2011年2月号
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「六村の子達」
カンボジア 小川文子
ニャックルアンでの教会開拓チームに加わって約五ヵ月。初めの頃に比べると、いろいろと慣れてきた気がします。チームも一致しており、皆様のお祈りに心から感謝します。
幼稚園の子供たち(二十人程)ともすっかりおなじみになり、また毎週行くアウトリーチ先の子供たち(三十人程。でも二十人位が交互にやってくる)とも、隔週で「六村」からラモ・トラックでやって来る子供たち(大勢!)とも仲良くなってきました。
この子達は、服はぼろぼろ、叩いたり蹴ったりする激しさにも過酷な背景を感じますが、笑顔を向けると素直に反応してくれる可愛い子達です。ケンカをしかける子を引き寄せてひざの間に座らせると、すんなりと頭を持たせかけてじっとしています。まるで愛に渇いたスポンジのようです。
秋の英語教室以来、時々来るようになった六村の青年たちのことも気になっていました。この子達はまだ他の人たちとなじんでおらず、私につながって教会に来ているようなところがあるからです。訪問したい(けど家がわからない…)とチームでも祈っていたクリスマス前のある日、突然その子達の一人がやって来て、自分の家と他二軒の家に連れて行ってくれました。彼らの生活、家族背景を知るのは何かとても感動的でした。これらの青年たちほぼ全員(十一名程)が青年クリスマス会に参加してくれました。その他にも多くの青年や大人がクリスマスに参加し、二百名程がすし詰めになったクリスマス礼拝では、十三名が招きに応えてイエス様を信じると表明しました。どうぞこれらの子供達や青年達、信仰を持ち始めた方々のフォローアップのためにお祈り下さい。
【祈りの課題】
1. 六村の子供達、青年達のために。特によく青年会に来るスレイオーン、レイ、マイ、ガイ、エーイ、コーフィーの救いのために。
2. ニャックルアン教会で経済的に困難な状況にいるブンニー一家のために。着るものがなくて教会に来られなかったこともあります。他の教会員と共同で始めた魚の養殖がうまく行くように。
「天からの視点」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
戦闘機乗り、民間航空会社のパイロットとしてサン=テクジュペリは人生のかなりの時間を上空で過ごした。そのユニークな視点から『星の王子様』が生まれた。通常の生活をしている私たちが見えていないものを知らせてくれる。
「日本語上手ですね。どこの国の人ですか?」とまた言われた。ヘンな日本人と思われているだろうが、九ヶ月の滞在の締めくくりに、外から見て気づいた日本の姿をお分かちして再びタイに赴きたい。
非常に目に付いたことは「進化」という言葉だった。生活は進化し、健康は進化し、家具が進化し、お風呂も進化する。進化したモーターやエンジン。掃除機も進化し、医療機器も進化し、技術は進化し、果ては盆栽も進化するのだそうだ。学校の先生も進化しなければ教育は良くならないとか。
新しいデザインの考案、技術の進歩、品質の改善、改良、向上、前進、発達、発展。あるいは能力の開花や研鑽、などといった豊かで正確なことばは完全に衰退させられ封印された。
モンスターがメタモルシス(変形)するのがはやったころ、子どもたちは教会学校に来なくなった。かろうじて来ていたクリスチャンホームの子どもたちはポケットにモンスター(魔物)を入れて教会に持ち込んだ。母子室などで彼らは魔物カードで遊び「進化」ということばを徹底的に脳裏に焼き付けた。このように成長した世代から広告業界に就職した者たちは、今あらゆるコマーシャルのキャッチコピーに「進化」を使う。コマーシャルを流さない非営利放送局は、ダーウィンを使って進化論を宣伝している。日本全国が天地万物と人間の創造主を嘲笑している。悪魔とともに神を笑っている。
進化論が支配する日本は依然として年間の自殺者が三万人を超えている。適者生存と言いたいのだろうか?いつだったか街角で新生児の遺体が燃えないゴミの中に捨てられていた。専門家の方々に妊娠中絶件数増加とポルノ氾濫・不倫蔓延の相関関係を調べていただきたい。長寿ではあるが、命と人間の尊厳がこれほど安物扱いされている国は悲しい。人間に価値があるのは全能の神が最大の愛を込めて創造してくださったからだ。進化したからではない。
去年ケープタウンで行われた第三回ローザンヌ世界宣教会議は、天地創造の神による宣教という概念に世界の教会の目を向け直してくれた。創造主による宇宙規模の宣教的視点が必要だ。そういう視点から日本のために祈り、また委ねられたミェン族宣教において仕えて行きたい。(達朗)
今月沖縄二週間の訪問で日本での巡回報告が終了します。ここまで巡回が守られていること、皆様のお祈りを心から感謝します。最後まで忠実に報告することが出来ますように続けてお祈りください。(たまみ)
【祈りの課題】
1. 有澤師の留守中、響姉(2010年10月号)と貴兄を預かってくれているW牧師ご夫妻の働きのため。国境を越えて聖書を学びに来る人たちを教えています。下宿人たちと研修生たちがミェン族宣教のためによく整えられますように。
2. タイ国ウィクリフ聖書翻訳協会で識字教育者になる訓練を受けているミェン族の壇兄(2010年11月号のガオフェイ)と富雄兄は4月でインターン期間を終えます。その後、ミェン語聖書普及のために具体的な働きの場が与えられるようにお祈りください。
「あなたのパンを水の上に投げよ」
日本 佐味湖幸
一九九三年十二月。私にとって一生忘れられない月だ。この月、三週間の内に五つの台風が次々とフィリピン、ミンドロ島を襲い、橋という橋が落ち、道路は寸断され、田畑は見渡す限り浸水し、ボートが走っていた。家々は浸水し、破壊され、海に近い村は一部流された。私は当時、ミンドロ島ギンハーワ村にあるミンドロ・バイブルカレッジで音楽を教えていたが、予定されていたクリスマス・カンタータの上演は延期され、近隣の村々で家を失いカレッジに避難してきた数百人の被災者たちの対応に奔走した。男子学生たちはある所は首まで水に浸かって、お年寄りや子供たちの避難を助け、女性たちはありったけのタオルや衣服、そして食べ物を提供した。
ギンハーワ村の東隣のピリ村では、この台風がきっかけでリバイバルが起こり、五年後に母教会ギンハーワ聖書教会から独立してピリ聖書教会が誕生。昨年十二月、十二周年の記念礼拝を行った。今も活発に近隣の村々への伝道活動を続けている。
一方、西隣のルーマンバーヤン村は、昔から福音に固く心を閉ざしていた。しかし今、あの台風から十七年も経って、「あの時、本当にお世話になった。あんたたちを通して神様の愛を知ったよ。」と、この村の中でも特に貧しいケゾン地区の人々が、ミンドロ・バイブルカレッジの二人の学生の訪問を受け入れ、心を開いてきているそうだ。不思議である。 「あなたのパンを水の上に投げよ。ずっと後の日になって、あなたはそれを見いだそう。」永遠に続く実が結ばれるようにお祈りください。
【祈りの課題】
1. ミンドロ島ルーマンバーヤン村でのミンドロ・バイブルカレッジの学生の伝道が祝され、実を結ぶように。
2. 宣教師になる準備をしている方々の上に、主の豊かな導きがあり、また必要が供えられるように。
「心配性と神様の愛」
カンボジア 今村裕三、ひとみ
十二月は数多くのクリスマス集会が行われました。昨年から始まった宗教省での英語クラスのクリスマス会もありました。宗教省の大臣と個人レッスンをしているOMF宣教師によると、大臣も来ると言っていたということでした。私はOMFの代表としてスピーチすることになり、大臣を前にする公式の場に相応しい「普段は使わないカンボジア語」の原稿を用意しました。当日、大臣到着の前に宗教省の職員と大臣取り巻きの人たちが、クリスマス集会の会場になるOMFセンターに安全確認のためにやって来ました。彼らによると、どうやら大臣はいつも会っているOMF宣教師から招待を受け、「はい、はい」と参加を決めたのですが、本来であれば直接大臣を誘うのではなく、宗教省のしかるべき部署に事前に連絡し、集会の内容・目的・規模等々の調整をするのがしきたりだったようです。今回はそのしきたりを無視した形になり、一時はどうなることやらと思われました。大臣も最初は、私と大臣が交互にスピーチをする最初の十分程の参加と聞いていましたが、結局は四十分余り参加されました。そのためクリスマスの賛美歌を一緒に歌い、クリスマス・メッセージも聞くことになりました。メッセージをした宣教師は、スライドが準備してあったので、内容を変えられなかったと後で漏らしました。その内容は福音をストレートに語り、すべての人にイエス様の救いが必要ですという内容でした。大臣はスピーチの中でポル・ポト大虐殺などを二度と引き起こさないために宗教は(どんなものでも)この国には必要ですと語っていたのでした。しかし、大臣始め参加者は終始和やかに過ごし、会は終わりました。「聖書の真理が人々の心を捕らえますように」と祈りつつ皆で後片付けをしました。(裕三)
クリスマス集会の前日、クラチェ教会のリーダー・ブンソン兄の娘(スレイビー、九歳)が、プノンペンの病院に運ばれました。難病かと思わせる症状で、私は不安な気持ちになりました。母親のディビアは去年から体の調子が悪く、根本の問題は体ではなく心の問題のようです。夫婦関係もあまりうまくいっていないようで、またスレイビーは前から教会へ行くのが好きではありません。
その病院は外人お見舞い禁止の病院で、外人とバレるといけないので病室を人に聞けません。そんな緊張もありながら、いったい何を話したら良いのだろう?と不安にも思いつつ、病室を探して三十分以上病院内を歩き回りました。やっと病室にたどり着いた時にはとても疲れていました。スレイビーは見るからに弱っていて、私は悲しくなり頭が回りません。なんとか励まし共に祈り、帰りました。
祈りつつ、一日置いて再度病院に行きました。病名ははっきりしていませんが、少し良くなっているようです。彼女の病気・家族のことなどゆっくり話しつつ、最後に母親のディビアに「なぜ子供が病気になったのを神様は許されたのだと思う?」と聞きました。彼女は「神様には神様のご計画があるのだと思うけど、今は必死でわからない」と答えてくれました。「私も分からないけれど一緒に祈ろう」と心を共にして祈りました。スレイビーはいつになく神妙で、私が差し入れした漫画の聖書をとても喜びました。
「死と家族関係の崩壊を恐れていた」私でしたが、お見舞いに行って「スレイビーの救い、そのことを祈ることによる家族の一致」を祈ることが出来感謝です。スレイビーの救いと癒し、家族の信仰の一致のために、また私が恐れに支配されず神様にもっと頼り、語れるようにお祈りください。(ひとみ)
【祈りの課題】
1. 公共事業省、宗教省での英語クラスが用いられるように。個人的な関係を築き、福音を語る機会が与えられますように。また、両クラスでクリスマス会が開かれました。福音を聞いた人たちがさらに本当の神様に出会うことができますように。
2. カンボジア教会交友会の牧師・リーダーの霊性のために。よき牧者として整えられ、御言葉に立った教会を建て上げられますようにお祈り下さい。今年の牧師・リーダー訓練会の準備のために。
「母教会という恵み」
日本 菅家庄一郎、容子
年末年始と名古屋と堺のそれぞれの母教会で礼拝をする機会が与えられました。日本に戻って三回目の年末年始は、以前よりも落ち着いて過ごすことができました。カンボジア宣教師時代から現在に至るまで、OMFと私達の働きを支えてくださっている母教会の方々と私達家族全員がそろって会うことができました。
名古屋一麦教会は、主任牧師が不在の状況が続いていますが、複数の協力牧師が立てられて日曜日の礼拝や水曜日の祈り会で奉仕をしてくださっています。元旦の礼拝では、古田大展師が「向きを変えて出発せよ」(申命記一・七)より力強く語って下さいました。主が新しい業を始めてくださっているのを見て、感謝を捧げました。
堺大浜キリスト教会では、中谷建晴師がエズラ記五章より、主に信頼してそれぞれがなすべき業を行い、交わりの中に生きるべきことが語られました。新しい会堂の必要があり、新会堂プロジェクト・チームがスタートしようとしています。
それぞれの教会で私達の両親が礼拝を捧げており、多くの人達の愛の交わりの中で支えられているのを見て、改めて私達の働きが母教会の祈り・献金・交わりに(もちろんその他の多くの教会にも)支えられていますことを心から主に感謝しました。同時に未信者である親族の救いのためにもさらに祈り、機会を用いて伝道していきたいと思わされ市川に戻りました。(庄一郎)
二〇一〇年最後の水曜日、私たちの派遣教会の祈祷会に家族で参加することができました。私たちがカンボジアに遣わされてから今に至るまで、忠実に祈り続けてくださっている兄姉と共に祈ることができ、心は感謝で一杯でした。祈りに続いたお証の数々が心に残りました。奥様が骨折し、信仰が揺さぶられたこと、老いにどのように向き合っていくか問われていること。親しい方を天に送られ、さみしい中にも希望がある証。家族の様々な問題の中、信仰を失いそうなところも通されたが、主の御言葉が成るのを見せて頂いた証。そして開かれた御言葉は、「それでも私は主にある」。一年を振り返ると、勝利、感謝ばかりではない。様々な問題があり、試練があり、敗北があったかもしれない。それでも、尚御言葉を聞きたい、祈りたい、と願う。今日それでもあなたは主の中にあった。主はあなたをご自身の中に保ってくださっている。雨が降り、風が吹いても、それでも倒れなかった。それが主にあるということ。古田先生を通して主が語ってくださいました。私の周りでも大きな嵐が荒れ狂い、洪水が押し寄せているような中にも倒れず保たれている人たちを見せて頂き、神様を崇めています。新しい年、主の御言葉がなるのを見たい、共に見せていただきたいと願っています。皆様のお祈りを心から感謝して。(容子)
【祈りの課題】
1. 1月31日〜2月1日の日本委員会のためのお祈りをありがとうございました。決められたことを実行に移していくことができますように。
2. 庄一郎師は2月15日〜21日まで関西の祈り会や宣教師支援教会を訪問させていただきます。OMFの働きについてさらに深い理解をしていただき、宣教のための協力関係を深めることができますように。
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