにして、将来どのようにして神に仕えることが御心なのか、と深く考えさせられました。
危機的な状況の中にあった数ヶ月、主はOMFの創始者のハドソン・テーラーが中国へ行くにあたって経験した様々な葛藤の物語を通して、毎日私たちに迫ってこられました。こうして将来について考え続けていたのですが、ついにある朝、私たちは主が私たちをどこに遣わそうとしておられるのかが分かるまで、寝床を出ないことにしました。私たちは祈り、断食し、主を待ち望み続けました。感謝なことに、それから間もなく私たちは主がこうささやかれるのを聞いたのです。「東アジアでわたしに仕えなさい!」と。
それからわずか二時間後のこと、思いがけない電話がかかってきました。そして何と私たちは家族ぐるみで、香港での勤務の長期契約から解放されたのです。主はこうもすばやくドアを開くことがおできになるのだ、ということに、私たちは呆然としてしまいました。さらにそれから半年もたたない内に、私たちは中国の地に―それも長年祈り続けていたある地域に―立っていたのです。
最初、私たちはクリスチャンの医療団体のメンバーとして、地方の病院に入りました。しかし私たちの内の一人がまだ語学力が不足していると感じたため、省都に移ることになりました。既にその地方のある公務員と大変親しくなっていたため、その地を去るのは残念でしたが、その公務員に別れの挨拶をしに行きました。
「お国に帰るのですか?」
彼は私たちにこう聞きました。
「いいえ」と私たちは答え、「省都に移るだけです。」と言いました。
「本当ですか?」
彼は驚いたように聞き返しました。
「じゃあ、またそこで会えますよ。実はさっき昇進の知らせを受けたんです。私ももうじきあそこへ行くんですよ!」
この会話は後に、私たちがリハビリ病院に勤務することと、自閉症スペクトル障害者用センターの創設へとつながっていったのでした。前者のリハビリ病院は、省の障害者協会が設立したものでしたが、農村地域で築いてきたコンタクトのおかげで、私たちは療法用機材や患者にやさしい病院づくりのために、様々なアドバイスを求められました。
又、障害者協会は、それぞれの地域が自閉症スペクトル障害を持つ子供たちへのケアを主体的に行なっていくように働きかけ、自閉症センターの設立を進めていました。そのため私たちは見取り図のデザインと機材・教材の配置を依頼されたのです。又、地元の特別教育に携わる教師たちの訓練も担当しました。
こうした中で、地元の役人らの指導下にありながら、地元の運営システムをあるべき方向へと導くためには、多くの忍耐と恵みが必要でした。しょっちゅう間違いをおかしたり、互いに誤解してしまうこともありました。時にはプロジェクト全体の流れが後退してしまうような出来事も起こりましたが、逆に著しく前進するような事もありました!
現在私たちは自閉症センターで、健康と教育の専門家チームと協力して働いています。対象は五歳から八歳までの重度の知的障害を持つ自閉症の子供たち(とその家族)です。この小さな始まりを通して、主が私たちを用い、さらに多くの子どもたちを祝福して下さるよう、私たちは願っています。
今、リハビリ部門で共に労してくれる人材、特殊教育の教師、セラピスト、臨床小児精神病医が必要です。全ての障害を負った人々とその家族たちに祝福をもたらすために、私たちは共に働いています。自閉症児のための働き以外にも様々な働きが行なわれています。
特殊教育の教師養成のために、あるいは打ちひしがれた両親たちと共に歩むために、又、障害を持つ人々に治療とケアをもたらすために、私たちと共に働いて下さいませんか?今この時も、神はあなたを、もしくはあなたの周囲にいる誰かを、招いておられます。
主イエスはこう言われました。
「…邪魔をしないでわたしのところに来させなさい。天の御国はこのような者たちの国なのです。」(マタイ十九・十四)
「忠実な神のしもべ」
日本 佐味湖幸
一月は菅家総主事を私の母教会、昭和聖書教会にお招きして、CSや礼拝説教をはじめ、色んな集会でご奉仕をいただきました。
礼拝後、昼食を共にした後、菅家総主事からカンボジアでの働きの報告をいただき、神様がかの地でなされた働きに思いをはせ、主の御名をあがめました。その後、OMF全体としての働きや、OMF日本委員会としての働きと日本委員会から送り出している宣教師たちについて説明をいただき、OMFについて理解が深まる良い機会になりました。
また「湖幸のストーリー」として、私自身が宣教師になって実際に宣教地に遣わされるまでに、神様がどのような集会や人々を用いて、励まし、導いてくださったかをインタビュー形式でお分ちさせていただきました。子供たちが、その用いられた集会や人の名前を書いた紙(菅家容子師が準備してくださいました)をもって、前にずらっと並んでくれました。このように神様は一人の人を導くのに多くの人を用いられます。私は今モービライゼーション(動員)という働きをしていますが、これから宣教師として導かれていく人たちの励まし手、導き手の役をしているのだということを菅家師がまとめてくださいました。「よくわかったわ。」と、後である婦人の方が喜んで声をかけて下さいました。前に並んだ子供たちの中からも、将来、主の召しを受けて牧師や宣教師になる人が起こされるように願わされました。
拡大宣教祈祷会では、東京から下高井戸祈祷会を主宰して下さっている栢沼兄をお招きして、長年にわたってどのように朝顔教会で海外宣教部の働きに携わってこられたか、また、どのようにOMF祈祷会を始めて、今日に至っているかをお分ちいただきました。証だけでなく、クイズあり、長年にわたって整理し、蓄積された海外宣教に関する資料の展示ありと、本当によく準備して集会に臨んでくださいました。集まった者はそれぞれすでに何らかの形で海外宣教に携わってこられた方がほとんどですが、神様から与えられた奉仕を長年にわたって忠実になさってこられた兄の姿に、新たなチャレンジを受けられたことと思います。
【祈りの課題】
1. 3月18日から31日のフィリピン短期宣教プログラムのために、主の守りと導きをお祈り下さい。日本から二人の若者が参加します。よいチャレンジの時となるように。
2. 新しくOMF祈祷会に参加される方が与えられ、また、新しい祈祷会が日本各地に拡がり、宣教のためのとりなしがなされていくように。
「神様の御心」
カンボジア 今村裕三、ひとみ
奉仕を決めるにあたり、多くの必要があることを実感しました。「収穫は多いが働き手が少ない」、この御言葉を思い巡らしながら、神様はどこに私たちを導いておられるのか祈りつつ過ごしました。今期の奉仕は一つの教会だけではなく、いくつかの教会を対象にした超教派的な働きに導かれつつあります。田舎の教会のことが気になりますが、少なくともこの一年は首都プノンペンに住んで、プノンペンの教会の様子を知り、カンボジア人のリーダーと交わり、また、定期的な田舎の教会への巡回ということを通して、今、どのような必要があるのか知りたいと思っています。
借りる家が与えられました。OMFセンターのキッチンワーカーの方の家です。間借りをします。昨年、宣教師から独立したポチェトン教会が近いところにあります。クラチェ教会同様、宣教師がいなくなって、気持ち的には寂しい思いをしていますが、牧師、リーダーを中心とした教会形成が始められています。目立たなくても現地のリーダーの邪魔をしない奉仕の道を探していきたいと思っています。(裕三)
会議の為、プノンペンに出て来たセイハー先生に会いました。そこで彼の腰痛がひどくなっていることに気がつきました。以前から腹痛・腰痛持ちですが、最近、腰痛がひどく、体重は四十三キロまで落ち、身体をまっすぐに出来ません。「なぜ頑張っている彼がこうなるの?」と悲しくなりました。
しかし彼は「僕よりも大変な人のことを祈って欲しい」と言います。信じて間もないロン兄が、重症で入院しているそうです。最近まで外国の援助団体が低所得者に医療費を援助していたのですが、それが打ち切られ、一日十ドルかかるそうです。現金収入のない農民にとってはかなりの負担です。医療レベルも非常にお粗末です。クラチェ教会員のヒム姉は病院の前で食堂を開いていますが、患者が激減したので店の経営にも響いているそうです。彼女は十分の一献金を忠実にしている人で、教会員の少なくなったクラチェ教会の会計も苦しくなっていると思われ、心が重くなりました。
その時セイハー先生が言いました。「でも、良いこともありました。入院しているロン兄を教会員が助け見舞ったことで、今まで福音に拒否的だった奥さんが好意的になってきました。またナーリー兄(現在二十六歳。九歳の時にかかった病気が元で内蔵が腫れ、身体がむくみ、いつも痛みに悩まされている)が献金当番の教会の奉仕をはじめました。」
常に厳しい状況に置かれているクラチェ教会員の方が、私よりも神様の力をよく知っていると感じました。クラチェ教会員が、神様の励ましの息吹を身近に感じることが毎日出来るように。また私が安易に援助をすることに走らず、神様のやり方を学べるようにお祈り下さい。(ひとみ)
【祈りの課題】
1. 3月2日から6日まで(カンボジアにて)と3月30日から4月3日まで(シンガポールにて)OMFのリーダーシップ訓練会に参加します。また、3月10日には、OMFカンボジア・教会奉仕の宣教師リーダーの修養会が持たれます。よい学びと訓練、祈りのときとなりますように。
2. クラチェ教会のセイハー師他、病の中にある兄姉の健康のためにお祈り下さい。セイハー師は腰痛と背中・肩の痛みで弱っています。右腕がまっすぐに挙げられません。また、腰と背中の痛みのために背中をまっすぐに伸ばすことも難しいです。よい治療を受けることが出来ますように。
「良いコミュニケーション」
カンボジア・ニャックルアン 西村信恵
二〇〇九年が明けて一ヶ月がたちました。青年の一人が聖書学校に行く準備、教会で今年末に幼稚園を始めるための準備、宣教師の移動、今年はいろいろな変化がありそうです。その中で、私の役割を十分に見極めて主の導きの中奉仕していくことが出来たら、というのが私の祈りの課題です。二月初旬の今年の歩みについてのリーダー達との話し合いの前に、私がしっかり心の準備をしなくては、と一月半ばに休暇をとってリトリートに行ってきました。緑に囲まれたところで、自然の空気を吸って、散歩をして、しっかり神さまとの時間も取ることができ、霊肉共に力をいただいてくることが出来感謝でした。神様としっかりコミュニケーションをとる、一緒に時間を過ごす、ということをしていたつもりでも、横目で神様を見つつ歩んでいた自分に気がつきました。神さまにしっかり心を向けて交わること、他の人と交わる時も、その人にしっかり心を向けて、交わることの大切さを思わされました。
教会員の家族のためにもお祈りください。プラサー村のオムホーンさん家族は毎日夕方に家庭礼拝を持っておられます。今年に入ってワチャナー兄弟が、自分の家でもできたらと、家庭礼拝を始める様になりました。始めるようになって二週間、父親とのコミュニケーションの時が持てるようになったとのこと。求道者のお母さんも喜んで参加しています。神様との交わりの時をしっかりとり、その中で交わりを持っていく時に、また神さまを中心として交わる時に、神さまがそれぞれを近づけてくださり、ひとつにしてくださることを思いました。ニャックルアン教会は、夫婦共にクリスチャンであるカップルが六組あります。それぞれの家庭でも家庭礼拝を始めることが出来、家族の関係も主によって整えられたらと願い、祈っています。 忙しくなると、なかなかしっかりしたコミュニケーションが出来ず誤解が生まれたりしますが、チームメンバーとのコミュニケーション、教会リーダー達とのコミュニケーション、青年達とのコミュニケーションも主にあってしっかりとることができて、お互いに理解しつつ、励ましあいつつ、共に歩んでいけますように、どうぞお祈りください。
【祈りの課題】
1. リーダーグループのソッカー兄弟、ティー兄弟、マカラー兄弟の信仰が強められ、主にあって成長していくことが出来ますように、また、主にある結婚に導かれますようにお祈りください。
2. ニー姉妹と、スレイモン姉妹は、幼稚園の先生となるための準備に入ります。さまざまなことを吸収して祈りの中、訓練の中、よき働き人として整えられていきますようにお祈りください。
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