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2011年3月号  page1  page2


「フィリピン」

学生の集会  東アジアで唯一のキリスト教国として知られるフィリピンですが、九千二百万の人口の内、聖書に根ざす信仰を持つ人々は八パーセントにすぎません。この国ではキリストに仕えるにあたっていろいろな方法がありますが、私たちや私たちと共に労している人たちがどんなことをしているか、ご紹介しましょう。
ミンドロ島の人々
 一五〇〇年代、タヴィド族の占い師がこのように予言しました。「いつの日か、白人がここへ来て教えるようになる。大きな人たちだ。彼らは私たちの言葉をしゃべる。彼らが来たら、私たちは彼らの教えに従わねばならない。」この予言はその後十六世代にもわたって受け継がれていきました。
 一九六二年、フィリピンに来て九年目になるOMF宣教師のラッセルとバーバラ・リード師夫妻はタヴィド族語を習得しましたが、当時ダヴィド族の中には、ただの一人もキリストを信じる人はいませんでした。
 神は東方のある村にリード師夫妻を導かれました。リード師夫妻が自分達の言語を話すのを聞いた村長は、彼らこそが長年待ち望んでいた者たちだ、とわかったのです。そしてその地域の三つの村にいた大人たちのほぼ全員が主を信じました。神は見事な方法で導かれたのです。
 OMFはミンドロ島の六部族への働きを続けています。その土地の兄姉が主体となって地域教会の集合体ができ、成長を続けています。OMFはリーダー達の指導役を務めています。どうかあなたもこの働きに参加して下さい。
低地に住む人々
 リーとダイアナ・スティーブンソン師夫妻はトラックに聖書、イラスト版年代順聖書物語、工具類、オートバイの交換部品、ミネラルウォーターの瓶数本を積み込み、美しい橋を越えて、まだ開発途上の島へ向かいます。
 ある村に着くと若いクリスチャン二人がダイアナ師と合流し、彼らは一緒に近所集会を開きます。熱心に神を求める人々に対し、青年クリスチャンの一人が聖書の話を始めます。そして人々はそのメッセージと村に古くからある宗教儀式と比較して話し合うのです。
 リー師の方は男性のグループが集まっている村の共同バスケットコートへと向かいます。イラスト版聖書物語で今までの話を確認し、次の話へと移ります。終わると今度は工具を取り出し、皆に基本的なオートバイのメンテナンス方法を教えます。これらの人々は今、同じ地域の人たちに自ら福音を伝えています。
 OMFは低地の五州に住む主だった三つの部族へ宣教の働きを続けています。スティーブンソン師夫妻のように人々の生活に根ざした教会開拓もあれば、教会を励ましたり、リーダー育成や訓練に携わる働きもあります。どうかあなたもこの働きに参加して下さい。
マノボ族の村にて ミンダナオ島の人々
 一人の青年が部族長の住む小屋に駆け込んできました。仲間の一人が殺されたというのです。部族長他リーダー格の数名が調べ、残された状況証拠から、敵対しているある部族の犯行らしいことが浮かび上がってきました。ごく二、三年前ならば部族長は皆を集め、どうやって復讐するかを決めたことでしょう。しかし今、彼らはキリスト者です。部族長は皆を呼び集め、死者のために悲しみ、そして祈りました。自分達が復讐に走らないよう助けて下さい、そしてこの事件にどのように対処したらよいかを示して下さいと祈ったのです。
 過去三十年間、神はOMF宣教師を様々なマノボ族の村々に送られました。そして神はかつては攻撃的だった村人たちを優しい人格へと変えられ、その結果、復讐による殺人の犠牲者が減り、永遠のいのちを持つ人々が増えました。OMFは聖書の学び、諸教育、訓練、翻訳や青年たちへの働きを通してマノボ族の人々に仕えています。どうかあなたもこれらの働きに参加して下さい。
イスラム教徒の人々
 アブドゥルは多数の貧しいイスラム教徒から成るコミュニティの支援をしています。しかし、その地域では少数派である彼らは弾圧を受けており、仕事も臨時雇いのため最低限の賃金しか得られず、多くの人々が苦しい生活を強いられています。薬物乱用や健康に問題を抱える人もめずらしくありません。
 OMFチームはこのコミュニティのため、フィリピン人教会と協力して診療所を開き、多くの人々が診察を受けられました。医療チームや教会からのボランティアの態度に人々は感銘を受け、アブドゥルなど複数の人々が主を信じました。このチームは今では地域に暖かく迎えられて、アブドゥルのようなコミュニティーの代表たちと協力し、人々の必要にどう対処していくかを考えています。神はこのパートナーシップを用いて下さっています。
 OMFはルソン島とミンダナオ島で七つのイスラム教部族(カビンガン、カラガン、マギンダナオ、マラナオ、サマバンギンギ、タウスゥグ、ヤカン)への働きをしています。中には地元教会がその地域のイスラム教徒に仕えるよう、励ましている働き人もいます。どうかあなたもこの働きに参加して下さい。(個人名は仮称です)
都市部貧民街の人々
 ミンダ姉は貧しい家に生まれ、家族は地域の貧しさを逃れ、よりよい生活を求めてマニラの巨大な不法居住区に移り住みました。ミンダ姉はまだ若くして結婚し、子供達が生まれた後、生活のために麻薬売買に手を染め、自身も麻薬中毒になってしまいました。それから二十年後、彼女は信仰を持ちました。苦しい過去のために彼女はひどくやつれていましたが、今、彼女は当時とはすっかり変わりました。
 ミンダ姉は地域の聖書的教会の運動に関わる、都市貧困層のクリスチャンの一人です。OMFは彼らを訓練し、彼らは学んだことを地域で伝えていくのです。過去五年間でこの働きに関わる教会の数も五つから二十一に増えました。
 OMFの都市部貧困層の人々への働きは訓練以外にも、事務、牧会的な奉仕、青年伝道や地域開発、医療関連の働きもあります。どうかあなたもこの働きに参加して下さい。
OMFフィリピン
 九十八人のOMF宣教師がフィリピンで労しています。その内三分の一が教会開拓に、他の三分の一が教会の強化に、残りの三分の一が事務関係や宣教師子弟の教育、OMF宣教師のケアや訓練に携わっています。OMFフィリピンは最も福音が届いていない三十五部族の内の九部族と、社会で少数派の人々への働きを続けています。各部族や各グループの中で、福音的クリスチャンは各人口の二パーセント以下です。
 フィリピンで主を信じるコミュニティが諸団体と協力し、社会を変え、国際的にもインパクトを与える存在になることを願っています。今OMFフィリピンは神がさらに十九人の働き人を送って下さるよう祈っています。国のリーダー達と共に、もしくはその下で喜んで働ける人々を特に祈り求めています。
 神はフィリピンで力強く働いておられます。実を結ぶ働きへの大きな扉が私達の前に開いています。神はあなたがここでできる良き働きを備えておられるのではないでしょうか?もしそうなら、あなたが今、ここにいて下さるとよいのですが!


「一緒に反省しながら」
日本 木下理恵子

 今年の冬は北日本、日本海側は大雪の連続。どれ程大変な事でしょうか。私のいる西関東太平洋側は、そうした豪雪地帯と比べると、気が引けるぐらいの晴天続き。このニュースレターが読まれる頃は、少し春の兆しを感じ始めていると良いのですが。それぞれの地域で、皆様はお元気でお過ごしでしょうか。いつも御祷援をどうもありがとうございます。
 最近中国語集会のクリスチャンたちと、私たちの集会について一緒に反省の時を持っています。以前は出席者の三分の一から半数は求道者だったのが、最近はほとんどがクリスチャン。どうして求道者の足が遠のいているのだろうか。いろいろ面白い反省が出てきます。「私たちはあまりにも自己中心的。自分のために来ていて、自分がしゃべりたい事をしゃべって、人が話す事は聞く気がない。」「求道者の事をよく考えていない。」「遅刻してくるのはクリスチャン。求道者の人は時間通りに来ているのに、遅れて来るクリスチャンに、ダラダラと付き合わされる。」私個人の反省としては、小さいお子さんのいる人や、遠くから来る人にちょっと遠慮しすぎた事でしょうか。これからはそうしたクリスチャン達にも奉仕に加わって貰おう、一緒に集会前の祈りに出るよう励まそうと思わされています。今年の希望、願いを聞くと、どのクリスチャンも「もっと沢山の中国人たちが来る集会」と答えます。それが達成されるため、まず私たちクリスチャンから変わっていかねばならないようです。感謝な事に、ある子連れ姉妹はこの反省会の後、遅刻せずの礼拝出席でした。
 「中国語礼拝を始めたい」と皆で話し合い、皆様にもお祈り頂いていますが、実際これにはかなり複雑な要素が含まれています。私たちはこの集会をどの様なものと位置づけたいのか。もし受洗希望者が出た場合、どうするのか。今まで通り日本の地域教会で洗礼を受け、そこの教会員となり、時々中国語でメッセージを聞けるこの集会に来るのか。それとも自分たちで洗礼を授けるのか。中国語教会を開拓していくのか。もしそうだとしたら、特定の教派に属するのか、単独超教派のものにするのか。「中国語教会が建て上げられますように」と祈る中国人の祈りを聞きつつ、主に問うている日々です。皆様にもこの事に関して、共にお祈りいただけると感謝です。


「帰国者の地域集会が増えています」
日本 ディアスポラ伝道 横山好江

 昨年十月、ケープタウン(南アフリカ)で行なわれたローザンヌ宣教会議で配られた小冊子が手許に届きました。ローザンヌ宣教会議のディアスポラ小委員会による「集まるために散らされた―ディアスポラの国際的動向を受けて」というものです。ディアスポラ宣教学が述べられ、大いに教えられています。部分的な要約という形で少し紹介させていただきます。
 『様々な理由で生まれ育った土地から、新しい地に生きるディアスポラ(散らされた)の民。その最大の模範はイエス・キリストご自身である。神であることを捨てて、人となられて地上に生き、そして天に戻られた。そのようにして、天国の市民であり、地上では寄留者であるキリスト者の模範を示して下さった。ヨセフとマリヤも、移動中に出産を迎え、幼いイエスを抱えてエジプトで寄留の生活を味わわされた。
 バベルの塔の出来事で、人の傲慢さのゆえに神は人類を「散らされた」。アブラハムを異国へと導き出し、アブラハムは行き先を知らずに、ただ主に従い、選びの民の祖とされた。そのアブラハムを通して、神は全ての民を祝そうとされる。集めようとされる。捕囚すなわち寄留の地で、忠実に主に従い、務めを果たしたエレミヤやダニエルも、まさにディアスポラの民であった。
 初代教会。迫害によって散らされた民が、新しい地に福音を携えて移り、それによって教会は地域的に拡大した。
 このように、神は人を地理的に動かし、それを通して特別な御業を進められる。グローバル化が進む現代。私達の周りに外国人が増えているという現状、多くの同胞が海外生活を経験するという状況。現代のディアスポラの民に主は特別な御業を成そうとしておられる。教会は、このチャレンジにどのように応えようとしているか?』
 この日本においても、昨年三月の全国帰国者大会(ANRC)以来、帰国者クリスチャンが自分達が住んでいる地域で励まし合い、新しい帰国者の信仰生活を助ける業が進んでいます。二月には北海道、名古屋、福井、千葉、仙台、栃木、神奈川で集まりました。今年は泊りがけの修養会も予定されています。◇三月一九〜二一日(天城山荘)期間中に聖日があるのは残念ですが、教会につながっていない帰国者が教会へ導かれるきっかけとして用いられるように願っています。◇九月二二〜二四日(近畿地方)。参照:http://allnations.jp/connection/
 海外でクリスチャンになった者達、求道し始めた者達が、帰国後もその歩みを続けられるために、このような働きが用いられるようお祈りいただけると幸いです。


「外向きの教会」
カンボジア 小川文子

チームメイトのドリーナ(左)、レベッカ(右)、ルーベン(1歳、手前左)と  年度末の頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。居場所や立場の変化、人の変化の中に、季節の造り主である主、永遠に変わらない主がいて下さることを心から感謝しつつ、変化の中にある方々のために祈っています。私もカンボジアに来て一年七ヶ月程、ニャックルアンに移って約半年、未だに移行期の中です。常に自分自身が変化にさらされている気がします。(よく言えば‥‥成長?)チョー師夫妻や信恵師が不在で、牧師候補ワチャナ兄も留学中のため、なんとなく方向性が見い出せずにいたニャックルアン教会も、最近ようやく方向性を見い出し前進し始めたところです。
語学の先生宅では舞茸を栽培しています。これはそのもと菌。  先日チーム全員(五名)で「チャーチ・プランティング・ムーブメント」の十一日間にわたる学びをしてきました。内容は自分の置かれている所で集まり、そこから増え広がっていく家の教会ムーブメント(運動)についてでした。教会は「行く所」ではなく、二人、三人でも主の名によって集まっている「人々」であり、教会に人を集めるのではなく、むしろ人々に教会を持っていくことが伝道なのだということを改めて思わされました。
 ニャックルアン教会も熱心な人たちではありますが、礼拝は教会に行くこと、教会での活動が奉仕、教会に人を連れて来ることが伝道と思っている人がまだまだ多い気がします。そのような内向きの矢印が自然と外向きに変えられていくように、具体的には教会の人々が自分の家庭や友人の輪の中で、小さな集会を始めていくことができるように、と祈っています。なおお祈りいただければ幸いです。宣教師の祈りだけではできないところを満たして、祈って下さっている皆様に、心から感謝して‥‥。

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