2013年2月号
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「草原を巡る聖霊の風」−OMFモンゴルの報告から−
「東アジアのあらゆる民族グループの中から聖書に根ざした教会運動が起こされ、各民族が同胞の民族、そして他民族にも宣教していく」ようになることがOMFのビジョンです。そしてモンゴルで働いているOMF宣教師は、そのような運動のきざしを感じ始めています。
二〇〇五年の春、彼はモンゴル人神学生のグループを引率して、現地のクリスチャンの弟子訓練と伝道のためにモンゴル西部へ赴きました。以下はモンゴル西部の遊牧民の中で神がなしておられる素晴らしいみわざについての報告です。
ガンバーターは訪問客の話に熱心に耳を傾けていました。彼は少し前にキリストを主として受け入れる祈りをした人ですが、その職業は占い師でした。そのためモンゴル人神学生の二人が、その職業がいかに無益―そして邪悪なもの―であるかを説明していたのです。ガンバーターはかつてある山地の岩々を神聖なるものと信じていました。そこで神学生の一人であるバカ兄はこう尋ねました。「もしその岩をそこから移したら、それでもその岩は神なのですか?」「もしその岩々を放り投げたら、そこに宿る神々はケガしてしまうのですか?」ガンバーターは間もなく自分が信じているものの虚しさに気づきました。そしてもう岩々ではなく、その岩を創造した方を礼拝したいと思ったのです。
説明を聞き終え、考え込んでいたガンバーターは、やがて持っていたお守りを喜んでストーブの火の中に投げこみました。彼はキリストにあって新たな人になったのです。
谷あいの地で
神学生たちがガンバーターに出会ったのは、凍りついた谷を歩いている時でした。その前年、やはりOMF宣教師に引率されてその地に赴いた神学生の一行は、遊牧民の一団に伝道し、主に導きました。そのため彼らはこの新たな信仰者たちのフォロアップのために再び来訪したのです。
いろいろ尋ね回り、遊牧民たちはさらにほとんど凍りきった峡谷を十四キロ余り行ったところにいることがわかりました。
そこで神学生たちはもっと速く進むためにジープを借りたらどうでしょうか、と彼らのリーダーに尋ねました。そこでジープを見つけられるとは考えにくい状況でしたが、神学生のリーダーはその状況を II テモテ二・二にある「多くの証人の前で私から聞いたことを、他の人にも教える力のある忠実な人たちにゆだねなさい」というみことばを神学生たちに教える機会として用いました。彼らの働きが、それを見た他の人たちがそのまま繰り返せるようなものでなければならないと説明したのです。モンゴル西部の地元信者たちはジープを借りられそうにありません。しかも彼らにとっては長旅であっても徒歩か馬で行くのが普通です。そのため神学生たちもその習慣に従い、この地における伝道のよいモデルを作る必要がありました。
そうして神学生の一行は果てしない谷間を歩いて出発しました。中には全く凍りついた場所もあり、一人が滑って谷に落ちましたが、けがはありませんでした。しかし引率したOMF宣教師によれば、徒歩の長旅はやがてオオカミと雪ヒョウのすみかでもある岩だらけの山地を、神を賛美し、この地域のことをさらに学び、ちょっとした余興さえ交えながら進む喜ばしい旅路と変えられたのです。
やがてチームは目的のクリスチャンの遊牧民たちを見つけ、喜んで迎えられました。そしてチームは聖書を教え、三人に洗礼を授け、ガンバーターを主に導いたのです。うれしい一日でした。「熱いヤギのスープとヤギの乳の凝乳を囲んでの交わりは何と心温まるものだったことか。さらにうれしいことにはその日子ヤギが一匹生まれました。そうしてその晩、私たちは主がなして下さったことを喜びながら、戻って行ったのです。」こうOMF宣教師は締めくくっています。
新たな教会の芽吹き
モンゴルで働くOMFチームの目標は、聖書の教えと洗礼と聖餐式を中心に集う遊牧民の教会を建て上げることです。今回の旅はこうした努力をさらに前進させるものでした。道中、チームは女性七人と男性四人に洗礼を授け、溶け始めた河を首尾よく渡ることができました。遊牧民と農民が教会員のほとんどを占める州都で始まったばかりの教会では、三十八人が洗礼を受けました。最近の聖日礼拝には大人三十二人とティーンエージャーや子供百十三人が集いました。一年前にOMF宣教師が主に導いた「金の人」と呼ばれるモンゴル人の遊牧民がこの群れを牧しています。初めて聖書を読んだ時、彼はすすり泣き、「俺は真理を見つけたよ」と言いました。今この「金の人」はどこに行くにも読み古した聖書を手放しません。そして家畜がモンゴル山地の大草原で草を食むのを眺めながら聖書を読み、祈るのです。
このように変えられた人生は、はるかなこの土地に住む未伝の人々の間で聖霊が働いておられることの証です。「信者たちが聖日礼拝に集まってくる―これは本当に驚くべきことです。これほどまでに人里離れた場所で、恐らくこの地の歴史上初めての教会が、今生まれようとしているのです。」このようなOMF宣教師の言葉通りなのです。
「12月と2012年を振り返って」
日本 ディアスポラ伝道 横山好江
このクリスマスは、二三日が奉仕する東京新生教会でのクリスマス礼拝。二四日が同イブ礼拝。二五日が我が家での帰国者クリスマス会と続きましたが、主の守りと恵みのうちに全うでき感謝しています。特にクリスマスの当日である二五日に、帰国者兄姉と共に英国風クリスマス・ディナーを囲んで祝うことができたのは嬉しいことでした。三年前の同じ機会に初めて声をかけ来て貰い、その後職場が変わったのを機に約一年余前から東京新生教会に定着して下さった方。私達夫婦がイギリスで出会って以来十年以上の付き合いになる未信の友の二人。神学生夫妻。主がそれぞれに恵みの御業を進めておられる様子を見せていただいて御名を崇めています。
一日に行なわれた在欧日本人宣教会主催の帰国者クリスマスも、プロとして活躍しておられる日高恵さんの朗読劇、竹内晃二さんの奏楽をいただき、久し振りに会う方も与えられて祝された、心豊かな時となりました。お祈りを感謝します。
この報告を書いているのは年末、一二月二八日です。この年を振り返って特に心に残るのは、十一月に行なわれたANRC12(全国帰国者大会)です。この大会が祝されたのも皆さんの祈りの答えと改めて感謝しています。私達夫婦は日本の教会から遣わされて在英邦人伝道に約十年携わり、日本の教会に魂を送ることを目標としてきました。そのために、イギリスにいる間の信仰の確立と帰国準備、受け入れて下さる日本の教会への働きかけ、そして帰国者ミニストリーに力を入れてきました。今回のANRCで帰国者が積極的に喜んで奉仕している姿を目の当たりにして大変嬉しくなりました。話すことができたそれぞれは自分の地域の属する教会で、そして帰国者のために労しておられます。イギリスの留学生伝道団体スタッフである友人と再会し、「あなた達は最初から帰国者のことを話していたけど、最初はピンとこなかった。でも今は留学生と会ったその日から、帰国することを考慮して接している」と言ってくれました。残念なのはANRCにぜひ来て欲しかった帰国者、教会につながらずクリスチャンとの接点も少なくなってしまった人達の参加が少なかったことです。どうやったら来て貰えるのか、今後の課題として祈り取り組んでいきたいと思います。
今も寒波が来て厳しい寒さです。祈りの友の皆さんがこれを目にするときにはまだまだ寒いことでしょう。皆さんの主と共なる歩み、祈りの生活が守られ祝されますようにお祈り致します。
【祈りの課題】
1.在アフリカ中国人伝道のプロジェクトが進み、ケニヤのナイロビに常駐スタッフが置かれました。3月に訓練会を行なう予定です。主の御心のうちに進められますように。
2.欧州青年大会であるSLIM Conferenceが4月4〜7日、イタリアにて行なわれます。講師は大嶋重徳KGK主事、毛利陽子姉、内村信之師。準備のためにお祈り下さい。
「そらとサラ」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
中国人留学生のため何度かお祈りをお願いしました。彼女はオーストラリア・キリスト者学生会全国訓練会という千人以上集まるキャンプに参加し、イエス様を信じました。彼女のためお祈りくださり感謝します。
半年前、オーストラリアの冬、新入留学生説明会で空(そら)ちゃん(仮名)という中国人と、サラという韓国人に会いました。サラという名前からクリスチャンだろうなと分かり、彼女のほうも私たち夫婦が宣教師だと分かるとすぐに打ち解けて話が始まりました。ごく自然に空さんの救いのため共に祈り始めました。サラは空を学内のキリスト者学生会に毎週誘い、マルコの福音書の学びを始め、私たち夫婦は毎週日曜日待ち合わせてバンドゥーラ長老教会へ連れて行きました。
修士課程の学生が夏休みに入り、空ちゃんはアルバイトを始めましたが「日曜日は教会に行くので休ませてください」と仕事先に伝えました。そのお金でキャンプに行き信仰告白をしたのです。キャンプ直後、続けて彼女はメルボルン市内の戸別訪問伝道チームに加わり、早速伝道を始めました。先に教会に帰って来ていた学生や学生伝道主事が私たちに伝えて言うには、「喜んでください。空ちゃんは救われました!でも彼女は有澤さんたちに直接会って報告したいそうなので、まだ知らないふりをして迎えてあげてね。」
後日夕食に招き証しを聞きました。空は嬉々として、ご両親へ証しをするため入念な準備をしたいということ、故郷に教会がなければ自分で集会を始めたいので、メルボルンにいる間に聖書をよく学びたいこと、韓国に一時帰国中のサラには電話で感謝を伝えたことなどを分かち合ってくれました。「有澤さんたちのため祈るべきことは何ですか?」と尋ねてくれるところなど、クリスチャンになってまだ数日の人とは思えませんでした。
折しも、韓国と中国の反日感情が高まっていた時期にこのような神様からのプレゼントをいただき感謝に耐えません。(達朗)
メルボルンでの六ヶ月と二週間(昨年七月から今年一月中旬)はあっという間に過ぎた。振り返ってみると、先月号でも触れたバンドゥーラ長老教会での交わりによる祝福が大きかった。二人の牧師による説教から教え、戒め、矯正と訓練を受けた。共に捧げる礼拝と、毎週の家庭集会で互いに祈り合い励まされた。
毎週礼拝では代表者が立てられ公に祈る時があり、同教会が派遣し支援している五組の宣教師のためにいつも祈っている。昨年のクリスマス礼拝では、五組目の宣教師家族のための祈りが終わった後、何と驚いたことに私達の名前が挙げられ、ミェン族宣教のため、これから六月までタイでの働きが祝福されるよう祈ってくださった。思っていなかったことなので驚いたが、嬉しかった。(たまみ)
【祈りの課題】
1.有澤師夫妻がタンマジャーリク教会へ戻って来ましたが、不在の間できた複数の説教者当番の体制を崩すことなく、教会を霊的覚醒と自立へ励ます奉仕ができるようにお祈りください。
2.ミェン語聖書全巻の録音をアメリカ・ミェン教会とタイ・ミェン教会の共同で行います。タイ側は新約聖書を担当します。有澤がディレクターに任ぜられましたが、後輩を養成・訓練しながら良質の録音をすることができますようにお祈りください。
「普段からの証」
シンガポール 佐味湖幸
十二月は教会での結婚式に始まり、本当は十一月末のはずの収穫感謝の集い、クリスマス関連の諸集会と特別なことが続き、あちらこちらに招かれ、様々な文化を垣間見る時であり、普段からの人間関係について考えさせられる時となりました。
私の通うブキッド・パンジャン福音堂で育った、まだ二十代の歯科医D姉は中華系シンガポール人。他の教会の教会員ですが、同じく中華系シンガポール人の婚約者は医者になるためオーストラリアで勉強しています。彼らの結婚式が十二月初めに教会でありました。式前に参列者が席に着いてから式が始まるまでの間二十分ほど、テレビの恋愛ドラマの宣伝かと思われるような二人の物語のビデオが流されました。台湾でプロの人による撮影、編集のようです。最近の流行だそうな。これは、ちょっとしたカルチャーショックでした。式には大勢の友人(どちらも医療関係者)が出席していました。ノンクリスチャンの人も多くいたようですが、二人の神様を第一にする姿勢が説教にも二人の感謝の言葉にもはっきりと証されていました。二人は主の導きがあれば、将来宣教師になることを願っています。
この教会にはフィリピン人のメイドさんたちが四、五人ほど集っていますが、私は普段から声をかけて仲良くしています。彼女たちも自分たち以外にタガログ語で話せる人がいるのは嬉しいようです。もうすでにアドベントに入った十二月の第二週に、彼女たちの集う小グループの感謝の集いに招待されました。一年間の感謝の時と持ち寄りのご馳走がふるまわれ、十人ほどの小さな集まりでしたが、共に主の御名を崇め、感謝な時でした。
そしてクリスマス。二十五日の夜に教会でクリスマス特別集会が持たれました。この日のために聖歌隊は八月からかなりの大曲七曲を練習してきました。
感謝なことに私がお誘いした日本人のMさんが、中華系マレーシア人のご主人と二人のお子さんと来てくださいました。「私は仏教徒なんですけどいいですか?」と、おっしゃっていましたが、聖歌隊の賛美を喜んでくださり、説教にも耳を傾けてくださいました。このMさんのお隣にはOMF宣教師のエリオン師が住んでおり、普段からいい近所付き合いがあったことも、彼女が私に心を開いてくださった原因にあると思います。その集会の後、他に日本人の人がいるからと牧師に呼ばれていくと、Hさんとその息子さんがやはり隣に住む聖歌隊のメンバーに誘われて、来られていました。こちらも普段からの良い人間関係があったればこそだと思います。今さらながらですが、普段からの証が大切だと思わされました。
【祈りの課題】
1.2月は今年初めての新人宣教師オリエンテーションコースが国際本部でもたれます。その祝福のためにお祈り下さい。このコースを目指していたニューホライゾンズからの候補者たちは経済支援体制が整わなかったため、先送りとなりました。十分にサポートが与えられて宣教地に行く準備が主の時になされるようにお祈りください。
2.昨年後半から、西アフリカからアジアに宣教に行きたいという志願者の問い合わせが続いています。現地に事務所のあるSIMと言う宣教団体と協力して、候補者の審査をすすめることになりました。神様からの特別な知恵と導きをお祈りください。
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