2012年7月号
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「復興へのいっぽいっぽ −OMF岩手支援プロジェクト ローラジェーン・メアス師−」
二〇一一年三月一一日、山田町では八〇〇人の尊い命が失われました。町の中心部まで津波と火災が襲い、災害の爪痕は今もはっきりと残っています。現在、人口一万七千人の内、六千人が四十九ある仮設住宅地域に住んでいます。
OMFの岩手救援プロジェクトは、昨年夏に宮古市に拠点を置いて活動していましたが、そこから車で三十分ほど南にある山田町に働きの焦点を移しました。過去数か月間、OMFチームは何度も仮設住宅地域を訪れ、クラフト作りや、クリスマスパーティー、暖かい食事の提供などを通して人々を励ましてきました。小さなプレハブ住宅の中の殺風景になりがちな部屋に、家庭的な雰囲気を添えようと、小さな電気毛布や手作りのクッションをつけた椅子を届けるなどをしました。目に見える環境を整えるだけでなく、「希望の神」についての小冊子も作り、それは今では多くの被災者の手に渡っています。現在山田町ではOMF岩手救援チームの働きの拠点となるべく、プレハブの建物を建設中です。建物は「いっぽいっぽ山田」と名付けられました。
あれから一年余り。喪失、トラウマ、悲しみの中から復興への歩みは日々一歩一歩続いています。アメリカ人OMF宣教師のマイク&ロウィーナ・マギンティ師夫妻は、日本人同労者の本間秀隆・早苗夫妻と共に岩手で働きを続けています。
主はさらに高橋牧師夫妻を起こされ、救援チームの一員として、山田町からさらに車で四十五分ほどの釜石市に遣わされました。これが「いっぽいっぽ釜石」の働きの始まりになることを期待しています。
ほぼ毎日のペースで津波からの生存者たちを訪問しているロウィーナ夫人はこう言います。「先週、あるおばあちゃんが『孫が私を背負って助け出してくれた。』と私に話してくれました。そのおばあちゃんと孫は今日互いに顔を見合わせながら、『どこからそんな力が出たんだろうねぇ。』と不思議がっています。『たとえそうしろと言われても、今おばあちゃんを背負うなんて絶対ムリ。』とその孫は言うのです。『あの日、津波や火災から逃れようとして、普段では考えられない力が出た。』と人々は口ぐちに言います。そしてなぜ自分が助かったのか、と考えさせられています。でも神があの凍てついた水の中(「水が自分の首のところにまで来ていた」と話す被災者たちもいます)や、燃えさかる炎の中から彼らを救い出されたのなら、霊的にも救われることを願っておられるのではないでしょうか。」
岩手でOMFは人々が安全な場所で心の重荷をおろせるようにとカフェを運営し、人々の生活とコミュニティの復興を支援しています。ここで人々は互いに励まし合い、クリスチャンのボランティアと会話をし、本の貸し借りがなされ、共に賛美しています。中には神について質問してくる人々もいます。 昨年の夏、「初めてクリスチャンのボランティアに会った」と言う一人の女性が、最近ロウィーナ夫人と話す中で「なぜイエス様は死ななければならなかったのですか?」と聞いてきました。又、同じく夏に一人の高齢の女性とその娘さんがキリストを受け入れる祈りをし、それ以来ロウィーナ夫人と本間夫人と共に毎週聖書を学んでいるとのことです。
マグニチュード九の大地震は東北地方沿岸部に多くの被害をもたらしましたが、日本全体への影響もとてつもなく大きいものです。日本全国の教会にはどのような変化をもたらしたのでしょうか?高橋牧師は幾つかの面で神様のお働きが明らかになっている、と言います。被災地支援のために働く中で、キリストにある兄弟姉妹の間にあった壁が取り去られたのです。
最近まで多くの日本人クリスチャンは、障壁を越えて地元社会と深くつながることの難しさを感じていました。しかしこの一年間大勢の日本人クリスチャンが伝道が困難と言われる岩手に向かい、ボランティアとして人々に仕えたのです。
又、普段は孤立しているように感じていた日本の教会が、同じようにキリストのからだである世界各国の教会から送られてきたクリスチャンの愛に触れ、神の御手を感じることができました。
宮城県の養殖漁業家であり自然保護活動を行う畠山氏は、その活動が「森は海の恋人」という詩的な標題で知られています。彼は河の上流の適切な森林管理が海の再生に欠かせないとし、全くゼロからの復興であるこの時を、日本の環境再生においてもかつてないチャンスだととらえています。
現在は日本の歴史上、海や森林にとってかなめとなる時です。しかしそれは日本における神の御国の前進においても、同じことが言えます。緊急支援に対応しつつも、復興は持続可能かつ日本全国における神の働きと合致するものでなければならないとOMFは考えています。津波の被災者と被災地の教会のために祈りつつ、同時に日本全体の健全な教会建設のためにも祈りが欠かせないのです。
皆さんにもこの足音が聞こえますか?「いっぽいっぽ」これは復興へ、そしてキリストへの道を歩む日本人の足音なのです。
【お祈り下さい】
※ 神がその民を岩手沿岸部に送り、ご自身の恵み、愛、救いが証されていることを感謝。
※ 神の民が被災地において積極的に労していることを感謝。
OMF岩手チームのためにお祈り下さい。(以下のURLで活動をご覧になれます。http://vimeo.com/38087874)
※ OMF岩手チームに参加する人々が続けて起こされるようお祈り下さい。具体的に人々に支援の手を差し伸べ、霊的な必要を抱える人々に福音の希望と光を届けるビジョンを持つ人々がさらに起こされますように。
※ 日本の教会全体のために。さらなる神のお働きによって互いの交わりがその長さ・深さにおいて成長しますように。日本人クリスチャンが霊的にさらに成長することによって、活ける水がそれらの人々から湧き出で、切実に主を必要としている人々のもとに届きますように。
「大切な連携プレー」
日本 ディアスポラ伝道 横山好江
昨年一二月よりカナダOMFから宣教師となってバンクーバーで邦人伝道を続けているA宣教師から、「間もなく帰国するのでよろしく」と紹介されたNさん。バンクーバーからフェリーで行くビクトリアで、クリスチャン家庭に迎えられ、一緒に教会に行くなど、クリスチャンに囲まれて三ヶ月を過ごした後、ワーキング・ホリデイ・ビザを活用していろんな経験をしましたが、常にクリスチャンとの出会いがあったそうです。A宣教師から紹介され、Nさんと帰国前からメールのやり取りをし、「日本でも教会に行きたい」とのことだったので、実家のある街の教会を一緒に訪問しました。 カナダに行く前は教会に行ったことが一度も無く、クリスチャンとも会ったことがなかったというNさん。初めて訪れた教会も、同じ街に長年住んでいながら、その存在すらも知らなかったそうです。私達の訪問を、牧師夫妻、伝道師、そしてアメリカ人宣教師が迎えて下さり、Nさんはその週の土曜の英語バイブル・クラスに行き、翌日の礼拝にも出席しました。「日本でも教会に続けて行きたい」という思いを持って帰国したこと、訪ねた教会が温かく迎えて下さったこと、現地の働き人と日本の受け入れ側の連携がスムーズだったこと。このような大事な要因が満たされる時に、帰国者が日本でも主イエス様と共に歩み続ける(求道者の場合は求め続ける)ことを改めて見させていただきました。帰国者一人一人を、主よ、このように導いて下さいと祈らされます。
A宣教師はバンクーバー地域で、留学生伝道を行なう団体、日本人宣教をする地元教会、日本語教会とも協力し合いながら働きを進めています。昨年引退して帰国されたシュミット宣教師夫妻も、バンクーバーの日本語教会で奉仕しながらA宣教師と交わりを持って下さっています。A宣教師は今年十一月に静岡県で行なわれるANRC12(全国帰国者大会)に参加するために一時帰国し、帰国者フォロアップと教会巡回を予定しています。主の御心の内に計画が立てられるように祈っています。
五月二一日に、イギリスで邦人伝道を担っているディアスポラ伝道部の宣教師たち五人および彼等の上司と、スカイプ(複数箇所から参加できるインターネット電話)で訓練会を行ないました。六時間の全てを主が祝して下さり感謝。お祈りありがとうございました。ロンドンと東京でやっていたところに、最後の二時間はバンクーバーのA宣教師が加わりました。バンクーバー時間で朝六時からですので、これが無理のないところでしょう。私も午後六時から深夜まで、事前に体調を整えながら臨みました。ここで得たものが、それぞれの日々の伝道の業に活かされますように祈っています。
【祈りの課題】
1.アフリカにおける中国人伝道に関して、プロジェクト・チームが7月にエチオピアとケニアを訪問します。各地で、主が導いて下さる現地教会、中国人教会、宣教団体のリーダー達と良き出会いが与えられますように。
2.毎年恒例の「ヨーロッパ・キリスト者の集い」が8月1〜5日オランダで行なわれます。私は夫と共に参加します。準備を進めている兄姉のため、各地から集まる参加者のためにお祈り下さい。
「聖徒の交わり‥‥永遠のいのちを信ず」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
「お姉ちゃん、お父さんの容態が急変した。」日本の妹から連絡が入ったのが日本時間の五月二日午後八時近く。それから二十六時間後、私は病室の父の傍らに居た。父に声をかけると眠そうな目で、しかしはっきりと大きく頷いた。翌四日、見舞うと寝た状態ではあるがしっかりと目を開け頷いた。意識ははっきりとしている。口から人工呼吸器を入れているため話すことができない。伝えたいことがいっぱいあるのに伝えられないもどかしさが分かる。
「お父さん、私達皆、誰でも向うことだから、準備をしておくといいの。お父さん、行く準備はできている?」父は大きく頭を左右に振った。「まだ?」頷いた。「準備したい?」頷いた。「いつからはじめようか?今日?」頭を左右に振る。「まだ早い?」頷く。「分った。いつでもいいから教えてね。」父は頷き私の手をしっかりと握り返した。「明日、牧師さんがお父さんにイエス様のことを話しにくるけどいいかい?」大きく頷いた。
翌五月五日、私達の派遣元の教会である糸井福音キリスト教会の沼田牧師が、私達の罪のために十字架で死なれ三日目によみがえったイエス・キリスト、このお方に私達は希望があることを明確に語ってくださった。父は自分の意志ではっきりとイエス・キリストを救い主と信じ、洗礼を受けた。父の意志はその場に居た母、姪と甥、そして私がくどいほど確認をしても躊躇のない堅いものであった。沼田牧師が祈り終わった時、声にならない呻きのような音を出しながら、誰の耳にも「アーメン」と言ったのが分かった。父は長く寝たままでいたので力の無くなった右の手を沼田牧師の方へぐっと伸ばし、力強く牧師の手を握ってしばらく離さなかった。
その時から五月二十二日の召天まで、私と父は使徒信条にある「聖徒の交わり」をもった。毎日、母と妹が病室に居る時に、タイの主人から送られてくる聖書のことばと短い解説を読んだ。聖書のことばの区切りごとに頷き、読み終わると「分かった」というように頷き、共に祈ると必ず言葉にならないが「アーメン」と呻きのような音で唱和する。母と妹もまだ信者ではないものの、唱和に加わってくれた。二十二日の朝は意識が朦朧としはじめていたが、小さく頷いた。その後こん睡状態になり、午前八時四十八分、最愛の妻、二人の娘の見守る中、眠るように安らかに天国へ帰った。
母と妹が「クリスチャンになった父のために」と、葬儀は教会で粛々と行われた。美しく平安に満ちた葬儀であった。多くの方々の祈りに支えられてここまで導かれてきました。お祈りを心から感謝いたします。(たまみ)
【祈りの課題】
1.たまみ師のお父様の葬儀後、間も無く有澤師夫妻はオーストラリアへ発ちます。お母様、妹さん、そのお子さんたちへの慰め、同じ信仰と希望が与えられるようにお祈りください。
2.達朗師は7月2日からオーストラリアの言語多様性研究所で多量のミェン語の音声資料を書き起こす作業を始めます。早く生活に慣れ、博士論文を3年以内に書けるようにお祈りください。真にミェン族のためになる研究ができますように。
「国際本部にいる特権」
シンガポール 佐味湖幸
OMF国際本部はシンガポールの有名なボタニックガーデンズという植物園の向かいにあります。広大な土地に様々な熱帯の植物が生い茂っており、池や野外コンサート会場などもあって、住民の憩いの場です。ここに道路を渡るだけで行くことができ、日々のオフィスワークから解放され、ウォーキングやジョギングなどを楽しめるのは大きな特権であります。
五月は私にとって原点に帰る思いが与えられた時でした。私は今からちょうど二十年前、一九九二年六月にOMFに入りましたが、その時OMF全体の総裁であったイギリス人ピッカード師ご夫妻、私たち新人宣教師のお世話をしてくださったフィリピン人マンザーノ師、言語学を教えて下さったシンガポール人タン師が偶然にも次々と国際本部を訪れられたのです。ピッカード師ご夫妻は本当に久しぶりのアジア訪問という事でした。ご主人のデイビッド師は朝のデボーションタイムで昔と変わらない明確で温かく、しかしチャレンジのあるメッセージをしてくださいました。適切な住居が見つからず、仮住まいの生活に疲れを感じ始めていた時で、神様に寄り頼むことをもう一度思い出させてくださった、私にとってとても必要なメッセージでした。マンザーノ師とはフィリピンでもお交わりがありましたが、それでも久しぶりの再会でした。二十年前、三人の息子さんたちはまだ幼稚園から小学三年生でしたが、それぞれ立派な青年になって活躍している様子を伺いました。
タン師は七十歳を超えられ、まだまだお元気に教えたり、教会で説教したりとご活躍ということでした。独身女性で主に仕えておられる先輩として大いに尊敬しています。再会をきっかけに先生が書かれた「独身女性の繋がり」という本を読ませていただきました。アジア人女性という視点からとても良い示唆を受けました。国際本部にいるからこそ与えられる出会いや再会の数々、主に感謝しています。
良い住居も与えられ、働きも順調に進んでいます。皆様のお祈りを感謝します。
【祈りの課題】
1.国際本部では7月12日から8月3日まで新人宣教師のためのオリエンテーションコースがもたれます。36人の大人と26人の子供が集まる予定です。最近では最も大きなグループとなります。それぞれの健康が守られ、宣教地に行く前のよい研修と交わりの時となるように。研修を導くシュモーキー師夫妻、グリフィス師夫妻と食事や施設の掃除の世話をするスタッフのためにもお祈り下さい。
2.夏は短期宣教プログラム(サーブ・アジア)で世界中からアジアにたくさんの若者が集まり、数週間から数ヵ月宣教師たちの元で宣教を体験します。それぞれの健康が守られ、神様から祝福を伝える者として用いられますように。特に、スウェーデンからのTさん、スロベニアからのDさんのためにお祈りください。
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